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平成11年ヒット曲「孫」の歌詞にみるジェンダーバイアス 今の若者の親はまだこの価値観

平成11年オリコンチャート3位を獲得した演歌「孫」。覚えていらっしゃるでしょうか?この歌詞の3番には男の版と女の子版があります。

男の子版
親の背よりも大きくなって
一人立ちする二十才がきたら
祝い言葉を 祝い言葉を かけてやろ
女の子版
きりょう良い娘に 育っていつか
嫁に行く日が 来た
その時は
祝い言葉を 祝い言葉を かけてやろ

出典:テイチクエンターテインメント

男子は「経済的に自立」女子は「結婚」が目標という、ジェンダーバイアスの見本のような歌詞ですね。令和の今では、「不適切」でしょうか?

平成11年に生まれた赤ちゃんは、今25歳。私は今50代後半ですが、20代前半の子供がおり、丁度この「孫」の親世代。この世代には、まだまだ男子は「経済的に独立」女子は「結婚」という世界観が残っています。

私の同年代で、女の子を持つママたちをみても
「娘には家事育児だけではなく、好きな仕事をしてほしい。でも、生活の基盤は夫に支えてもらいたい」
という人は少なくないです。

また、メディアに登場する女性も
「経営者の夫と若くして結婚。3人の子供を私立小学校受験させながら、料理教室を立ち上げる。家事や育児だけで終わらない自分の世界をもったママ。勿論美人」(典型的なVERYママ)
が憧れの存在として持ち上げられていませんでしたか?
あくまでも生活の基盤は夫に支えてもらいながら、「ユルキャリ」で自己実現、なのです。

最近日本企業に女性管理職が少ないとか、女性はリーダーシップを取りたがらないのが問題だといわれていますが、育てられ方が違うのですから、それは当然の結果なのです。

海外では、以前から女の子にシンデレラを読ませるのを辞めるべきだという運動があります。男の子の読む本が「自分の力で道を切り開く冒険者」であるのに対し、女の子の読む本は、初期のディズニープリンセスのような「王子様に依存し幸福をつかむ人生」。この幼少期からの刷り込みが、女性の主体性を阻害している、という批判です。
最近のディズニープリンセスは、このような批判を受け、ムーランのような女性本人が戦士として戦うストーリーを採用しているそうですね。


日本も、真剣に「男女平等」「女性管理職30%」を実現させたいのであれば、幼少期からの「シンデレラ」はいうまでもなく、ママ雑誌「VERY」等も廃刊にすべきだと思っていました(と思っていたら、ここ数年は東大卒、GSでMDまで昇進した経営者ママをカバーモデルにする等、路線変更したそうですね)。さんざん男性に依存する人生を刷り込んでおいて、その一方で「女性のエンパワーメント」だの「女性リーダーシップ研修」。このアクセルとブレーキを同時に踏むようなメディア政策は辞めるべきだと思います。

2024年の今、「孫」をきく人はもういないと思います。最近のVERYは、ワーママ(ユルキャリでなない)路線に変更しています。今はいろいろな面で過渡期なんだと思いますが、このようなメディアによる、新たなロールモデルが浸透するころ、日本における性別格差は改善するのではないでしょうか。













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