見出し画像

球根

どっかに気晴らしに行ったからって
心晴れるわけじゃない
ほんの数ミリ、誤差みたいなものだ
使い終わったリトマス紙の端っこの方がちょっと乾いてるような、そんな程度だろうな
それに、いつでも曇らせとかなきゃならんと思っているのかもしれない
晴れたあとの、ザーザー降りの大雨との落差に耐えられないと思うから
備えて大差ない曇りか、小雨を自分で降らせているのか
馬鹿げているけど
誰が咎めていいものか
誰にも何も言わせたくないよ

根元からごっそり
植え替えたい
腐りかけた球根から、力尽きてか細い芽が生えている
毎日毎日、出てきてはぽっきり折れる、自ら手折るのか
花を咲かせようと頑張る前に死ぬなら
いや、そんな面倒で失敗しそうで疲れそうなことするぐらいなら
明日の自分に希望を手向けることもやめてしまおう
明日なんて来なければいい
地球が滅亡したらいいのに
そんな生き方を変えたい
一瞬だけ、咲いて
あっけなく散りたい
でも小雨が毎日降っているから
諦めきれないわりに、球根は腐敗したまま
貧しい僕
まだ見ぬあなたのために生きるだけ
あなたにとっておきの花束を渡したいから

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?