家族からの退職物語 5 軽井沢出発前夜 娘たちからのLINE
僕は夕食を食べ終わると軽井沢へ行く準備をしていた。遅くなるようなら何処かで1泊しようと思っていた。
奥さんはお土産に軽井沢の美味しいジャムを買って来てと言った。
だが、こんな会話もいずれは出来なくなるかもしれないとも思った。
奥さんは奥さんで真剣に考えていることが分かったからだ。
僕には娘がふたりいるが、娘というのはいいものだと思う。
高校生になった娘と出かければ女子高生とデートしているようなもの。
大学生になった娘と出かければ女子大生とデートしているようなもの。
長女は結婚したので長女と出かければ若い人妻とデートしているようなものだ。
今回の件、娘たちにも連絡してあった。
軽井沢に行く準備をしていると長女からLINEが届いた。妹と話しをし、今回の件に関して私たちからの提案をしたいとあった。
内容は、
私たちは自分が行きたい大学、専門学校に通わせてもらいました。私たちはそれだけで充分です。
これからは私も妹も自分が好きな人と一緒に生きて行きます。
もし、お母さんと別れることになったら、
私たちに遺産を残す必要はありません。
もちろん負の遺産もね(笑)
お父さんの持っているお金、そしてお父さんがこれから稼ぐお金は、全てお父さんの残された人生のなかで使い切ってください。
お父さんは、これからの人生のなかで何がしたいですか?
LINEありがとう。
本当はヨーロッパにもう一度行きたいのですが、
ウクライナ情勢等の不安要素と1人で行くには体力的な面で不安があるので、大学時代にひとり旅をしていましたが、まだ日本で行ったことのない所でがあるので行きたいと思っています。
そして、子どもがふたりとも女の子でアウトドア特にキャンプを殆どすることが出来なかったので、
やってみたいと思っています。
軽井沢にも住みたいとも思っています。
では、ひとり用のテント等のアウトドア用品を揃え
日本中をソロキャンプしながら巡るのは、どうですか?
そして、日本中を旅しながら人生を終える、というのは、どう思いますか?
縁起の悪い言い方ですみませんが、お父さんが日本の何処で亡くなっても、私たちがお父さんの骨を拾います。
但し、お父さんには火野正平さんのように自転車で日本中を巡るのは不可能だと思われますので、必ず車を使用して下さい。
天候が悪くなったら車の中に避難出来ますから。
ソロキャンパーになって日本中を巡る、というのは考えてたことがありませんでした。
明日、お父さんは1人で軽井沢に行って来ます。
そのなかで考えたいと思います。
軽井沢まで気をつけて行って来てください。
遺産は残さなくて良いですが、
お土産はいつでもWELCOMEです。
ソロキャンパーになって日本中を巡るというのは
考えたこともなかった、と思った。
軽井沢に行きながら考えてみようと思った。
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