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【アタッチメント理論】子どもの成長とともに変わる親の役割:学齢期以降も大切な「基地」の役目

はじめに
 
子育ては、子どもの成長とともに親の役割が変わっていくものです。小学校にあがる頃には、子どもがあまりくっついてこなくなることもありますが、「まだまだ甘えん坊」という子もいます。いずれにしても、親が子どもにとっての「基地」であることに変わりはありません。


1.年齢とともに変わる子どものアタッチメント

 年齢が高くなるにつれて、子どもが怖い思いをしたときに「親にべったりくっついて離れない」ということは少なくなっていくでしょう。例えば、小学校低学年の頃には怖い夢を見た夜に親のベッドに潜り込んでくるかもしれませんが、中学生になるとそういった行動はほとんど見られなくなります。

 しかし、これでアタッチメントがなくなったわけではありません小学生、中学生、高校生、そして大人になってもアタッチメントは続いていきます。ただし、乳幼児の頃とは異なり、子どもは徐々に自分自身で感情を立て直す力を身につけていきます。例えば、高校生になると、失恋や友人関係のトラブルで落ち込んだとき、親に泣きつく代わりに、自分で解決策を見つけたり、友人に相談したりすることが増えるでしょう。

 それでも、親がそばで支えてくれているという安心感は、変わらず子どもにとって大きな支えとなります。

2.成長とともに変わるアタッチメントの対象

 いずれは親に代わり、友だちや自分のパートナーなどがアタッチメントの対象になっていくでしょう。例えば、高校生や大学生になると、親よりも友だちや恋人に悩みを打ち明けることが増えます。

 ただし、学齢期(小学生や中学生)の子どもの場合、アタッチメントの対象は乳幼児の頃と同様に、ほとんどがです。例えば、小学生の子どもが学校で嫌なことがあったときや中学生の子どもがテストで悪い点を取ったとき、最初に相談するのは親であることが多いでしょう。

3.親としての「基地」の役割

親は「基地」として、子どもが困って戻ってきたときには受け入れてなぐさめ、元気を取り戻したら送り出すことが求められます。例えば、幼い子どもが転んで泣きながら戻ってきたときには抱きしめて安心させるように、小学生や中学生になっても同様に親(養育者)は「基地」としての役目を果たすことが必要です。

 中学生の子どもが学校で友人関係のトラブルに遭ったとき、親は話を聞いて励まし、解決策を一緒に考えることで安心感を与えます。

 乳幼児期とは異なり、成長するにつれて感情が崩れたときに「基地」を求める気持ちは続きますが、実際に近づいたり、くっついたりすることよりも、「『この人』は見放さず、なんとかしてくれる」という見通しや確信の方が重要になってきます。例えば、高校生が進路に悩んだとき、親がそばで支えてくれるという確信があると、それだけで子どもは安心して自分の道を探すことができます。

4.友達とのつきあいと親の存在

 年齢が高くなるにつれて、子どもたちは「友だち」との関係をより重視するようになります。例えば、高校生になると、放課後や週末に友人たちと過ごす時間が増え、親との時間は減少する傾向があります。しかし、何か困ったことがあったり悩みがある場合、子どもたちは依然としてを頼りにします。中学生が学校でのトラブルを経験したとき、最初に相談する相手は多くの場合、親です。

 主なアタッチメントの対象が親から他の人(恋人や親友など)に移るのは、思春期以降です。例えば、大学生が新しい恋人と深いつながりを持つようになると、恋人もまた重要な支えとなりますが、親の存在は依然として重要です。乳幼児期には親が感情に寄り添い、安心感を与えることが重要であり、この経験が後の人間関係の基盤となります。

 徐々に子どもが成長し、自己調整能力が向上するにつれて、親の役割は「相談役」としての存在に移行していきます。

5.侵害的ではないかかわり方の重要性

 子どもの年齢が高くなるほど、親が侵害的ではないことがより重要になります。例えば、小中学生になると新しい趣味や興味を見つけて、自分で探索に出かける時間が増えるかもしれません。友達と一緒にアウトドア活動やクラブ活動に参加し、家を離れることが多くなりますが、これは彼らが成長し、自己主張し、独立心を培う健全な過程です。

 親はこうした探索期において、侵害的ではないかかわり方を心がける必要があります。例えば、子どもが興味を持った活動をサポートし、自己探求の場を提供することが大切です。子どもが自分の道を模索する中で失敗や困難に直面したときには、親が寄り添い、聞いて支えてあげることが重要です。これによって、子どもは自己解決能力を育みながらも、親の存在を安心の拠り所として感じることができます。

 親が侵害的でないかかわり方を心がけることで、子どもは自信を深め、自分自身での決断や解決策を見つける力を養うことができます。

最後に
 
子どもが成長するにつれて親の役割は変わっていきますが、親が「基地」としての役割を果たし続けることは、子どもにとっての安心感や自己肯定感を育む上で非常に重要です。子どもが困ったときにはいつでも戻って来られる「基地」として、温かく見守り続けてください。

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