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今までの人生で最高の「豚汁」を食べてしまったかもしれない。

日本橋の裏通りにある「ひよく亭」さん。外観は昭和の小料理屋。
夜はふぐ料理メインの居酒屋になるそうで。

店の引き戸を開けると、すぐ横から元気なお婆さまの声。
今時、珍しい人力の券売システム。

ふぐがメインの店らしいので、魚介が正解かなと思い、まぐろ丼やしらす丼、金目鯛かま煮付けに目を走らせるも、豚丼も悩ましいと思ったところに小料理屋では見慣れぬ「とん汁定食」の文字。

松屋では180円ぽっちで味噌汁から変更できるものを主食に800円…?と悩んだものの、主にするからには理由があるのだろうと珍しさ半面、とん汁定食を注文。

店内はランチ少し前の時間ながらも、そこそこの入り。スーツ姿の人が9割で地元サラリーマンの行きつけになっているみたい。
2Fもあるので席数は十分。

ほどなくして、とん汁以外の定食部分が到着。ツヤツヤの米、細かい鰹節がかかった冷奴、もやしのカレーマヨおひたし、お新香。


主役の登場を前に、しばしつまむも、どれも美味い。特に米の炊き具合が絶妙。否が応でも期待感が高まる。

3分と待たずして豚汁到着。

デカい。

器もデカいが、豚バラのてんこ盛りが凄い。

その豚バラも厚切り。面積もデカい。

フタならぬ豚バラをズラして、下を覗くと、大根と人参。

これまたデカい。

人参はカレーに入れるサイズ。
大根はおでん1/4程度。

松屋やかつやのペラ肉、ペラ野菜(あれはあれで合うけど)が豚汁デフォルトになってる人間としては、信じられないサイズ感。

まずは、野菜からという健康志向(?)から大根に箸を伸ばすと、サクッと気持ち良い箸の刺さり具合が。

口に運ぶとアッツい。
外気に触れさせて冷まさないと火傷しかねない熱さ。

でも、噛むと絶妙な柔らかさ。
崩れないギリギリの柔らかさが保たれてる。

人参も、大根とほぼ同じ柔らかさ。
人参独特の臭みは全く感じない。

肝心の豚バラも、脂がほどよく染み出てジューシー。これは良いところの豚肉を使ってるんじゃないかしら。

そして、一番の感動は「汁」そのもの。
限りなく濃厚。ドロドロ手前のトロドロくらい。味は多少の塩辛さもありつつも、味噌の風味と甘みが勝る。

何やらいろんな食材が溶け込んでいる気もするが、極めてシンプルなようにも感じる。

食材も合わせて絶妙なバランスを保っている。

そして、更に驚かされたのは、いくら食べ進めても一向に汁が冷めないこと。

ずっと熱々のまま。

この粘度の高い液体だからこそなのだろうけれど、この寒い時期に、ずっと暖かさを保ってくれるのはありがたい。

この豚汁、飯も進むもんで、半分くらいの汁をすすったところで米が尽きる。

こそっと店の婆様に「おかわりは…?」と尋ねると快い返事が。

おかわり飯を授かり、更に汁。

卓上にある七味(これは普通に市販の)をかけると、多少のピリリ感が最高。(豚汁と七味の相性の良さなんて言うまでもない)

そんなこんなで、とん汁の熱さと戦っていると、後ろで札がひっくり返り「とん汁、これでおしまいです〜」の声が。

ふと、周りを見渡すと7割ほどの人がとん汁定食を頼んでいることに気づく。
(豚丼も、これまた美味そうだった)

なるほど、皆さん、とん汁を目当てに来るのだ。
豚汁を目当てにする店なんて深夜食堂と東大前の吉田とん汁店しか知らない(代々木にも専門店があるそうだが未訪)が、紛れもなく、ランチは豚汁が主力の店なのだ。

良い店に巡り合った幸福を噛み締めていると、再び、後ろの方で札がひっくり返る音と共に、「とん汁定食ひとつ」の声が。

まさかの復活だ。

なるほど、1鍋の豚汁を提供している間にもう1鍋を用意していたのか。

女性も男性も関係なく、次々と、とん汁定食を注文していく。

ほどなくして、再び、札が裏返される。(この間、10分足らず)

最後は熱々の汁をご飯にかけて(無作法で失礼)茶碗をキレイに。

帰り際の「ごちそうさま」がこれだけ気持ち良く言えた飯は久々だ。

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