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女性活躍推進は誰のため?

世界的にも遅れをとっている女性の働き方を改革するために 7年程前に成立した法律です。日本の女性は非正規社員が多く、平均収入も最も低いデータが出ていて、今でもさほど変わらない。

特にシングルマザーの非正規社員の場合、子供の教育活動にも大きく影響し、子供の生涯年収の低下が危惧される。未来の日本を背負っていく若者に選択肢の多い将来を見つけてもらうためにも 親の貧困から見直す必要がある、ということでしょう。

この考えは ごもっとも。でも今更??と言いたくもなります。

私の記憶では 「ダイバーシティ」の言葉がはやり始めたときから 男女の雇用差別の話は出てきたと思います。かれこれ25年?いやそれ以上前からでしょうか。

そんな頃、ある大手製造業で 女性の働く意識改革の研修や評価基準の改定が行われていた。 私はちょうどキャリアコンサルタントとして その女性社員向けキャリアアップセミナーに同席しました。

参加者は一般職として入社していた40代以上の女性のみ。
講師の外資系銀行エグゼクティブマネージャーの女性管理職。
それまでの企業風土では 女性はお茶汲み、男性社員の補佐的作業、雑用と言われる仕事を笑顔で引き受けてきた彼女たち。
鳩が豆鉄砲を食ったよう・・とはよく言ったもの。講師の発言の一つ一つが 彼女たちの長年培ってきた常識を覆し、何も考えられなくなった様子がありありと見えたのでした。まるで彼女たちは会社に何も利益を生んでいない存在・・と聞こえる内容。

時代の変化は仕方がないとしても、あまりに唐突すぎませんか?と 研修後、私見を求められた時には素直に答えました。彼女たちが捧げてきた長い時間を「無」にされたような、、とても悲しい気持ちになりました。

その研修からもう20年以上。
女性の働く意識は あの頃とは大きく変化しました。でもそれは高等教育を受けた正規社員で働く女性がほとんど。だから四半世紀経っても いまだに女性の地位向上は 目に見えるほど上がっていないという現実があります。

それでは何がネックなのか? よく言われる理由はこのようなもの。
「既成概念=男性が社会に出て、女性は補佐、という考えが いまだにはびこっている」
「結婚、子育て、介護などで女性は企業で働きづらい」
「そもそも女性が管理職になりたがらない」

管理職になりたくないのは 女性に限らず 今の若者全体にいえることです。
出産は女性しかできない。こんなことは人類の起源からわかり切っていることで、今に始まった話ではない。子育てや介護は女性・妻だけの仕事ではない、という方向になってきた。
最後に既成概念。人の意識の変化は簡単ではありません。
そして 私は この既成概念は男性の中にあるだけではないと思っています。女性の中にも まだまだ残っているのでは、、と。

これは男女だけでなく、様々な「差別」の中にもあるものだと歴史から学ぶことがあるのです。
差別を受ける側は 当然ストレスがかかります。人はストレスを感じたくない、と本能的に思います(人の防衛反応)。
そうすると どこかで「差別を受けている自分」を意識的に排除しようとします。これが長期化すると 差別を受けること=この場合は 女性だから要職に付けない、賃金が低い仕事しかできない、ということを 当たり前のこととして 受け入れる。 「世の中 そういうものだ」と 不満=ストレスを感じなくなるように 脳が防御反応を示すのです。 
結果的に そこから脱出するために 努力する、頑張る、という活動をしない ➡ しないでいい、という思考になっていく。
闘うのは疲れるもの、このまま平和に過ごせれば それでいい・・・。

私は男性と女性が全く同じ仕事ができる、とは思っていません。
良くも悪くも 男性と女性は 考え方の基準がそれぞれ違うものを持っているからこそ お互いが補い合っていける社会ができると思うから。

今 男性中心の社会から、やっと世界に習って女性活躍推進法ができたのです。
疎外要因はまだあるものの やる気次第で変われる時代になりました。
その「やる気」は すべての女性自身の中に眠っているもの。
自分が持っている魅力、経験から得たものは 他の人にはないものです。
せっかく時代が女性の飛躍を応援してくれるなら それに乗っかる手もありですね。

女性活躍推進法は 誰のため?  
  これを読んでいる女性 あなたのことです! 
      と 私は女性の背中を押したいのです。





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