野上がの

人生ずっとマンガ好き。古いものから新しいものまで。 今まで読んできた好きな作品様達を、…

野上がの

人生ずっとマンガ好き。古いものから新しいものまで。 今まで読んできた好きな作品様達を、ここにぶちまけるつもりです。

最近の記事

「親にマンガを捨てられる事変」で失われた作品に出会うとき

マンガ好きの皆さん、親御さんに自分のマンガを根こそぎ捨てられた経験ってございますか? 私はあります。過去2回。もう中年に差しかかる歳だというのに、未だに思い出す時があります。 強烈に覚えているのは、第一次事変。小学校5年生か6年生の頃です。 当時、我が家のマンガの棚は2階へ上がる階段を上がりきったところ正面にありました。そこに私と弟は、小さい頃から二人で集めたマンガをたくさん収納していました。 ある日、学校から帰ってきて階段をトトトトト♪と、勢いよく手をつきながら駆け上

    • 『九龍ジェネリックロマンス』最高の第1巻!

       東京マンガレビュアーズさんが、去年2020年の最高の第1巻を選ぶ企画「新刊マンガ大賞2021」を始めましたね。  投票権はありませんが、もし私が1位を選ぶなら『九龍ジェネリックロマンス』一択です!  この第1巻の衝撃は凄まじいものがあります。第1話からゆっくり丁寧に醸されてきた感情・世界観が、1巻読了直前に一気に崩されます。とても鮮やかに。「やられた!」と思ったらもう最後。続きが気になって仕方がない。読み返したくて仕方がない。この世界が知りたくて仕方がない。 『九龍ジェ

      • ブルーピリオド、胸に引っかかることが多すぎて1冊1冊が重い。

        • 『性別「モナリザ」の君へ。』この作品世界の息苦しさについて考える

           全てのヒトは性別が未分化な状態で生まれ、幼少期は性別がない状態で過ごす。12歳になる頃、自然と身体が変化していき、やがて男か女になるというこの世界。主人公のひなせは、12歳を過ぎても身体の変化がなく未分化のまま18度目の春を迎える。幼馴染みのしおり・りつの二人は、それぞれ既に男性・女性へと性分化を終えているが、共に3人仲良しのまま学生生活を送っている。  そんな若い3人の恋愛模様(三角関係)がメインのラブストーリー。絵柄も綺麗で、本編は紙版・デジタル版共に白黒ターコイズブル

        「親にマンガを捨てられる事変」で失われた作品に出会うとき

          『レッツゴー怪奇組』絶妙な古さの絵柄とワードセンスがたまらない

          絵柄は古いのに、世界観は新しい!なにこのギャグ漫画。くそ面白い! 「怖い」ってなにかね? 『レッツゴー怪奇組』ビュー2018年7月~Webメディア「オモコロ」にて連載中。ギャグホラー漫画。 子供の頃から常人の6倍は恐怖に弱い主人公の少年は、ある日顔の怖い少女に出会う。この少女こそ、妖怪や幽霊など、いわゆるお化けたちの母体となる組織『怪奇組』の組長だった!『怪奇組』は人々を驚かし、慌てふためかせる事がなりわい。しかし、少女は先代組長の跡を継いだばかり。さらに恐怖心という物が無

          『レッツゴー怪奇組』絶妙な古さの絵柄とワードセンスがたまらない

          今週の週間スピリッツの『チ。』の展開、なんか臓器にどおんとくるように重く辛い。最後のページからの展開に救いを期待したい、、、。頼む。

          今週の週間スピリッツの『チ。』の展開、なんか臓器にどおんとくるように重く辛い。最後のページからの展開に救いを期待したい、、、。頼む。

          『海の闇、月の影』悪役(?)流水の魅力を語りたい

          これは私が中学生くらいの頃、夢中になって読んだ漫画です。当時、主人公の双子のように壁抜けにチャレンジして、よく突き指してたーw 今でも、流水みたいな三白眼になれば壁抜けできるんじゃないかとか、カビ臭い場所に入ったら何かの能力が発現しちゃうかもドキドキ、とか思っています。アホ。 『海の闇、月の影』篠原千絵 1987年頃~1991年頃に小学館『週刊少女コミック』に連載されていた作品。全18巻(文庫版全11巻)。 一卵性双生児の小早川流水(るみ)と流風(るか)は高校2年生。二人

