牧 奈穂

塾講師をしながら、高校生の一人息子を育てているシングルマザーです。息子はIQが高く、個…

牧 奈穂

塾講師をしながら、高校生の一人息子を育てているシングルマザーです。息子はIQが高く、個性的な生き方をしています。IQが高いことは、時に孤独を感じるもので、そんな息子をずっと見つめてきました。 日々の出来事から心が動いた瞬間を、写真撮影するように文字に残していきたいと思っています。

最近の記事

思い出の場所である海へやってきた理由

彼と出会って、1年になる。 結婚生活を25年した私は、同じ生活を続ける我慢はできても、男性を信じることができなくなってしまった。そんな自分の心に向き合った1年でもある。 「せっかくの記念日だから、京都まで日帰り旅行をしましょうか?」 彼のめずらしい提案に心が躍った。紅葉を見ながら、ちょっと贅沢なランチをし、着物を着て京都の街並みを歩く…息子とはできないような、大人の休日が目に浮かぶ。 「いいですね! ぜひ、行きましょう!」 小さな子が、遠足を楽しみに待つように、私もその日

    • マッチングアプリで出会った彼に伝えたいこと

      今からちょうど1年前、新聞記者をしている彼と、マッチングアプリで出会った。 全く違う世界で仕事をしている彼と、話をしてみたい。 どんな人だろう? 少しずつ仕事の合間にメッセージを交わしながら、お互いの話をし、気づいたら1日でかなり話をしていた。 昔から知っている人のように、彼とはどんどん会話が進む。 出会ったばかりなのに、何ヶ月も話をした気分になっていた。そして、アプリで出会ったわずか5日後に、私たちは会う約束をした。 実際に会ってみると、何となく違和感があった。 メッセ

      • 彼との癒しの時間がなくなったとき

        バツイチの私は、塾講師をしながら、高校生の一人息子を育てている。 そんな私にも、昨年の秋からお付き合いをしている男性がいる。 息子が高校生になり、自分の人生について考える時間ができると、子離れの現実が寂しく心に響くようになった。息子を手放さねばならないなら、もう一度、心が寄り添えるパートナーを探し、やり直してみたい。元夫と結婚している時でさえ、理想的なパートナーと出会うことを願い続けてきた。でも、思うだけでは、人生は変わらないものだ。黙って待っているだけで、幸せが勝手にやって

        • 命が尽きても教えてくれた、生きる上でいちばん大切なこと

          夜の10時過ぎに、家の電話のベルが鳴った。こんな時間に何だろう? 夜遅くの電話にあまりいい知らせはない。 「もしもし……」 出てみると、電話の向こうから男性の声が聞こえた。 元夫の昔の同僚からだ。元夫は、塾講師をしている。昔一緒に働いた先生からの電話だった。 「あっ、奥さんですか? ご無沙汰しています……」 慌てている様子だ。 「もう10年以上お会いしていないかもしれませんね。ご主人の携帯電話にお電話したのですが、出てもらえなかったので、電話番号が変わったのかもしれないと思っ

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          Instagramでオススメされていた本が教えてくれた人生哲学

          「人は変わるために学ぶ」 Instagramで見かけた本に惹かれ読んでみると、この言葉が心に響いた。人は、変わるために学んでいる。私達家族も、生活を変え、生きる道を変えながら今を生きてきたような気がする。 2018年1月、息子が小学5年生の冬、我が家は大きな節目を迎えた。 夫が転職をすることになったのだ。単に元の職場を離れなければならない理由があったからで、明るい未来を見越してのものでは決してなかった。必死の就職活動の先に、やっと光を見出し、新しい生活をするしかなかったと

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          我が子を心配することが、間違いだったことに気づいた瞬間

          息子は、本気で東大を目指している。 真面目で成績優秀な子なのだろう……と思われるかもしれない。力もないのに、目標が高すぎる子なのではないか? と思われるだろうか。 息子は、優等生でも、大きすぎる目標を掲げているわけでもない。田舎に住み、父親のいない家庭で育っている息子に、合格ができるかどうかは分からない。開成高校が不合格だった息子が、合格した生徒達を見返してやりたいとやけになっているようにも見える。 なぜそんなにムキになって東大を目指すのだろう? 開成高校が不合格だったからだ

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          息子が開成高校受験を通して人生が変わった瞬間

          息子は、IQが146ある。 一般的に人のIQは、100〜110と言われている。東大生の平均IQが120だそうだ。だから、息子はIQが高いグループに入る。 IQが130以上の子供たちを、アメリカでは「ギフティッド」と呼ぶらしい。IQが高いということは、何でもできる秀才であることとは違う。ギフティッドと呼ばれる子供たちには、凹凸があるからだ。数学的な能力が優れているかと思うと、別な分野では同年齢の子供たちより劣る面もあり、アンバランスなことがある。通常の学級の中に収まることができ

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          人生のどん底に落ちた時に、私が見つけたものとは

          息子が小学5年の秋のことだ。私達家族にとんでもないことが起きた。 「ちょっと座ってくれる?」 夫が、私の前で深刻そうな顔をしている。 いつも、夫からとんでもない話をされてきた私は、嫌な予感がした。 黙って話を聞いていると、夫は眉間にしわを寄せながら、ひと言つぶやいた。 「会社、クビになっちゃった……」 「……」 今まででいちばん強烈なワードを私に投げかけてきた。私は、あまりの衝撃で呼吸さえできない。全身の血の巡りが止まってしまうくらいの驚きだ。これまで、夫のことで悩み続けてき

