教室環境や事業所のセットアップに使えるいくつかのアイディア
■環境設定のアイディアはここにある!?
研修での質問やスタッフさんとのやりとりで、教室環境や部屋作りに参考になるものは何かありますか?という質問を良くいただきます。
研修/福祉の本/発達障害関連/保育の本/教育の本にも環境設定のアイディアはたくさん書かれているのですが、
●すでにみさなん見ていたり
●たくさん見ても同じような例が載っている
ことなどが多いので悩んでいるようですね。
僕も良くアイディアを貯めていて、そういった際によくお答えするのは、「それ以外から情報を得ること」です。
具体的にいうと、
●片付けの本→環境の整理整頓の工夫など
●デザインの本→見やすい、使いやすい工夫
●建築の本→動線や部屋の配置使い方など
など、一見関係のなさそうな情報に「使える情報」がたくさんあることです。
さすがその道の専門分野です。
少し視点を広げることでとても良いアイディアをたくさん集めることができるので、行き詰まった時は畑違いの情報も参考にしてみるのが良いかもしれません。
自分の中の環境設定のパターンを増やすことが重要です。(パターンを増やしてそのまま使うのではなく、子どもに合わせて応用するために!!)
もちろん、見たものをそのまま使おうと思ってもうまくいかないこともあると思うので、
●活動にあわせる
●ユニークな個性に配慮する/強みを生かす
と行った視点があることでうまくいきやすい環境に近づくかもしれません。
支援員や先生は子どもの理解の専門、それに、さまざまな専門の環境設定のアイディアがプラスされるともっとバリエーションが増えますよね^_^
本当にユニークで様々な個性を持つお子さんも多いので、ジャンルや専門領域に縛られすぎずに「視点を広げることでとても良いアイディアをたくさん集める」ことが重要かなと考えています。
教材作りにも同じようなことが言えると思います。
アイディア集めで活用している本をいくつか載せておきます。(ほんの一部の例)
■環境設定の例(2歳のお子さんの早期療育セッションの様子:A君)
お子さんのコミュニケーションが出やすいようにいくつか設定しています。
●すぐに対面にまわれる環境設定
●お子さんからの指差しを引き出すために壁にお気に入りのキャラクターを貼る(切り抜きで形のパズルにもなっています。)
●自由に触れるおもちゃ(本人の遊びに付き合って広げていく場面)と高いところにおもちゃを設定して、選択やコミュニケーションなどを引き出す設定の2パターンでおもちゃを設定しています。
●ボールプールも窓が付いているのでアイコンタクトを狙ったセッションを狙っています。
このセッションでは
●こどもの自発的な表出
●こちらの指差し理解
●本人の指差し
●おもちゃ等を使った模倣
アイコンタクト
などを目標にセッションしていました。
■環境設定の例(2歳のお子さんの早期療育セッションの様子:B君)
このセッションのお子さんは、机上のセッションができるお子さんだったので、一対一のエリアを別に作って、
フリースペースと一対一のエリアでねらいを変えてセッションしていました。
●フリースペース→子どものリードに沿って遊びを広げたり、目標行動の練習
●一対一→見通しの持てる教材などを活用して、こちらの設定で模倣やコミュニケーションを教える活動
一対一のエリアは、学習以外にも、
●遊びを教える
●コミュニケーションを教える
など、
色々なことを学習しやすいと活動になっています。
このセッションでは
●こどもの自発的な表出
●こちらの指差し理解
●本人の指差し
●おもちゃ等を使った模倣
●アイコンタクト
などを目標にセッションしていました。
■環境設定の例(特別支援学校の小学生の女の子の個別療育環境:Cさん)
この女の子のセッションでは、教室をいくつかのエリアに分けて(一部活動を共有しながら)活動設定しています。
●プレイエリア
●個別エリア→一対一で課題やコミュニケーション、ライフスキルの積み上げセッション
●自習エリア(自習、お手伝い、iPadの活動を共有してます)