          『海の闇、月の影』悪役(?)流水の魅力を語りたい

          『女の園の星』写実的な絵柄に忍び込ませた最高のギャグセンス!

          言わずと知れた「このマンガがすごい!2021」(宝島社)オンナ編の1位の作品。名前は知っていたのですが、作者名やジャンル等も知らず、全く事前情報なしに読んでしまいました。 や・・・やられたwwwwwww 最高だ。 とにかくこの、可笑しくてくだらなくて愛おしい作品のやばい所をお伝えしたいです! 『女の園の星』和山やま2020年~祥伝社「FEEL YOUNG」連載中の作品です。既刊1巻。 主人公の星先生は、ある女子高の2年4組の担任。 学級日誌で絵しりとりを始めちゃう生徒に翻弄

          『女の園の星』写実的な絵柄に忍び込ませた最高のギャグセンス!

          『リウーを待ちながら』作品との出会いは常に不可逆な時間の中。

          昔読んでいた作品を読み返す前に、ちょっと怖くなる時があります。 初めて読んだあの頃の感覚が、今は鈍ってしまっているんじゃないかと。 当たり前ですが、心理的な成長(もしくは退化)は作品を理解するのにとても影響があると思います。 しかしこの作品に関しては、自分が置かれた社会的状況によって、短期間で大きく理解の質が変わってしまった作品でした。 『リウーを待ちながら』2019年まで多くの方はこの作品を、とても良質な医療人間ドラマだと理解していたのではないでしょうか。 私もです!!

          『リウーを待ちながら』作品との出会いは常に不可逆な時間の中。

          新人作家読み切り『根津』『矢野くん観察日記』同じ視点、別の世界!!

          読み切りっていいですよね!私は好きなんです。 作家さんの世界観が盛り盛りに込められていて、どっぷり浸れる。 続きが無い、つまりこれ以上の描写・情報が無いからこそ 読後自分の中で何度も解釈を構築し直したりなんかして。 ぐあーーー楽しいww そんな読み切りの中で、講談社「週刊モーニング」が毎月募集している新人賞「月例賞」で面白い2作品があったのでご紹介します。 【モーニング月例賞2020年7月期】佳作受賞作品 『根津』大野莉楠 【モーニング月例賞2020年10月期】佳作受賞作

          新人作家読み切り『根津』『矢野くん観察日記』同じ視点、別の世界!!

          『いとやんごとなき』小松翔太 いい!バカ(賛辞)!!

          2020年5月~小学館「週刊少年サンデー」にて連載中の作品です。 小学館が運営するサイトおよびアプリ「サンデーうぇぶり」でも読むことができます。 あのう。なんというか。バカです(賛辞)! 一言でいうと、下ネタです。 ああ!でも逃げないで! とっっても上品な下ネタです(最高)! よくある超金持ち学校に通う庶民の話。でもアレが・・・ごく普通の女子高校生である出海(いずみ)あすかは、親の再婚によりお金持ちが通う超名門校「私立雲上学園」に転校することになります。 平穏無事な学園生

          『いとやんごとなき』小松翔太 いい!バカ(賛辞)!!

