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【本の紹介】アーニャ・ルーンバ『ポストコロニアル理論入門』(松柏社)

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□難度【★★★☆☆】
"入門"とはいえ決して易しくはない。何しろ解説する対象が、あの、難解の代名詞"ポストコロニアル理論"なのだから。けれども、理論に忠実であろうとするなら、これ以上に易しくは解説できない。ここがギリギリの譲歩ラインだと思う。つまりは、本当に誠実な書き方であるということ。この一冊が厳しいという人は、基礎的な文学理論の入門書から始めるとよいだろう。

□内容、感想など
ポストコロニアル理論の論客といえば、エドワード・サイード、ホミ・バーバ、そしてガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク等の名前がまず挙がる…わけだが、この三者の著作で僕のような非研究者が独学でなんとか挑戦できるのは、サイードぐらい。バーバやスピヴァクについては、ガイドなしに読み取ることはまず不可能だと言える。とりわけバーバは呪文。まともに読もうとすると脳が溶ける。
では、その良きガイドとは?
もちろんこの、『ポストコロニアル理論入門】。
僕はポストコロニアル理論に関し、この一冊を超えるガイドをいまだ知らない。
表象、サバルタン、ミミクリー等々、ポストコロニアル理論で鍵となる術語について、丁寧に、真摯に、解きほぐしてくれる。

□こんな人にオススメ
・ポストコロニアル理論を真剣に学びたい人。
・『オリエンタリズム』、『文学の境界線』や「文化の中間者」、『サバルタンは語ることができるか』等々にチャレンジするも、あえなく挫折した人。
・ポストコロニアル理論をガチで学ぶつもりはないが、概要はきちんと理解しておきたいという人。


https://www.shohakusha.com/book_detail/200




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