発語やコミュニケーションが少ないお子さんだったのでPECSのブックを使いコミュニケーションの練習もしていました。
本人がわかりやすく、自分で気がつけるように、視覚支援や環境整理のアイディアも活用しています。
■環境設定の例(年長さんのPECSを活用したコミュニケーションの練習場面:D君)
PECSというコミュニケーションの療育方法でコミュニケーションの練習をしているお子さんの、療育環境の一場面です。
PECSのフェイズ1という段階の練習場面で、対象のお子さんの好きなおもちゃが、動きの大きいおもちゃもあるため、少し広めの環境設定にしています。
おもちゃが選びやすいように並べていて、選んだおもちゃで遊び始めて、モチベーションが高いおもちゃでコミュニケーションの練習をします。
それぞれのおもちゃは遊び方などをアセスメントしていて、コミュニケーションの設定や遊びのルーティンを作っているおもちゃを用意しています。
コミュニケーションの練習は、環境も大事ですが、関わり方やおもちゃを使った活動の設定、本人のモチベーションもとても重要になってきます。
■環境設定の例(2歳のお子さんの早期療育の設定:E君)
目標の中に、
●アイコンタクト
●指差し要求
●指差し理解
●ジョイントアテンション
、、、などが目標の中に入っているので、
環境設定として
●臨機応変に対面の設定がとりやすい
●想像的に遊べるおもちゃ
●指差ししやすい、音の鳴るタッチ絵本
●本人が主体的に遊びを選びやすい設定
●ジョイントアテンションや要求に活用するために壁におもちゃを貼り付けておく
など、、、 の工夫を考えていました。
■環境設定の例(幼児の家での過ごし方:F君)
写真は部屋の写真ですが、「壁にアクリルボードを貼り付けているので、お絵かきできる設定」になっています。
子どもは壁になんでも描きたいですけらね。(世界を色々と広げていきますからね。)
いつの間にかお絵かきスペースになってることがあります。
子どもが壁にお絵かきしてしまうので、お絵かきを禁止したり、ペンを全部隠してかけなくするといったこともよく耳にしますが、なくすということだけでは、中々欲求が満たされないこともあり、別のやってほしくない行動につながってしまう場合もあるかもしれません。
環境整理して行動がおきにくくすることも重要ですが、本人の強みや興味関心もうまく活用して、「ここの場所はお絵かきできる」と言ったようなルールや注目、やって良い行動のメリットを教えていくことも重要になることがあります。
(今回の例のように、壁に書くことはダメ、ペンを持たせられない、、、ではなくて、ここなら描けるよ、ということをきちんと教えていくことなど)
また、いきなり伝わらないお子さんには、
1:いつも座っている机でホワイトボードにお絵かきできることを教える
2:使っていたホワイトボードを壁に貼って、壁のホワイトボードにお絵かきできることを教える
などスモールステップを使うとうまくいくこともあるかもしれません。
年齢問わず、視覚支援などもそうですが、作って提示して終わってしまい、上手くいくいかなくても、子どもやご本人さん次第になってしまい、せっかくの視覚支援もあまり上手くいかない結果になってしまうことがあります(視覚支援についてはいずれ、別の記事で書きたいとおもいます。)
作ったら、提示したら終わりということではなく、
●意味を伝える
●説明する
●使ってうまくいくメリットを感じてもらう
●使い方を教える
、、、などの工程が必要になりますね
壁を使った支援については、(別の記事でまた書きますが、、、)
●子どもの壁に描きたい欲求
●広い場所でお絵かきできる
●壁を使うとアイコンタクトなども地面や机よりも取りやすいお子さんもいる
●協働的な作業なども狙いやすい
●お絵かきにちなんだ素材のパーツや付け足しのパーツなども貼って組み合わせしやすい
、、、などいろいろなメリットが考えられます。
今回はいくつかの例も交えて環境設定について考えてみました。
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