プレーン味　Day4

Day4

珍しく朝に満足していた。
毎朝の機械音で起こされなくて良いなんて。

オフィスを往復する人にとっては朝の余分な睡眠が
最高の幸せだ。

隣の同居人はすでに出かけていたようだが、
どのタイミングで出て行ったのかは定かではない。



布団から半身だけを出してスマートフォンで
今日の待ち合わせ時間を確認する

昼前に起きた自分にあまり時間が残されていないことを
確認して、ゆっくり準備を始めた。

冷蔵庫の中にあった卵焼きとサラダに感謝しながら、
黙々と準備を始めた。

いつものお気に入りのボアジャケットとで今日も出かける。

そういえばさっきので歯磨き粉切れたな。



お目当てなものはないので、
今日はウィンドウショッピングだ。

と思ったけど、カッコ良いペンがあったので
仕事用に購入してしまった。

仕事は嫌いだがそこにお金をかけるのは好きだ。
自分でここに関しては分からないが、きっと見栄なのだろう。



今日も駅前で政治家が街頭演説をしているのを
横目に時間より6分遅れで待ち合わせ場所へ。

待ち合わせ場所には見覚えのある顎と
前髪の上がったメンズがいた。



まぁ、高校の同級生ってやつだ。マブダチとも言う。

「久しぶりに二人で飲むか」という男臭い話になり、
まさかの18時からアルコールを摂取することになった。

その前にマブダチの清純そうな彼女の
プレゼントを一緒に買いに行くことになった。



控えめに言って恥ずかしい。

世の中の女子に言いたい。
「男子は男子なりに頑張っている」

恥ずかしかった時間を詰め込んだ紙袋を持ちながら
そんな時間とは無縁な汚い居酒屋に入る。

「高校の同級生は今何をしているか」が鉄板だが、
仕事、恋人、結婚の話も出てくるようになった。

大人になったもんだ。いつまでも子供ではいられない。



ハイボールが口離れてサワーも受け付けなくなったので、
解散することにした。

男二人でジェラートピケはしんどいが、
男二人でまた汚い居酒屋はありだと思った。



帰宅すると、お風呂上がりの同居人が映画を見ていた。
よく分からないミステリー系らしい。

横に座って一緒に観ることにした。

「酒臭い」と言われそうなので、新しい歯磨き粉で歯だけは磨く。
それでも「酒臭い」と言われたが、
「僕は逆の気分だよ」とでも言いたい気分だ。