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就活と多様性

こんにちは。
私は仙台の理系大学院生です。
インターン先のボスから「note書いてみてよ」の一言。
普段物書きはしないので、何を書こうかとすごく悩みました。
ですが普通の「就活」とはかけ離れた、一風変わった経験をしたので、その経緯とか今漠然と考えることとか、自分語りをしてみようと思います。


就活が苦しかった。

昨年八月。私と同学年の人は、入学式以来のスーツに身を包んでいました。
就活シーズンの到来です。夏季インターンの枠争いに、みんな奔走していました。

その時の私といえば、唐突に「推しと同じ髪型にしよ」と金髪のロングヘアでした。

昔から、校則とか制服が嫌いでした。それゆえに、ただなんとなく黒髪にリクルートスーツというスタイルには、気が進みませんでした。
カジュアルで、との事前通達をよそに黒無地スーツで現れる就活生の中、「情報収集と社会勉強くらいはしないとな〜」と髪型も変えずスーツも着ないで、会社説明会に参加するとかしていました。

ご想像の通り、到底まともな就活とは言えないものです。そしてひとり毎日大学に通って、淡々と研究する生活を送っていました。
でも、ずっと思っていました。

「ああ、またみんなと同じようにできてない。」

あいにくなことに、私は子どもの時からかなり浮いていました。
何をしても、過大評価されもてはやされたり、上手くこなせず悪目立ちしたり。
学校の先生にとっても扱いにくい生徒だったと思います。そして「先生も人間なんだな」とか「バカみたいな校則ばっかり」とか、順調にひねくれまくり、私は「プライド高い、協調性ないやつ」に成長していきました。

「自分は他の人とは違う」、今でも私はそう思っています。
でも同時に、いまだに、「みんなと同じようにできたらどんなに良かっただろう、孤独でなかっただろう」と思うのです。

今現在、当然の如く世の中を回っている常識、習慣、秩序、システム。
誰かが作った"構造"を疑わず、ただその中へ柔軟に入り込めたなら。
時々そう思います。それでも、どうしても柔軟に同調し順応できない。
簡単に言えば、自尊心、孤立感、不器用の3点セットを揃えてしまったのです。

ここまで読んで下さった方はもうお気づきかと思いますが、やはり私は就活に全然向いていませんでした。

変わった人を見つけた。

そんな私が仙台のとあるベンチャー企業を見つけたのは、去年の11月でした。
アカデミアに絶望してしまった私は、諸事情も相まって博士進学を躊躇。でもアカデミア以外で、私が生きられるフィールドなんてあるのだろうかと彷徨っていた時です。

ネットで、かなり変わった人を見つけました。

その経歴は『修士で論文8本、研究者、起業、代表、釣りバカ』。
人のこと言えませんが、「何だこの人...」と思いました。ですが、これまでの就活を通して出会った「会社の人事担当の方たち」より、不思議と親しみを感じられたのです。単に私がずっと大学人と触れてきたからかもしれません。

変わった人が起業した、研究者による会社ってなんか面白そう。どんな人たちがいるんだろう。
知的好奇心とは恐ろしいもので、すぐさま連絡。ほどなくして私はこの企業にインターン生として採用してもらいました。

ちなみに、この時も”推しと同じ髪型”でした。面接の後日談ですが、代表は「なんか、尖ってて良いなと思いましたよ、ふふふふ笑」と話してくれました。本当にありがたいお話です。


多様性を歓迎する。

そして今年4月、通常のインターンを超えて、本格的な業務に2週間コミットする機会をいただきました。半年ほど前から在籍していたため、働き方や雰囲気、忙しさ、さまざまな課題について、認識のギャップはありませんでした。大体のことは予想通りでした。

でも一点だけ、予想外だったことがあります。

”多様性の尊重”です。

代表が毎朝「私たちは、メンバーの多様性を歓迎します。」と話すのです。

私は驚きました。
『組織の人間になる』という言葉があるように、ある組織に属したら、その組織の人間として教育され従わされ生きていかなければならないような、そんな空気がこの国にはあると思います。学生の私は、社会人になるとはそういうことだと思っていました。
しかしこの会社の人たちは全員、単純に"同じ旗のもとに集まっただけ"の人たちに見えました。少しも「組織の人間」に見えませんでした。いい意味で、なんだかバラバラしているのです。バラバラして衝突しながらも、確かに動き、機能し、進んでいました。

私はこの光景に、いつか行った『LEGOブロック展』を思い出しました。
話が唐突ですが、私には唐突ではないくらいのデジャビュだったんです。

たくさんの親子連れで賑わっていて、ブロックで精巧に作られた建築作品が並び、展示の最後には、実際にブロックで遊べる体験コーナーがありました。1人1枚、全員同じ大きさの正方形の基礎板を持ってきて、その上に自由に建物を作る。作り終わったら、好きな置き場所を選んでスペースに飾る。子どもたちに混じって、私も正方形を手に取りました。

それぞれの正方形、たくさんの作品が隣り合わせに敷き詰められていきます。これが不思議なことに、動いている一つの街に見えるんです。一人一人の作品はとにかくバラバラ。でもただの集合体が、確かに意味を成していました。
他のどの展示よりも面白くて、創造的で、ずっと見ていても飽きないんです。少なくともある人間1人の記憶にはっきり残るくらいの代物だったと思います。

ああしなさい、こうしなさいでは生まれないものや、バラバラの集合体から偶然的に生まれるもの、そういうものを私は面白いと思うのです。

多様性がそのまま保たれた空間が、意味そして価値を持つということを、今回仕事をする中で教えてもらいました。そして心地よいと感じられました。自分の個性・相手の個性を殺さないでいたい、多様性の中に身を置いていたいと強く思います。

珍しい生き方。

ハーフコミットした2週間は、本当に目まぐるしくも充実していました。

一息ついた今の感情は、第二の自分、みんなに同調できない苦しい人をもう見たくないなという気持ちが漠然とあります。(一般的な働いた後の感想とはズレている気もしますが。)
誰かのためにそうしたいなんて大それたことではなくて、完全なるエゴです。私と同じような人を見たら、何に対してか分からないけど、きっと気が滅入るし腹が立つし悲しいからです。

日本の就職活動は、何かがおかしいです。
求職における選択肢はもっとたくさんあるべきだと思います。型化されたシステム以外の選択肢が増えて、それが広く知られるべきだと思います。

だからこそ、今私は多様性のある環境を作りたい、そしてその素晴らしさを広く伝えてみたいとか、そんなことを考えています。微力ながら、そういうものに貢献してみたいです。

それを達成することで、「珍しい生き方でもいい」ということを、私は私に証明したいのだと思います。



いまいち締まらないですが、以上になります。
いずれ進路を決めたら、私の紆余曲折の就活体験について詳しく書いてみます。もしよかったら、その時は読んでください。
ありがとうございました。


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