          『AIの遺電子』山田胡瓜 登場人物の選択が正しかったか否か。明示されない答えを読者自身が考える。

          2015年~2017年秋田書店「週刊少年チャンピオン」に掲載されていた作品です。読み方は『AI(アイ)の遺電子』。全8巻。続編として『AIの遺電子 RED QUEEN』『AIの遺電子 Blue Age』があります。 基本的には一話完結型となっていて、とても読みやすいです! しかし、扱っているテーマは倫理観を問われるものが多く、毎話考えさせられます。 読みやすいのに重い。さくさく読めるのに何故か頭に残る。 つい考えてしまう作品です。 人間とヒューマノイドそしてロボットが共

          『AIの遺電子』山田胡瓜 登場人物の選択が正しかったか否か。明示されない答えを読者自身が考える。

          『ひばりの朝』ヤマシタトモコ ”ぶりっ子”という勝手な解釈と、そこから来る加虐心に震える

          2011年~2013年祥伝社「FEEL YOUNG」に掲載されていた作品です。全2巻。 この作品、私は読む度に「正解」を探してしまい息苦しさを覚えます。でも最後のひばりの行動で希望が見える、、、かな。 もしかしたら、読む時の年齢やそれまでの経験で捉え方が大きく変わるかも知れません。 手島日波里(ひばり)14歳。中2。 物語は彼女を取り巻く大人・同級生らが、彼女の存在をどのように捉え、どう解釈・反応し、行動していくのかを描いていきます。 ひばり自身の感情や考えは、直接的には殆

          『ひばりの朝』ヤマシタトモコ ”ぶりっ子”という勝手な解釈と、そこから来る加虐心に震える

          『MAGARA(マガラ)』長田裕幸 タバコの煙、バイクの爆音、工場の油の匂い。とにかく凄い熱量!なぜこれが1巻だけなのか。納得がいかない・・・。

          1997年講談社ヤングマガジン増刊「EXACTA(エグザクタ)」に掲載されていた作品。 も、もう20年以上前の作品ナノカ・・・。 当時、この作者さんの作品は全く知らなかったのですが、本屋で表紙を見てひとめぼれして「ジャケ買い」した一冊です。 高成(コーセイ)、大黒(ダイコク)、多蓋(タフタ)、悠吾(ユーゴ)の4人が暮らす国は、どこもかしこも工場だらけの国。この国では国民全員、中学卒業後16歳になったら工場で働くことが義務付けられています。 卒業前の4人は、日々他の仲間と一緒

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          『カボチャの冒険』五十嵐大介 めちゃくちゃ可愛いネコと、めちゃくちゃ美しい日本の風景

          2003年~2007年竹書房「あにまるパラダイス」「月刊まんがくらぶ」などに掲載された作品。全1巻。 とにかくネコのカボチャがかんわいい!のと、田舎の山の風景が美しすぎて全1巻では足りないです。もっとくれ。 主人公は作者:五十嵐大介さんご本人。 『魔女』『海獣の子供』などの作者さんですね。 彼は一時期ネコのカボチャと一緒に、東北の雪国の山の中で暮らしていました。その山での生活と、カボチャを取り巻く出来事を描いた短編集です。 写実的な描写。それがいい!この作品を知ってもらう

          『カボチャの冒険』五十嵐大介 めちゃくちゃ可愛いネコと、めちゃくちゃ美しい日本の風景

          『沈夫人の料理人』深巳琳子 ドS奥様とドM料理人の超高級グルメ漫画

          2001年~2006年小学館「ビックコミックオリジナル」にて掲載された作品。 読むと、とにかくお腹が減ります! 明代の中国。 江南の長者、劉(りゅう)家の奥方の沈(しぇん)夫人は食べることが何よりお好きな女性。金で買った料理人、李三(りさん)に無理難題をふっかけては、毎度旨い料理を愉しみます。 気が弱く真面目な李三は、沈夫人の飽きない欲求に応えるべく日々悶絶。沈夫人のわがままに振り回されつつ奮闘します。 李三がこしらえる旨い料理の数々と、この二人の関係を描いた超絶高級グルメ

          『沈夫人の料理人』深巳琳子 ドS奥様とドM料理人の超高級グルメ漫画