[RIZIN40]扇久保博正 VS. 堀口恭司 考察
RIZINのバンタム級で繰り広げられた王者・堀口恭司とその後を追うバンタム級GP覇者・扇久保博正のストーリーがこの対抗戦で決着を迎える。
過去に2度戦っている両者だが、その戦いはいずれも堀口が勝利している。
それだけに3度目の戦いに向けられる期待値はあまり高くはないが、両者が共に適正階級であるフライに落としたことで、その試合に注目できる要素が生まれた。
とは言ってもこの組み合わせで堀口恭司の有利の見方に変わりはないだろう。
扇久保も過去にTUFで海外の強豪を退けて準優勝まで上り詰めた実績があるが、堀口は本戦であるUFCの舞台でタイトルマッチまで進んでいる。
堀口はバンタム級でも規格外の実績を積み、Bellatorで王座も獲得している上に、現王者のセルジオ・ペティスに挑戦した際は、ほとんど勝ちを手中に収めるような内容を見せていた。
バンタム級で海外の選手と渡り合えるだけのパワーとスピードを持つ堀口が適正のフライに落とすのは脅威以外の何ものでもない。
フライに落とす上でのメリットは扇久保にもあるが、総合的なスキルで堀口に劣っている感は否めないところがある。
打撃でも組んでも寝てもアドバンテージは堀口にあるとは思うが、一つ懸念されるのは堀口の耐久力である。
元々打たれ強い方ではなかったが、セルジオ・ペティス戦と前回の金太郎戦を見て、以前よりも打たれ弱くなっているように見えた。
浅い打撃でも意識が飛びやすくなっているように見える。
仮にそういった変化が堀口の身体に起きているのであれば、打撃での勝負に大きなリスクが生まれてしまうので、思い切りの良さや安定感に欠けてしまうことに繋がるだろう。
凶暴なまでの攻撃力が堀口恭司の特筆すべき強みであり、そこに日本人離れしたパワーが加わることでとんでもないモンスターになっていたところがある。
本当にそこが下がって来ているのだとしたら、3度目の勝負は以前のような内容にはならず、堀口が手を焼く展開になるかもしれない。
ただ扇久保にそこを突くだけの可能性を感じるかというと、それも怪しい。
扇久保の強みは打撃というよりもテイクダウン能力とトップコントロール能力の高さにあって、削って削って勝利をもぎ取るスタイルなので、金太郎のように一発の怖さがある感じでもない。
なので可能性があるとしたらカウンターになるだろう。
今やこれは対堀口恭司を想定する上で定石とも言える一手であり、事実パラメーターの高い堀口の弱点ともいえる要素でもある。
少しでもヒットすれば意識が飛ぶ可能性のある堀口にとっては、その危険は以前よりも増しているのではないかと思う。
フライの階級になってスピードはお互いに増すことになると思うので、カウンターの衝撃も大きくなるだろう。
だからもしかしたら堀口は金太郎戦の時のように、組んで距離を潰してから寝かして一本を狙う動き見せるかもしれない。
勝率が異常に高いダゲスタンの戦士が見せる必勝スタイルにも近いものがあり、リスクを抑えて一方的に相手を制圧できる可能性のある戦法だ。
それを実現するだけのパワーと技術が堀口にはある。
しかし今回の対戦相手である扇久保にはその戦法が簡単には通じないと思うので、ストライキングに変化が生じた分、堀口にとって今回は以前よりも難しい試合になるのではないだろうか。
バンタム級GPでも下馬評を覆し続けてきた扇久保は難敵から勝利を奪う実力とツキを持っている。
今の堀口恭司はセルジオ戦からも分かるように最後まで危険が拭えない感があるので、扇久保がまさかを起こす可能性は試合終了の瞬間まで残るだろう。
2人にとって新たな始まりとなるフライ級の一戦を制して、良いスタートを切るのはどちらか。
この試合の内容によってRIZIN・Bellator両団体のフライ級に対する見方も変わってくるだろう。
そう意味でもこの一戦は大きな意味を持つ勝負になってくる。
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