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ジェンカレ2期目を振り返る

ジェンダー平等な未来を拓く次世代のサードプレイス「ジェンカレ」の2期目が、2024年3月に終了しました。  
一般社団法人GENCOURAGE代表理事の櫻井彩乃は「問題意識を膨らませるだけでは課題を感じるばかりで自分を疲れさせてしまう。もやもやを抱え続けるのではなく、それらをエネルギーに自分を動かしていくことも大切。そのための知識や行動する機会を提供したい」と考え、2022年から「ジェンカレ」の運営をしています。  

1期目に引き続き、ジェンダー平等の実現への思いを持ったさまざまな年齢、立場、所属の方が「ゼミ生」「聴講生」として参加しました。  


いま起こっていること、過去に起きたことを掘り下げていく講義  

様々な分野のジェンダー課題を知ることで課題同士のつながりや根本原因を見つけられるよう、12回の講義が行われました。  
1・2回目の講義では、世界と日本の現状を知ることでジェンダー平等に取り組む必要性を理解し、第3回からは個別のジェンダー課題に焦点を当てて基礎から学びました。2期目から新たに「男性学」「LGBTQ +-ジェンダー・セクシュアリティの多様性-」「気候変動とジェンダー」「結婚・家族とジェン ダー」が加わり、より多方面からジェンダー課題を学ぶことのできるカリキュラムが組まれています。

2022年度ジェンカレ講義一覧

講義後は質疑応答の時間があり、講師の方々にはゼミ生と聴講生からの質問に丁寧に答えていただきました。  
ゼミ生は講義後、さらに1時間ほど講師とディスカッションする時間があり、これまでのキャリアやジェンダー領域に関心を持ったきっかけ、ご経験などのお話を近い距離感でじっくりと聞くことができました。また、講義をふまえた「ミニアクション」と呼ばれる課題が与えられ、SRHRの観点から自分の取り扱い説明書をつくる、気候変動とジェンダーのつながりを周りの人に紹介するなど、講義での学びを発展させました。 
講師は、世界や日本の現在地を知る各分野の第一人者であり、社会を変えていくためポジティブにアクティブに活動をされている方々です。学びながらエンパワーメントされるジェンカレならではの講義でした。  

ゼミ2期生の実際の声

どの講義もすべて面白かったのですが、特に印象に残っているのは「気候変動とジェンダー」です。私は、大学では環境工学を専攻しているのですが、これまでジェンダーの視点で考えたり、学 ぶことはほとんどありませんでした。知っているはずの話を、ジェンダー視点から、全く新しく見直すことができて、刺激になりました。これをきっかけに、自分の研究も、気候変動問題とジェン ダー課題の関連性について焦点を当てることになり、自分の武器が増えている感覚です。

毎回、ゼミ生同士で講義の後にわからなかったことや新しく知ったことを振り返る時間や、各講義ごとのミニアクションがありました。聞いて終わりじゃなかったのは、学びを深めるのにとて もよかったです!なかでも特に印象に残っているのは、当時の男女共同参画局長の林 伴子さんの講義で、骨太の方針を初めて読んだことです。私だったら、1人で読んでても何のことを言ってるのか、特にどこが注目ポイントなのか掴めないと思うのですが、講義で解説をしてもらえたのはとても面白かったです。言葉の使い方やそれぞれの分野にかけられてる熱量や予算にいろんな背景があるのだとわかりました。  

自分の足で本質的なアクションを起こしていく「ゼミ生」の活動 

「聴講生」は講義のみを受講しますが、書類と面接による選考を通過したユース(15〜29歳)は 「ゼミ生」として活動をします。2期目は、高校生から社会人までの多様な興味関心を持った23名がゼミ生となり、各々の感じるジェンダー課題を解決するための行動計画「MAP(My Action Plan)」の作成に向けて様々なコンテンツに取り組みました。

10月:ワークショップ -「バックキャスティング」でジェンダー平等な未来を描く

株式会社クレアン 会長の薗田綾子さんを講師にお迎えし、ビジョンから逆算して取るべき行動を決める「バックキャスティング」というアプローチ法を習得し、2050年までにどのような社会を目指したいか考えました。
このワークショップと講義でのインプットを活かして、各自の問題意識を明確にし、どのような方法でジェンダー課題の解決に向かいたいかを考え、MAPの基盤を作成しました。  

