生き延びる

鬼ネガ。あとで見たら笑っちゃうくらいには。だから大丈夫

生き延びる

鬼ネガ。あとで見たら笑っちゃうくらいには。だから大丈夫

最近の記事

なし

砂利道たばこ吸って ベッドに伏せ こんな夜中に何してんだろって 何してたっけって 宙が廻りながら 俺の頭の上に落ちて 昔読んだ本が 足元に散らばって 面倒くさいから 全部やめたい 膨らんで萎む腹 食い破る ハラの蟲 シーツのほつれ 爪引っかかった 腹立たしい存在 上滑り言葉 地獄の底まで叩き落としたら 砕け散った頭蓋骨 鬼交の果て 莫迦って言うんだそういうのって あんたら笑ってた 通らん憂鬱 あんたら二重の幽霊 今に奴が殺しに来る 腐った目玉が宙ぶらりん 俺には分かる 分かる

    • 脳散

      掻き乱されるのも 溶かされるのも 支配されるのも 嫌いじゃない 苦しみながらも望んでいる 代償は大きい それでも それでもやっぱり 自由がすきなんだ 寂しくても 独りでも 誰といても 僕は自由がいい 散らばった脳みそ掻き集めて 知の塔に集約したいんだ 蛹のまま這いずり回って散らばったら 生温い繭の中でまた考えるんだ 僕はいまどこにいる 僕に羽は生えるのか 命投げ出すなんて 図々しい 僕は考える ただ空が綺麗だと 冷たい空気が肺を癒すのだと 再び理解し得る知性を取り戻すまで

      • 苦しさ

        苦しい 独りじゃいられない夜 誰かと一緒にはいられない朝 今日何度目かの安定剤を飲んで 効いた気はしないが 覚えたてのオイルライターで煙草に火をつける 日が暮れるまで寝て のそりと起き上がり また指が黄ばむまで吸っている なくなればコンビニへ 3番目にお気に入りの8ミリメンソールを買う 当たり前に本など読めるはずなく 知識の恩恵を受ける資格なく もう音楽すら聴けなくなれば 大して腹も減らないのに食って寝る 夜 3階のベランダから下を見る ここじゃ低過ぎて飛べそうにもない 今羽

        • 2022.5.1

          どうかわたしのことを忘れないでいてください あなたの屋根裏部屋の片隅に、二番目のひきだしの中の、モンシロチョウの標本と一緒に わたしの小さな欠片をしまっておいてください それはわたしのいちばん綺麗な宝石なんです あなたにあげた、最後のわたしです あなたのなかにある、いちばん綺麗なわたしです だから、幾度となくやってくる重苦しい冬を振り払い、憂鬱な春の訪れと共に思い出してください 屋根裏部屋の二番目のひきだし モンシロチョウの標本と、わたしの泪のかたち あなた

          球根

          どっかに気晴らしに行ったからって 心晴れるわけじゃない ほんの数ミリ、誤差みたいなものだ 使い終わったリトマス紙の端っこの方がちょっと乾いてるような、そんな程度だろうな それに、いつでも曇らせとかなきゃならんと思っているのかもしれない 晴れたあとの、ザーザー降りの大雨との落差に耐えられないと思うから 備えて大差ない曇りか、小雨を自分で降らせているのか 馬鹿げているけど 誰が咎めていいものか 誰にも何も言わせたくないよ 根元からごっそり 植え替えたい 腐りかけた球根から、力尽

          散文

          腐りそうになります どうしてわたしばかり分かってあげなくてはならないんでしょう 何故あなたたちの分を 私はたべてあげなきゃならないんでしょう わたしはもうこの通り こんな生き物になってしまいました のぞまぬ姿です それでもすきです でも 選択肢なんてありませんでした ふさいだ口にあなたたちがその手をねじ込みました 「許して 分かって 」 その禊を幾度となく重ねながら 傍若無人 やがてのどもとがつっかえて わたしのことばは両刃のえものになり果てました わたしはあなたたちの道具

          無題

          僕だけの朝 僕だけの空 僕だけが知っているのに 紛い者の太陽は 宇宙をひとつ奪い去っては嘲る でも君が掴んだそれは紛い物なんだ 詰まらない黒い靄 臓腑の錆 思い出も失せた幻 とても残念だよ さようなら 僕の誘蛾灯 僕だけの本物は 誰にも秘密なんだ 虚しい烏鷺の中に 惑星の粒をためて 彼らのひそひそ話に耳をそばだてる ただそうやって うっとりしていたい 飴細工みたいな螺旋を織る 天に昇ることばかり考えて 根を張ることや太い幹を作り損なった あまりに脆弱だけど ヒビは太陽が溶

          無題

          一番誰かいて欲しい時に 誰もいない 一番いて欲しいあなたが いない 嘲笑ってるんでしょ 恨み言しか出ないわ 信じらんないわ 僕は今一番寂しい 今が一番 言っても 言わなくても 言う方が寂しいんだ だから言えなくなったよ これ以上もあるだろうに 殺されたい 否 頭悩ませたいのね もうこれ以上はないよ もう面倒臭いのさ 臟ぶち撒けて こん中から好きなもん選びとってよ 莫迦な僕 狡いあんた 狡い僕 無意識の策略 早く早く 終わって仕舞えばいいのに 何にも分からなくなって 穢らわし