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          HSPである私の行動心理

          HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉を聞いて、人はどんな人を思い浮かべるのだろうか? あくまで自己診断だが、私はHSPだ。 今では、だいぶ広く知れ渡っている言葉のようだが、簡単に言えば、「とても繊細な人」を表すカテゴリーと言えるだろうか。気質であって障害とも違う。 私の場合は、人混み、音、匂い、痛み、目に見えない「人の空気」に敏感なようだ。子供の頃は今よりもっと刺激に弱く、学校に行くのが苦痛で不登校になったこともある。そして、普通の人より、喜びや悲しみに対する

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          たった一人の出会いによって、先生としての私が変わった瞬間

          私は、塾講師をしている。 どんな職業であれ、業界の裏はきれい事だけではすまないものだ。塾講師という仕事は、皆が休んでいる時に働かねばならない仕事と言える。体力的にもハードで、授業だけをしているわけでもない。生徒たちが塾に来るまでは、事務的な業務もある。指導力の他に、営業力も必要だ。 20代の頃、塾講師としての私は意外に人気があった。面白いほど、生徒がついてくる。生徒たちは、少し年上のお姉さんだった私に興味を示してくれただけにすぎないが、決して悪い気分ではなかった。それでも

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          成長するもの、しないもの

          私は、料理が苦手だ。 苦手というよりは、好きではないと言ったほうがよいかもしれない。 レシピを見て作ろうと思えば、きっとそこそこの味にはなると思う。3年間、料理教室にも通ったことがあるし、ケーキもパンも焼いたことだってある。だが、習ったレシピを引き出しから出すことがとにかく億劫なのだ。 学生結婚した私は、友人から聞かれたことがある。 「いつも夕飯に何を作ってあげるの?」 「湯豆腐」 「……それって料理って言える?」 友人は吹き出していた。 料理が好きではない私が子育てを始

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          バツイチの私が離婚記念日に始めたこと

          シングルマザーとして、塾講師をしながら一人息子を育てている。 離婚してから3年が過ぎたところだ。私は25年間結婚していた。 私が「書く」ことにこだわる理由を語るためには、結婚生活と離婚が切り離せないような気がする。 結婚をしたのは、20歳の時だ。当時人気者だった塾の先生と恋に落ち、友人の誰よりも早い結婚となる。華やかな人生を歩き始めたかのように見えた私だが、結婚生活は思い描いたものとは違っていた。夫とは価値観が少し違っていたようだ。結婚生活は、忍耐が必要で恋愛とは違う。繰り返

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          リミッターを外した先に見えた、私の恋活

          「リミッターを外す」 これが、大人の生活を楽しむためのコツではないだろうか。 大人は、知らぬ間に心に制限をかけてしまう。社会から期待される「自分」を演じていくうちに、常識的に生きることを身につけるからだ。若い頃の尖った部分は社会の中で削ぎ落とされ、次第に「大人の自分」を演出できるようになる。そして、それと同時に心にたくさんのリミッターをかけ始めてしまう。 だから、大きな挫折や失敗を経験した時はチャンスかもしれない。「幸せ」や「成功」と言われる人生のレールから逸脱した時、「リミ

          リミッターを外した先に見えた、私の恋活

          部活に後輩たちに息子が最後に伝えたかったこと

          「あれ? 何だかユニフォームが小さくなったみたいだね?」 久しぶりにテニス部のユニフォームを着た息子に、問いかけた。卒業式が間近に迫った日の朝のことだ。その日は、後輩達との「お別れ試合」で、久しぶりに部活に行くところだった。 「高校に入っても、部活をしようかな? 勉強するにも体力って必要だよね。受験勉強を本気でして、そう思ったよ。テニスも好きだし、何かの形で続けていきたいな」 明るく話をしながら、息子は、私より一足先にお別れ試合に出かけた。 私が中学校のテニスコートに行く

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          心療内科の先生から学んだ人生の歩き方

          今から15年くらい前の話になる。 息子が1歳の誕生日を迎えたばかりの頃だ。ある日、とんでもない物を見つけてしまった。 夫と息子がお風呂に入り、私が一息ついていると、なぜか夫の机の中が気になる。何だろう? 開けてみると、あるはずのない貯金通帳が出てきた。お風呂から出てきた夫に、「これは何?」と話を聞く。嘘を重ねていたが、夫には私が知らない顔を持つことが直感で分かった。 天と地がひっくり返るとは、こういう時を言うのだろう。女性とお金の問題があることが分かった。ドラマのような出来

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          彼が徹夜をしてまで取った休日に伝えたかった心の中

          シングルマザーの私は、塾講師をしながら一人息子を育てている。子育てに励む私だが、息子が高校生になると生活が変わり始めた。子離れを余儀なくされたからだ。寂しさを感じながらも、私は自分自身の人生を見つめ直してみようと思うようになった。 もう一度、パートナーと出会いたい。 ずっと心の底にあった思いを素直に認め、行動してみることにした。40代後半の私には、自然に相手を見つけることは難しい。さらに塾講師は、夜遅い仕事だから一般的な会社員とは時間がずれてしまう。そこで出会いを求めて、恐

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