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?がらくた
2024年5月7日 09:56
隣のクラスの女友達、中野未来(なかの・みく)と話していた田島優吾(たじま・ゆうご)が教室に戻ると、机の引き出しにハートのシールで封のされた手紙が入っていた。ラブレターなど無縁だった彼は、初めての経験に胸を躍らせる。だが、それは嘘の告白で―――当然からかわれた彼は悲しみ、憤って、自分を責めて。これは嘘から始まる恋のお話。この作品はFC2ブログ、小説家になろう、カクヨムに掲載されています。
2024年5月26日 20:31
休み時間にて部活に男友達との交流、それに加えて未来との遊び。忙しい日々を送っていると、徐々にではあるものの、忌まわしい過去は色褪せていった。宮本さんと関わることが俺の中での優先順位では、低くなっていったのだ。未来からすれば、ただ俺と話したいだけかもしれないが、こまめに通話をくれたのが何よりの薬だった。余計なことを考えずに済んだからだ。とはいえ、全くあの日の出来事を思い返さないわけでは
2024年5月25日 19:53
あれから数日後。俺はその間、鹿山にも宮本さんとも、話すことはなかった。後は彼女たちが解決する問題だ。当事者ではない無関係な俺が、安易に首を突っ込んでいい問題ではない。逸る気持ちを抑え自制しながら、俺は悶々とした日々を過ごしていた。授業が終わった後の、10分の休み時間。用を足して便所から出ると、待ち構えるかのように鹿山が立っていた。何事かと視線を向けると、すぐさま視線を下に落とす。恨
2024年5月21日 18:20
翌日、俺は鹿山を屋上に呼び出した。宮本さんに訊ねる選択肢もなくはなかったが、疎遠になっていったせいで、それは難しい。だからこそ、当人に訊ねるのが手っ取り早いと考えた。しかし、あいつのことだ。延々と、しらばっくれてもおかしくない。それでも直接聞きださねば、腹の虫が収まりそうになかった。心の奥底で燻っていた憤りや憎しみ、その全てをぶつけないことには。「こんなところに呼び出して何のつもり
2024年5月20日 12:46
あれから数週間後。再び学校に通えるようになった宮本さんは、徐々に変わっていった。陰気だった過去を全く感じさせないほど、彼女は明るくなっていって、すっかりクラスのみんなと打ち解けた。性格が変われば運命が変わるとはよくいったものだ。俺たちの関係性が変化していくのに、そう時間はかからなかった。以前よりも喋る機会がなくなっていき、ここ数日は会話もしていない。普通なら友達として、成長を喜ぶなりし
2024年5月19日 12:01
宮本さんが登校拒否をしてから、早一週間が経過しようとしていた。土日の休みを挟んで、実際に家に通ったのは五日ほどだ。だけど休日でも宮本さんがどうしているか気になってしまって、勉強にも身が入らない。そのせいか、それ以上に長い月日が過ぎたように思えた。数日の間に心変わりしてくれるのを、内心期待していたが結果は芳しくない。彼女からのメールは、嘘の告白をされた翌日から途絶えたままだ。じっとしてい