「二重らせん」の秘密
皆さんは学生の頃に受けた授業で 印象に
残っている授業ってありますか?
私は高校生だった頃に 今でも忘れられない
授業を受けたことがあったので 今日はその
話をさせて下さい
当時 私の教室の壁には A1版の時間割が掲げ
られてたのですが その時間割は他の教室の
時間割と比べて ちょっと変わっていました
それは 数学 国語などと 文字で書く代わりに
美術部の生徒が 各教科の先生の「似顔絵」を
書き入れていたのです 中でも「生物」の授業
を受け持って下さった及川先生(仮名) の似顔絵
は 本人とそっくりだ!と評判の作品でした
その及川先生は 銀ブチ眼鏡 細目 短髪で
顔の輪郭は 丸顔 体形はやや小太りでした
その日もトレードマークの白衣を着用して
教室に現れると 授業が始まりました
先生は何か小ビンの様なものを持っています
それを 親指と人差し指で 上下に挟むと
その手を胸の前に突き出す様にして 皆に
見せたのです
小ビンの中には白い粉のようなものが入って
います 例えていうなら「味の素」みたいな
感じの粉末です 先生の顔が少し紅潮して
いる気がしたのは 私だけだったでしょうか?
及川先生:
「さぁ みんな これが何か分かるかい?」
生 徒:
「 塩! 砂糖! 小麦粉! 」
及川先生:
「これはね DNA デオキシリボ核酸だ!」
「これからは このDNAの時代が来るぞ」
私は心の中で叫びました「先生、今日の
授業 … 掴みはバッチリだよ、みんなも
先生のペースに完全に惹き込まれてる!」
及川先生:
「いいか みんな よく聞いてくれ」
「人間の体は60兆個の細胞で出来ていて
その1個1個にDNAが存在している」
「DNAは2本のポリヌクレオチド鎖が
らせん状 に絡まって高分子を作る …」
「DNAは4つの塩基 すなわちアデニン
グアニン シトシン チミンから …」
もう先生は自分の言葉にうっとり酔い知れ
トランス状態に入ってしまっていた
及川先生:
「簡単に言えばDNAには生物の遺伝子情報が
ビッシリと書き込まれているんだよ! 」
「つまり 生体の遺伝子の設計図なんだ 」
まるで 卓球の張本智和選手が 中国の強豪
相手にスマッシュをビシッと決めて
「チョレイ!」と叫んだ時みたいな ドヤ顔
をしてみせた
先生の熱弁は 授業時間いっぱいの60分間
続いたのだが 私は DNAにそんな秘密が
あるということを 初めて知って かなり
興奮してしまったのです
DNAは 生物の成長する過程において
あらゆる現象の元になる情報が詰め込まれた
「生体の遺伝子の設計図だ」 もちろん
寿命の情報だって書き込まれている
先生が授業で話したことが頭に張り付いて
離れなかった
私の親父は もう18年前に他界しているが
時々 昔の親父のアルバムを見たりすると
だんだんと 親父の顔に似てきたなぁ~と
思うことがある
そうか … 顔が似てるのも あのDNAに
書き込まれた遺伝子情報の仕業か~!
私が毎朝 1時間ほど散歩をしていると
飼い主に連れられた犬達と擦れ違うことが
ある
すると1匹や2匹は 道端で 大きい方の
排泄物をやらかしちゃう強者の犬がいる
全くもって健康なヤツらだ!
飼い主も心得たもので すぐにその始末に
取り掛かる
すると中には 地面やアスファルトの上で
シャッシャッと後ろ足で蹴る様な仕草をする
犬がいる これは排泄物に土を掛けて隠す
ためだ という説 と 逆に マーキングする
ために ニオイを拡散するためだ という説の
2通りがあるらしい
…が しかし 犬はどちらの説であるにせよ
シャッシャッとやりたい習性があるということ
に変わりはない
つまり … この行為も 例のDNAの遺伝子
情報の設計図に書かれてるに違いない!
だから私は 毎朝 犬が 道端で
シャッシャッと地面を蹴ってる姿を見る度に
思うんですよ …
犬のDNAよ
今朝も絶好調だな!
… と
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