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「餃子日本一は結局どこなん問題」にデータ可視化で挑んでみた

ちょっと前のニュースですが、浜松市が餃子日本一の称号を奪還したらしいです。

餃子といえばご当地グルメの代名詞。
宇都宮餃子と浜松餃子がトップ争いをしているイメージがありますよね。

でも本当に日本一なのか?
てか餃子日本一ってそもそもなんだ?

そんな誰も気にならないような疑問を解消すべく、餃子について様々なデータを使って調べてみました。


「餃子日本一」の歴史を振り返る

まずは毎年ニュースで取り上げられる「餃子日本一」とはなんぞや問題。

調べたところ、これは総務省が毎年調査している「家計調査」を元にしたランキングで、1世帯あたりの餃子の年間支出額によるものでした。

例年2月に公表されるため、その時期になると宇都宮市や浜松市が一喜一憂する様子がニュースになるわけです。

こちらのグラフは2007年から2023年までの餃子支出額ランキングを時系列にしたものです。

データ出典:(総務省)家計調査

長年、宇都宮市と浜松市がトップ争いをしてきましたが、2021年より宮崎市が彗星のごとく登場。
現在は宇都宮市、浜松市、宮崎市の三つ巴になっています。

また、京都市が毎年いい位置にいることも見てとれます。
京都は「餃子の王将」発祥の地。いずれトップ圏に食い込んでくるのではと期待されますね。

ところでこの家計調査、スーパーなどで販売される生餃子や焼き餃子は対象ですが、外食や飲食店のテイクアウト、冷凍食品は含みません。
つまり住民や観光客が餃子専門店でどれだけ餃子を食べても反映されないのです。

おいおいそれじゃ本当の餃子日本一といえるのかい?

ということでもう少し深堀り調査してみることにします。


餃子激戦区はどこにある?

Yahoo!の提供する位置情報取得サービスを使って、全国の餃子専門店3,308軒(※)の情報をもとに餃子激戦区マップを作成しました。

データ出典:Yahoo!ローカルサーチAPI

赤色が濃い市区町村ほど人口あたり餃子専門店が多いことを表します。
餃子専門店自体は決して多くないものの、激戦区と呼ばれそうな場所が全国に点在していることがわかりますね。

エリアを拡大してみていきます。

【北海道エリア】

北海道は札幌市中央区に餃子専門店が集中しているようです。
国内屈指の歓楽街「すすきの」がある街ですね。飲食店が多いのもわかります。

【関東、東海、関西エリア】

やはり宇都宮市と浜松市は強い!
宇都宮市は人口10万人あたり13.53軒、浜松市中央区は8.06軒と、激戦区である様子がわかります。まさに餃子大国。

なお、東京都23区や大阪市の中心部は真っ赤ですが、餃子専門店に限らず飲食店が集中しているためと思われます。

【中国、四国、九州エリア】

九州は福岡市博多区が激戦エリアと言えそうです。
博多といえば博多ひとくち餃子!薬味の柚子胡椒が本当に合うんですよね。

意外だったのが餃子支出額3強の一角である宮崎市。
人口10万人あたり2.5軒と少なく、餃子大国とは言い難いですよね。
宇都宮市、浜松市と比べたらまだまだ新参者。観光グルメとして力を入れていくのはこれからなのかもしれません。

※餃子専門店の抽出条件
Yahoo!ローカルサーチAPIにて、「業種1:餃子」または「業種1:中華料理 業種2:餃子」として抽出された店舗を餃子専門店として抽出。
「業種1〜3:餃子」で抽出すると、"餃子も食べられるラーメン店"が大量に出てきてしまうため、極力"餃子をメインで提供する店舗"のみが対象となるよう上記のような条件としています。


「餃子の王将」VS「大阪王将」の国内勢力図

有名餃子チェーンといえば"王将"ですが、「餃子の王将」と「大阪王将」があるのを知ってますか?

1967年に京都府・四条大宮に1号店をオープンした王将ですが、創業者一族によるのれん分けにより分裂。その後、"王将"という名称の利用権をめぐった裁判沙汰を経て、「餃子の王将」「大阪王将」に落ち着いたとか。

現在は「餃子の王将」が731店舗、「大阪王将」が332店舗とそれぞれ大手飲食グループに成長しています。

データ出典:餃子の王将店舗情報大阪王将店舗情報

こちらは都道府県別にどちらの店舗が多いのかを色の濃淡で表した勢力図です。青が濃いほど「餃子の王将」が、赤が濃いほど「大阪王将」が多いことを表します。

「餃子の王将」は北海道と本州中心部に強く、「大阪王将」は東北地方や中国地方、九州地方など中心からそれた地域に勢力を伸ばしている
ことがわかりますね。

都道府県別に見てみましょう。

「餃子の王将」「大阪王将」の国内店舗数(2024年6月25日調べ)

"王将発祥の地"である京都府は、「餃子の王将」46店舗に対し「大阪王将」はたったの5店舗。やはり京都府への出店は特別なのでしょうか。ただのライバル企業とも異なる複雑な事情を感じます。

また特徴的だったのは島根県と沖縄県。
二県とも「餃子の王将」は出店ゼロに対し、「大阪王将」は島根県7店舗、沖縄県10店舗と多く出店しています。
「餃子の王将」の未開拓地を狙って拡大していこうという「大阪王将」の出店戦略なのかもしれません。


家餃子、キャベツと白菜どっちが人気?

かのシェイクスピアは言いました。
「キャベツか白菜か、それが問題だ」と。

そこで餃子のレシピとして、キャベツと白菜のどちらが人気なのか調べてみました。

データ出典:Googleトレンド

こちらはGoogleトレンドを使って、餃子のレシピで「キャベツ」と「白菜」の検索人気度を時系列グラフにしたものです。

キャベツ餃子のレシピは年間を通して検索されているのに対し、白菜餃子は波が激しく、特に冬の時期に検索数があがることがわかります。白菜が冬の旬野菜であることを実感しますね。

平均値をとるとキャベツ35、白菜28で、キャベツのほうが若干多いようですが、ほぼ拮抗していますね。

今度は都道府県別でみてみます。

データ出典:Googleトレンド

全国的にはキャベツ派が優勢のようです。特に秋田県ではキャベツの検索が白菜の2倍以上。
一方、白菜派は関西から中国地方に集中してみられるようです。

なお、以下の西日本エリアでは白菜派が多いことが書かれており、今回の分析結果との親和性を感じます。


まとめ

●餃子支出額は宇都宮、浜松、宮崎の三つ巴
●宮崎の餃子専門店はまだまだ少ない
●餃子の王将と大阪王将は出店先に地域傾向がみられる
●家餃子はキャベツ派が優勢だが西日本を中心に白菜派も多い

ということがわかりました。
日本のソウルフードとも言うべき餃子。調べれば調べるほど奥の深いグルメだと実感します。

それではタイトルに戻って、『餃子日本一とは結局どこなのか?』

うちの娘(小2)は餃子が大好きなのですが、この難問について聞いたところ「お父さんのつくる餃子がいちばんおいしいよ!」と言ってくれました。

ということで、まとめると真の餃子日本一は「私の作る家餃子」ということでよろしいでしょうか?(まとまってねーよ)


Xでもオープンデータを使った興味関心事の分析・可視化をしています。


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