キャンプブームは本当に終わったのか?データでみるキャンプ人気の現在地点
コロナ禍とともに巻き起こったキャンプブーム。しかし業界ではそのブームが終わったと言われているようです。
当noteでも昨年、キャンプブームを分析した記事を公開し、多くの方に読んでいただきました。
その時は、2023年でブームは一段落したと結論づけましたが、では2024年現在はどうなっているのでしょうか。
「人気は本当に衰退したのか」「市場はどのように変化しているのか」
——こうした疑問を解消すべく、様々なデータをもとにキャンプ業界の現在地点を調べてみました。
1.テントが買えない時代は終わった
ここ数年、テントが手に入らない時期が本当にありました。
キャンプブームの加熱とコロナ禍の影響で、メーカーが安定供給できなくなり、多くのメーカーが「抽選販売」に切り替えたのです。
抽選で当たった人だけが購入できる仕組みでしたが、これがなかなか当たりません(私もDODカマボコテントに2回落選しました)。
さらに、転売目的の応募が相次ぎ、フリマアプリには高額転売された新品のテントがずらりと並ぶという状況も見られました。
以下はGoogleトレンドによる「テント 抽選」というキーワードの検索数の推移です。
2020年から2023年にかけて大きなピークがありましたが、2024年にはほとんど検索されていません。
実際、2024年9月現在、ガレージブランドを除いて、抽選販売を行っているメーカーはほぼ見当たりません。かつて入手困難だったテントも、今ではネットで即日購入可能です。
「抽選に当たらなければテントが買えない」という異常な状態は、2023年で終わりを迎えたと言えるでしょう。
2.キャンプの注目度はピークアウト
次に、世間のキャンプへの注目度について調べてみました。
使ったデータは「ニュース記事数」と「関連書籍」のデータです。(探せばいろいろあるものです)
まずはキャンプに関するウェブニュースの記事数を半年ごとの時系列にしました。
記事が一番多かったのは2022年後半でしょうか。そこから2023年、2024年と下がっています。「キャンプ」のニュースバリューはピークを過ぎたようです。
続いて、キャンプに関する書籍が年間どのくらい出版されるのかを調べてみました。比較対象として、旅行に関する書籍も載せています。
こちらも2021年をピークに下がっており、2023年には2020年と同水準になっています。
この2種類のデータから、世間のキャンプ注目度は2021〜2022年がピークだったと言えそうです。
3.上がり続けるテントの価格
ではキャンプ用品の価格相場はどうでしょうか。
今回はファミリー向けテントを3つ選び、近年の価格改定の流れを追ってみました。
選んだのはスノーピークのランドロック、オガワのアポロン、サバティカルのアルニカというテント。どれもファミリー向けの定番モデルで、キャンプ場でよく見かけます。
3幕とも、2021年、2022年と相次いで価格改定が行われていますね。
背景には、コロナ禍や紛争による原材料費や物流コストの高騰、さらには急激な円安が影響していると言われています。
注目すべきは、スノーピークのランドロック。わずか一年ちょっとの間に、価格が4万円以上も上昇しています。決して小さな額ではないですよね。
値上げは特定のメーカーや商品に限らず、キャンプ用品全般で起きています。どのメーカーも消費者目線を見失ったわけではなく、企業として存続するための苦渋の選択を迫られているのです。
アウトドアメーカーの厳しい現状を感じます。
4.まとめ
●テントの抽選販売は終了した
●キャンプの注目度はコロナ禍前の水準に戻っている
●キャンプ用品の価格は上昇が続いている
では、これでキャンプ人気は衰えていくのでしょうか。
私はそうは思いません。
確かに、ブームのピークは過ぎたかもしれません。
しかし、キャンプグッズのバリエーションや高規格なキャンプ場は以前と比べて大幅に増加しています。これにより、キャンプを楽しみたい人達にたくさんの選択肢が広がり、満足度も向上していくと思います。
最後に、日本地図上に全国のキャンプ場を灯りとして浮かび上がらせてみました。
よく見ると、首都圏や大都市よりも、自然豊かな山間部や田舎のエリアがひときわ輝いていることに気づくでしょう。
一つ一つの光は、家族を包み込むランタンの暖かい灯りや、仲間と語らう焚き火の揺らめきかもしれません。ただの場所ではなく、そこに集まる人々の思い出や絆を照らし出しているようにさえ思えてきます。
この記事を読んで少しでもキャンプに興味を持ってもらえたら、是非テントやアウトドアグッズを調べてみてください。
ブームも落ち着き、冷静な目で見れる今こそが本当の始めどきかもしれませんよ。
(と言いながら冷静な目を失い、ネットでポチりまくる私)
Xでもオープンデータを使った興味関心事の分析・可視化をしています。
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