          中途半端

          ひとりでいたいんだ どうでもいいんだ そう在りたかったんだ どこにでもいられる 属さない誰かに よく見て ハリボテなんだ 好きなものってなんだろ 好きなのに 本当は好きじゃないんだ どうしてこんなからっぽなんだろ 僕には何もないよ 持てるものも 見えないんだ 愚鈍で面目ないけど 今は譲れないんだ 君を否定してしまうのに そう思うわけなんだ どこまでいけるかな どこまでこえるかな 僕は僕を見てる 何もする気はないんだ 何か滾っても 正しいと思えないんだ だから待ってる いつか

          2022.2.13 鳥になって空を飛んで 水の中で光を見た はじめて息をした あまいあおいろが 目から鼻から 入り込んで 粘膜に吸いついた 瞼の上をクジラが撫ぜ ぼくの世界は薄い膜で覆われた 血の色が透け 鼓動が胸を打つ 脈拍のベールが幾重にも 冷たくさらりとした指先みたいに 何処までもあおく果てしなく続いた やがてやさしく息をとめ 光が羽の間からこぼれいでる あぶくよりも柔く 水の中に消えゆく 枷は解けた わたしは放たれ 漂い続ける幻になる 水の中で 羽を広げた

          2022.2.9 寄生虫は 虫に宿り いずれ腹を食い破る 下界に出でた 奴等は 硬くなって 蛹になった おれはそいつを 踏み潰した ジャングルジムの下 潰すつもりなく 踏んだ 罪悪感 いや 潰れるのだろうと思った 身がはみ出し 砂と混じって 塵芥に成り果てた 甘い罪悪感 俺はこれが好きだ 性に合う 麻薬さ 人の生活を覗いた 言われるがまま 聞き続けた 情もあったが 望まれる言葉を 吐き続けた 望まれる言葉しか 望まれなくなった おれはいなかった 奴に食い破られた虫螻みたい

          十字

          2021.11.28 お前は誰だ 頭の、頭の外にぼうっと 蜃気楼みたいに おめぇは俺の外に立っている ゆらり声も発さず 俺に話しかける 「消えちまえ」「ゴミ屑」「死んじまえ」 お前は日が昇るまで、そうやって うるせえ奴だ 頭を振ろうが、叩こうが 唸ろうが、お前は消えない 錆びた釘で 肉を引っ掻くように ぷつりぷつりと 膿が弾け もう 考えることも 止めさしてくれ 飯を食うにも 惰眠を貪ろうにも お前がいる限り 俺は疲れたまんまだ 快い朝など 有難い朝など 生活など出来ぬ ただ

          予感

          君とは道を違えるだろう いや既に 君の踏み出した一歩 その爪先は東の方向へ ぼくは西へ 道を違えたのだ 辛く寂しい 違えたというのに ぼくが縋り付きたいのは君だ ぼくだけの滑稽な予感か 君だけの些末な優越感か いつまで肩を触れ合わせ 同じ信仰を抱けるのか もう既に 君はいない 君はぼくの道しるべで待っていてはくれない しかし ただひとつの運命に向かって生きることは 君にもぼくにもできないように思う 本当の孤独には耐えられないだろう 時に火の前に身を寄せ合い 食事を共にする そ

          みずのなか

          透けて 青いのに透けている 重い鉛みたい まとわりつくこれは 液体 さらさら つるつる でも どぼんと入ってしまったら どこからどこまでが私で どこからどこまで水の中なのか わからない 魚になったら足がなくなった だからイルカにまたがって 波間を越えたの トカゲやヘビにもなってみた 鳥の頭を付けてみた でもやっぱり 人間に進化した 嬉しくないわけじゃないの だけんどやっぱり みずに みずになりたいな 果てしなく どこまでも

          みずのなか

          輪郭

          真っ黒く塗り潰した 何も無い闇 天地もわからず 歩いていた 何も無いこの闇は 静謐な死の匂い 鼻腔に纏わり付き、粘ついて不快な闇 僅かに月明かりが差した 奇妙な程大きく、くすんで、生々しい、妖しい月の貌 照らされた私の輪郭は白く光り ぐにゃぐにゃ歪みながらどこかへ飛んでいった 闇に手足が埋もれていく 重油に呑まれるように 私を型どる線はもう無い 永遠に もう二度と、傘もさせない あの山高帽の紳士が がらんどうなまま こちらをみていた

          in

          何かが間違っている 私は かつて私は 水や空気、光だった すべてだった すべてが私であり 私がすべてを構成していたのに 今や私は 両手で水を搔き 青さに心奪われ 暗部に恐れを抱くこともない 私は水なのだから 私はただ この世界の青さになって 混じり気のない私のまま 在るだけ