講師の薗田さんとゼミ生
2050年の最高な未来と最悪な未来を想像する

12月:ジェンカレ合宿

国立オリンピック記念青少年総合センターにて、一泊二日の合宿を行いました。課題解決の過程を多角的に考えることにつながる「ロジックモデル」の研修を受け、ジェンダー課題の根本原因や自分がその課題解決に取り組む理由を深掘りしました。 

アイスブレイクの様子
ロジックモデル作成中の様子
メンターや事務局が伴走してロジックモデルを作成しました

12月~2月:MAPの作成・実施

メンタリングを受けたり、調査をしたり、課題解決のためのアクションを起こしたりしながら、MAPの作成に取り組みました。2月には中間発表があり、他のゼミ生から刺激を受けるとともに、自分のアクションやプランの内容を客観視することで、MAPをよりブラッシュアップさせました。  

【ゼミ生のMAP紹介】  

🌼まなみ(参加当時高校1年生)

40人ほどの先生に対して「教育現場におけるジェンダー視点導入の重要性」についてプレゼンテーションを行いました。知った顔の先生もたくさんいて、部活の顧問を見つけた時には緊張もしましたが、何度も練習してなんとか最後まで乗り切ることが出来ました。また、そのプレゼンの録画を担任がクラスメイトたちに見せてくれたため、私の活動が学生、教師関係なく幅広く知ってもらえる機会となりました。また、最後には先生側から「プレゼンテーションを聞いてみ てどうだったか」というのを全員から聞き、そこでは「先生側も先生側としてジェンダーに意識を向けようとしている人がいる」ということを知ることが出来ました。  

🌼だいら(社会人)

そもそもどのような課題があるのか知りたかったので、インプロ(即興演劇)に関わる人(観客含む)54名にアンケートを実施しました。その結果、「ジェンダーステレオタイプ的な表現に飽きている」「表現の中で、特定のジェンダーやセクシャリティが笑いものにされているように感じる」 
「女性らしさ・男性らしさの押し付けがあったように感じた」といった課題が浮き彫りになりました。ジェンダーステレオタイプの課題にアプローチすべく、前述の「ジェンダーステレオタイプを解体する稽古会」のアクションを実行することにしました。  

3月:最終発表 

実践したMAPのプレゼンテーションを行いました。各ゼミ生のMAPは今後ジェンカレnoteで一 部紹介されます。  

最終発表会の様子

最終発表で講師、メンター、ゲストの方からいただいた言葉

林 伴子さん(第12回「結婚・家族とジェンダー」講師、内閣府政策統括官(経済財政分析担当)/元内閣府男女共同参画局長)  

私は男女共同参画局長の時代から、裾野の広いジェンダー平等が必要だと、身近なところからア クションをするのが大事だと言い続けてきました。まさにそれを皆さんが会社や団体、あるい は地域で進めてらっしゃることをとても心強く思います。私は講義で統計やデータを使ってグラ フを書いて議論することの大事さを伝えました。これをMAPに取り入れ、実践されてる皆さんの お話を聞けてとても嬉しかったです。  

山口のりこさん(第5回「Gender Based Violence」講師、アウェア代表)  

私は27歳の時、第2波フェミニズムに出会い、フェミニストのアクティビストとして半世紀を生き てきました。自分が死ぬまでにはもっと男女平等の社会になるだろうと期待したんですが、なか なかならなくてがっかりしていたんです。でも、今日皆さんの発表を聞いて希望を持ちました。皆 さんには企画力、熱、志があり、本当素晴らしいです。皆さんがこれからジェンダー平等の社会を 作ってくださることが確信でき、とても明るいく嬉しい気持ちになりました。  

薗田綾子さん(第13回「バックキャスティングでジェンダー平等な未来を描く」講師、株式会社クレアン 会長

バックキャスティングのワークショップを行って、皆さんのビジョンがすごく明確になったと思い ます。ひとりだけのリソースでは難しいところも、多面的に人を巻き込んでシナジーを起こして いってもらいたいです。皆さんのパッションこそが変革につながっていくんじゃないかなと思って います。  
ゼミ生のカリキュラムは、ジェンダーを学ぶこと、ジェンダー課題に対してアクションを起こすことを軸として組まれていますが、コミュニケーションの仕方、課題の分析方法、マインドの持ち方 など、「未来をひらいていくための力」に結びつくものです。いずれのコンテンツも簡単なものではないですが、ジェンカレ事務局やメンターからそれぞれに合ったサポートを受けられるので、 安心して挑戦できる環境が整っています。  

