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読書感想 村上春樹 国境の南、太陽の西

村上春樹さんは大好きな作家の一人です。

作品はほぼ全て拝読しました。



どれもみんな素晴らしいのですが、
その中でも特に好きな作品をあげるとするならば、
私はこの「国境の南、太陽の西」、
「羊をめぐる冒険」、「スプートニクの恋人」
あたりかなぁ…と思うのです。

あーでも、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、「ねじまき鳥クロニクル」
も捨てがたい……


でも、年齢を重ねたあとに再読したら、また印象は変わるかもしれないんですけどね。


さて、こちらの「国境の南、太陽の西」
ですが、
ストーリーだけで言うと、「ありふれた不倫小説」で片付けられちゃうかもしれません。


でも、それにどうしてここまで惹きつけられるのか。


それはもう村上春樹さんの筆力よ!!
表現力よ!!


すごいです。よくぞこんな小説が書けるなあと尊敬します。


この作品には、相手に対するどうしようもない熱情と、
それによって激しく揺れ動く心のありさまがとても丁寧に描かれています。

ホントに熱情です。苦しい苦しい葛藤の連続です。

一人称で進行するその熱情の描き方が、
普通の不倫小説とは一線を画しているように思います。


(つっても私は恋愛小説はそれほど読んでるわけでもないのですが……すみません)



「この先島本さんと会うことはもうあるまいと僕は思った。彼女はもう僕の記憶の中にしか存在しないのだ」


「そんな金は最初から棄ててしまうべきだったんだ。そんなものをもっていたこと自体が間違いだったんだ」


ほんの小さなきっかけで、魔法からさめる瞬間ってありますよね。

どうしようもない欲望に突き動かされたとき、刑罰以外に自分を律するものはなんなのか。

私はそれは、自身の経験からつちかった良心なのではないか、と思ったりします。


村上春樹さんは人の心を引っ張る魔法の文章を書く作家さんだと思います。

私もその魔法をかけられたひとりです。


この作品は村上春樹さんの著書のなかでは目立たない存在かもしれませんが、私はとても好きです。

村上春樹さんは好きだけどこの作品はまだ読んだことがないという方。
村上春樹さんて、ノルウェイの森だけ読んだけどイマイチ…っていう方。

ぜひ一度読まれてはいかがでしょうか。

また違った魅力を発見できるかもしれませんよ。








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