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黒羽カラス
2023年7月23日 07:49
頬が痛い。顔を上げると目の前のパソコンが起動していた。画面に表示された時間は午後十一時を少し回る。取り敢えず終了させた。 中途半端に寝たせいで眠気に見放されたようだ。イスの背もたれに引っ掛けていたパーカーを羽織る。ポケットの中の財布を確認して部屋を出た。 軋む床をそっと歩いた。居間の光が廊下に漏れている。近づくと父親と母親が言い争っていた。「正幸の不登校はいつまで続くんだ」「わからないわ
2023年8月13日 09:59
第1話 夜の公園で出会う 今日の授業が終わった。塾に居残る理由はない。それなのに俺は機能を停止したロボットの状態から、なかなか抜け出せない。がらんとした教室に一人でいた。「早く帰りなさい」 見回りにきた講師に言われて俺は重い腰を上げた。身体まで重い。心には冷たい鉛が詰め込まれ、底の方が今にも破れそうだ。 教室を出ると右手を見ないようにした。この間の試験の全順位が貼り出されている。俺は初めて