エッセイ : 日本では山の神様は全て女の神様(僕が女人禁制の山に感じる疑問)

僕の地元の長野県には諏訪大社という全国の諏訪神社の総本山がある。諏訪体社には上社と下社と2つあり、上社には建御名方命という男の神様が下社には八坂刀売神という女の神様が祀られています。
冬になると凍った諏訪湖の上に諏訪湖の氷が盛り上がり上社側から下社側にかけて筋の様なものが現れるのですが、これは御神渡りと呼ばれ、建御名方命が諏訪湖上を歩いて八坂刀売神に会いに行く時に出来ると言われています。ロマンチックですね。
 
僕が住む長野県では、山ガールの人たちをよく見かけます。先日駅で山ガールの人たちが電車を待っていました。その中の一人の女性が、もう山ガールをやめると言いました。
その女性は、こんな風に言いました。
ねえ、奈良県に女人禁制の山があるんだってよ。
富士山も1872年齢まで女人禁制だったんだって、どうして女人禁制だと思う?  女には生理があるからなんだってよ。私、頭来ちゃった。
ちょうど電車が到着し、みんなその女性に詳しく聞かせて、と言って歩いて行った。

この女性が言ったこと、補足説明します。
今でも女人禁制の山は、奈良県にある大峰山の修験道の場となっている山上ヶ岳のことです。
古来より日本では、女性が山に登るのを禁じる考えがありました。富士山もそうですが高野山も女人禁制でした。
その理由は、山は危険な場所だから。人間の8欲の1つ性欲により修験者たちの修行の妨げになるから
そして、この山ガールの女性が怒ったのは、もう1つの理由である、女性の月経や出産による血は清められない穢れであるという女性を不浄視する理由を知ったからだと思います
こんなことを知れば、この女性だけでなく、女の人はみんな怒ってしまうと思います。ですがこれ、
仏教の考え方です。

日本には仏教の他に神道があります。神道とは古事記、日本書紀に登場する日本古来の神様です。
神社は神道になります。日本人は結婚式等のおめでたいことは神社でつまり神道で、お葬式はお寺つまり仏教で行うという民族です。世界では特殊な存在です。
明治政府によって、神は神、仏は仏と明確に別けられてしまいましたが、江戸時代までは、神道と仏教は繋がりを持って存在して来ました。例えば、
権現様は菩薩様が神になった姿だと言われています
日本人は神道と仏教を使い分けて来ました。
女性の皆さん、女人禁制の山に関しては、神道の考え方を採用しませんか? 

神道では、日本の山の神様は全て女の神様です。
例えば、僕が住んでいる街から諏訪湖の彼方に小さく富士山が見えます。そして、その左側には八ヶ岳が見えます。
富士山の神様は木花咲耶姫という女の神様。
八ヶ岳の神様は磐長姫という女の神様。
木花咲耶姫と磐長姫は姉妹で、磐長姫がお姉さんです。
女の神様が、同じ女の人を不浄視するとは思えません。ですが日本の神様は非常に人間味があるという特徴を持っています。

大学の時に山岳部に所属していた僕の叔父は、当時の山岳部には女性の部員がいなかったのですが、その理由を叔父はこう説明してくれました。
山登りが危険だからという理由でも、女の人は体力がないからという理由でもないんだよ。
日本では山の神様は全て女の神様。
だから女の神様がいらっしゃる山に女の人を連れて登ると、女の神様が、私がいるのに何故女の人を連れてきたの?となって、 大きな声では言えないけど、やきもちをお焼きになって、山の天候を荒らしてしまうからなんだよ。
女の人が山を登る時は、女の人たちだけで登るしかないと思うんだよな。

女性の皆さん、いいと思いませんか?
僕のこの叔父の理由。
高い山に男の人と一緒に女の人が登ると、
山の女の神様がやきもちをお焼きになって
山の天候を荒らしてしまう。
だから女人禁制の山まである。
これだったら女性の皆さん、納得出来ますでしょ?

でも、そもそも神様がやきもちをお焼きになるのかということですが、お焼きになります。
ヒステリーを起こされた女の神様もいらっしゃいます。1番偉い神様、天照大御神です。 
天照大御神には須佐之男命という弟がいました。
須佐之男命は後に八岐大蛇を退治し、立派な神様になるのですが、若い頃は毎日悪さばかりしていました。だから毎日お姉さんの天照大御神のところに、
お前のとこの弟どうにかしろよ、とばんばんクレームが来ました。余りクレームが来るものだから、
天照大御神は、私、も~知らない!  となって天之岩戸にお隠れになってしまったわけです。

僕は個人的に、こういう日本の神様は大好きです。

ヨーロッパでは、ホテルの部屋には必ずと言っていいほど聖書が置いてあります。キリスト教の国だからです。ヨーロッパの人たちは質問すればキリスト教のことや聖書のことを親切に詳しく教えてくれます。
日本に来た外国の方に日本の神社仏閣について質問されて、答えられなければ恥ずかしいです。
僕はサラリーマンの時、ドイツから来たお客様を
諏訪大社に案内した時、この神社に祀られている
神様の名前と、どういう神様なのか?  という質問をされました。

日本人は宗教というと、すぐアレルギー反応を示しますが、少なくとも日本人として、神道と仏教の基礎知識は習得しておく必要があると思います。








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