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『虎に翼』の時代背景と繋ぐのは

厳密に言えば無理がある。
『山内マリコの美術館は一人で行く派』p133~p134 ( chapter11  女が生きて結婚するということ)より『思った以上にベビー  結婚するなら平成がいい』
けれど、この人は何故これを知っているのだろうか。あの時代の家庭内の空気を。それからすると、『虎に翼』の家族は例外的に進歩的で、文化的。それでも新民法で、いくら男女平等だなどと言ってみても、一歩社会にでてみれば何のことはない、今でも完全なる男性優位社会。
感覚としては何気に気づいてはいたけれど、《男女平等ランキング》(朝日新聞6/13  Think Jender) 118位の記事は客観的に主観的に、俯瞰しても、記憶を辿っても納得だった、世界で118位。
昭和前期は、大好きな向田邦子さんの世界。は、さておいて昭和後期でさえも「私は家政婦じゃない」の叫びが聞こえると山内氏はおっしゃる。そしてそれは今に続く。
今の80代は確か、道徳ではなく修身を習ったはず。70代は男性は技術、女性は家庭科に分かれていたのかな。50代?40代は、男女共に技術家庭科両方を履修してるのでは?だから今の40代以下の男性はご飯を炊く、味噌汁を出汁から作る、簡単な野菜炒めはできる。家事の分担も習っている。(だったと思う)
でも、同居してもしていなくても、結婚すれば価値観は前世代のまま。刷新されない。誰だって自分の価値観は守りたいよね。世代と世代がぶつかり合い疲弊し諦める。うちの息子に家事をさせるなんてという母親の強い気持ち、世界観。そういうことってある。
山内氏にとって平成の結婚は天国という。さっぱりしていて強い。結婚に関しては最先端でありたいと。(ここはとっても羨ましい。普段、人のことは羨ましく思わない。思っても仕方がないから思わない。自分一人じゃ何ともならないから思わない。出来ることをするしかないから思わない。)

でも次の世代の人たちは?

『あのこは貴族』(山内マリコ著)にも2つの意味で驚いた。
まず東京の一部の人たちではあるけれど、エスカレーター式の進学、面接、寄付、結婚事情。私が見聞きした時代がよみがえる。昭和後期であっても、スイミング、ピアノ、家庭教師のいるご家庭は珍しかった。受験は中等部からだっけ。その後の就職、結婚、その家の嫁の立場の母親の悩み、一家の(おばあさま)の存在なども思い出されて懐かしく、子どもの出来が嫁の責任にされる雰囲気は、その後さまざまなケースでも経験した。『あのこは貴族』はそうした心情を内部からも、外部からも読み取ることのできる小説だ。地方から東京の有名私立へ進学した女性との対比と、偶然からの関わり、成長、前進して未来へと変わっていく二人。これが二つ目の驚き。本当に予想外な展開の連続で、読後感もよかった。

ドラマ『虎に翼』はちょうど新民法の作成準備室あたり。連続テレビ小説は見る世代が幅広いせいか、影響力も大きい。こうしたドラマが意識を変え、時代の閉塞感を変え、一歩ずつ前進する勇気を生み出す。

朝日新聞の『Think Jender』シリーズもお薦め。男女関係なくもっと広まるといいのに。子ども新聞や子どもバージョンもあるのかな。ジェンダー感覚は実は男性のためにもなる。山内マリコ氏の本、もっと探してみよう。令和はどうかな。

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