佐藤勇輔さん(こども家庭庁 参事官(総合政策担当))※2024年3月当時  

去年12月に、こどもや若者の政策の基本方針「こども大綱」を作りました。そこには大事なこと を2つ書きました。1つは、こどもや若者の皆さんは未来を担う存在でもあるけれど今を生きてい るから、国は今とこれからの最も良いことをちゃんと考えるということ。もう1つは、こどもや若 者の皆さんと対等の目線に立って、意見を聞いて対話をして一緒に進んでいくということ。これが国の方針になってます。いま、国も自治体も若者の皆さんの声を本気で聞きたいと思ってます。皆さん の声で確実に世の中は変わります。ぜひそれぞれの活動をこれからも続けてほしいと思います し、国にも自治体にもどんどん皆さんの声を届けてください。  

最終発表会にて集合写真

学びを行動につなげて、社会を変える  

「ジェンカレでの学びを経て『自分も意見を言って良い、行動を起こして良い存在なんだ』と知ってほしいです。卒業生が全国各地に増え、5年後10年後の社会を動かしていくと信じています」と 代表・櫻井は話します。  

ジェンカレは、これからもジェンダー課題を考え続け、未来の社会へ、つながっていきます。  
3期目は、2024年7月15日からゼミ生の募集が始まり、9月から講義が始まります。
現在、「ゼミ生(申込締切:2024年8月18日)」「聴講生」を募集しており、講義の詳細、及び募集要項は下記リンクよりご覧いただけます。https://gencollege.org/

また、ご参加に際し、以下の日程で説明会を開催します。

【オンライン説明会】
・8月11日(日)10:00-11:00, 質疑応答11:00〜(退出可能)
・8月11日(日)20:00-21:00, 質疑応答21:00〜(退出可能)
説明会申込フォーム:https://forms.gle/mT9gcuPF2cARozb67

<参考:ゼミ生と聴講生の違いについて>
2つの大きな違いは、「年齢制限」と「受けられるコンテンツの違い」です。

■ゼミ生
・講義だけでなく、合宿やメンタリング、じっくり深く学ぶためのゼミ生限定コンテンツなど、ジェンカレが提供するコンテンツを堪能できる
・学ぶだけで終わりにせず、ジェンダー平等の実現に向けて一歩踏み出すことができる
・対象年齢:15〜29歳
・申込み:https://forms.gle/nANgrznrRMv9XiEu6(2024年8月18日(日)まで)
・その他:減免制度あり

■聴講生
・ご自身の興味関心にあわせてお好きな講義(座学部分)を聴講できる
・年齢や居住場所に関係なく受講が可能です。
・カリキュラム:講義の一部(90分間)
・対象年齢:年齢制限なし
・申込み:https://gencourage2022.peatix.com/events (先着順のため、定員に達し次第終了)

特に15~29歳の方は、ゼミ生向けのカリキュラムが非常に充実しておりますので、ゼミ生をお勧めいたします!

2期生のカリキュラムやゼミ生の活動を通して、ジェンカレに興味を持ってくださった皆さんのご参加をお待ちしています。 

 文 藍谷凪

最後までご覧いただきありがとうございます!
ジェンカレは、フロントランナーの講義やワークショップを通じて、ジェンダーについて包括的に学び、ジェンダー平等の実現に向けて行動することを目指すサードプレイスです。

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ー 寄付のお願い ー
ジェンカレは全国でジェンダー平等の実現するための次世代リーダーを育成しており、各フィールドで活動を続けています。特に地域での取り組みとしては、受講生のうち5名が地方公共団体各種審議会委員に就任しています。
今後も全国でジェンダー平等の実現を目指す若者を育成するためにご支援いただけますと幸いです。

①寄付サイトより寄付:https://syncable.biz/associate/gencourage
②銀行振り込み:
銀行:かながわ信用金庫
支店:浦賀支店
口座番号:1267153
口座名義:一般社団法人GENCOURAGE

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