『家族ダンジョン』第23話 第二十二階層 初めての装備品
階段の途中でハムが突然に駆け出した。先頭の茜を抜き去り、尚も走る。
「急になんなのよ」
「あー、小瓶がー。若返りのー、取って置きの小瓶がー」
冨子の未練がましい声に茜は溜息を吐いた。
「あの小瓶がなかったら、本当に危なかったんだよ。状況、わかってる?」
「そうよー。これが正解だったのよー。直道さんの口に二人掛かりで小瓶を突っ込んで若返らせてー、あのデカブツを殴り倒して貰えばよかったのよー」
「いやいや、それ、絶対に無理でしょ」
最後尾で話を聞いていた直道がぼそりと言った