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記事一覧

音遊び

右手でスタート
追いかけ 追い越し
最後はきれいに
まとまる和音

算盤を習った子が
宙で暗算をするように
心に浮かぶ旋律に
音を足しては引いて

風に舞う花びらに 手を伸ばし
逃げゆくひとひらを追いかける

淡い青空 土の香り
消えゆく春の
想いを留めて

思い出

新春のお題の
懐紙を取り出し
お干菓子を載せ
振り出しを傾け
皆で愉しむ
お茶のひととき

嵐を避け 桜咲き誇る中
ようやく生まれた
吾が子の温もり

お盆明け
蝉の鳴く中
目をこすり
両手を広げ
ラジオ体操

高鳴る鼓動
目指すは一等
毎回苦戦の
パン食い競争

親子登山
険しい道も
乗り越えて
下界を見渡し
深呼吸

過ぎし日と
未来への思い
抱きつつ
今朝この瞬間を
受け止める

自由

いつ どこで
誰と 何をして
過ごすか
自分で決める

その当たり前の感覚は
どこに消えたのだろう

魂の自由を
笑顔で暮らせる日を
取り戻したい

それが 切なる願い

長年の軛から放たれ
空の青さを
澄んだ空気を
素直に感じられる瞬間を
手に入れたい

ゴールは間近
そう信じている

冬の木立ち

大きな葉は
木枯らしに連れ去られ
幼葉だけで
心細く揺れている

大人にも 子どもにも
季節は 平等にめぐり

昼下がりの日差しの中
新芽が顔をのぞかせている
そんな木もある

修行

「行ってきます」と
出掛けてすぐに
西の言葉に囲まれて
右往左往が始まった

笑うに笑えぬ
「島倉千代子」
こっそり目配せ
うつむいて

「怒るでしかし」に
後ずさり

「もう歳なんとちゃいますか」
すわ喧嘩かと身構えて

「ちょっと肥えた?」に
ムッとした

大失敗の道案内
自信たっぷり
間違えた

あの時のおじさん
ごめんなさい

お探しの場所は
すぐそばでした

言葉にこめた
温かさを知り

もっとみる

初稽古

いつも 横で一緒に弾きたがり
ある時は エレクトーンの下にもぐり
聞いていた レッスン
先生が見かねて
貸してくれたテキスト

きょうからは
じぶんの席がある
真新しいページ
満面の笑顔

お下がりではない 
わたしのじかん

願いましては

今どきの計算の宿題は
タブレットで筆算
答え合わせも
あっと言う間

ねぇ見て〜
シュウマイだね!
アイスキャンディーもあるよね😊
根っからの関西人の
繰り下がりの答え

お正月

山の日の出
白い息

いつものお雑煮
お餅の番人

柱の時計は32日
ネジを回して元旦に

軒のつらら
池の氷
道路で雪投げ
ひみつの階段
グリコのおまけ

大きいみかん
こたつでうたた寝

みんなでお寿司
静かな星空