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『女の園の星』写実的な絵柄に忍び込ませた最高のギャグセンス!

言わずと知れた「このマンガがすごい!2021」(宝島社)オンナ編の1位の作品。名前は知っていたのですが、作者名やジャンル等も知らず、全く事前情報なしに読んでしまいました。
や・・・やられたwwwwwww
最高だ。
とにかくこの、可笑しくてくだらなくて愛おしい作品のやばい所をお伝えしたいです!

『女の園の星』和山やま

2020年~祥伝社「FEEL YOUNG」連載中の作品です。既刊1巻。
主人公の星先生は、ある女子高の2年4組の担任。
学級日誌で絵しりとりを始めちゃう生徒に翻弄されたり、
同僚先生のくだらない話に突っ込みをいれたり、
なぜか校内で犬の世話をすることになったり。
ただの女子高の先生の日常なんですが、
”クスリと笑える”なんてもんじゃない!
腹を抱えてゲラゲラ笑えます!

(2021年1月現在、祥伝社の「女の園の星」特設サイトで第1話が読めます。)

笑いのセンスがやばい

この作品の魅力はなんといっても、写実的で丁寧な絵柄から伝わる「真面目さ」「固さ」「テンションの低さ」と、そこから繰り出されるセンスのいい笑いの破壊力との落差でしょうか。
ものすごく良質な喜劇かコントを見ているみたいです。
軽妙でゆったり。肩の力が抜けるような。
そこに、大真面目にくだらない事をそのまま全力でやるっていう。

まず基本的に主人公の星先生は目が死んでますw
ですが、微かにその目に生気が宿るときすら可笑しい!

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『女の園の星』第一話[1時間目](和山やま/祥伝社)より引用
気になる学級日誌を手に取り、思わず目に生気が宿る星先生
絵しりとりの続きを確認する

絵柄が写実的なので、描写される学校生活がとてもリアルに感じられます。
ですが!
いつも和山先生が突然そのリアルをぶち破ってきます!

特に第二話[2時間目]。クラスの生徒達が犬を見つけたくだりです。

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『女の園の星』第二話[2時間目](和山やま/祥伝社)より引用

「学校に犬が!」という擦られまくっているシチュエーションも、この次のページで和山先生にばっさり予想を裏切られます。
『な なんで?』
いや、こっちが言いたいわ!
なんなんでしょう。この破壊力。もう、本当にたまらないです!

漫画内マンガの破壊力がやばい

第三話[3時間目]には、劇中劇ならぬ漫画内マンガが出てくるのですが、これもまた最高にぶっ飛んでます。やばい。これはまじでヤヴァイ!

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『女の園の星』第三話[3時間目](和山やま/祥伝社)より引用
生徒が授業中に隠れて描いている漫画を見つけた星先生

この話では、ある生徒が描いている漫画「エターナルカオル」が中心に展開されるのですが、この漫画ひどいです(誉め言葉)!
人が死にまくるし、不条理だらけ。突っ込みどころ満載。
すごい爆発力です。恐ろしい。
絵も未熟な感じに描かれているのですが、実際に和山先生が書いたんでしょうか。天才?

ただでさえシュールな面白さの世界観に、この爆発的な「エターナルカオル」がぶち込まれるので凄い密度。でも、これを読んでいる星先生と同僚の小林先生の様子が時々挟まれて、良い”突っ込み”になっているんですよね。感服。
「エターナルカオル」、もっと読みたいです!

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『女の園の星』第三話[3時間目](和山やま/祥伝社)より引用
エターナルカオルを堪能する星先生と小林先生

細かい描写すべてが愛おしくてやばい

大体2・3話読むと、ああここにはマトモな人間は出てこないんだなと気づくと思いますw
この変人たちも愛おしいのですが、この世界を構築する細かな描写もとても素晴らしく愛おしいです。

私はまさに女子高出身なのですが、この女子だけのクラスの「凪」な感じがさりげなく描写されていていい!
個人的な経験なのですが、学校に女子しかいないと校内で気を張る事もなく、みんなのんびりしてて、ヒエラルキーとか派閥もなくて、こんな風な「凪」なんですよね。

また、女子生徒が皆均一そうで、そうじゃないところが素敵。
「女子高生の塊」感を出しつつ、よく見るとみんなそれぞれ顔つきや表情が違っていて個性がある!

さらに細かいことを言うと、教室の後ろの黒板のマグネットが顔の形になっている事とか、表紙の星先生の眼鏡がさりげなく「なんでそこまで汚れる?」と思う位汚れているところに細かなストーリーを感じてしまいます。

続きが楽しみすぎてやばい

一話完結のギャグマンガですが、他にも魅力的な登場人物だらけ。
いつも酒臭い中村先生とか、星先生の家族(?!)とか・・・。
今後彼らがどんなことをしでかすか、楽しみでならないです!



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