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何によって第一想起されるか

顧客がサービスや商品を購入するにあたって、まずはじめにどこを思い出すか。その一番を目指そう、という話

横浜駅の真ん前のビルの改修工事。

その改修工事のガラス、サッシなどのいわゆる開口部に関する工事を請けているのだが、この工事の発注者とはある方の紹介で数年前に知り合った。

そしてこの発注者を含めて数年前かお付き合いが始まった業者様とはおそらく、私が市場のシフト転換を図ってから、あるカテゴリーにおいて第一想起として弊社が上がっていると予測する。

逆に言えば、市場を変えてからは第一想起、すなわち「何によって思い出されたいか」ということだけを意識して体制を整えてきたといっても過言ではない。

この第一想起としてのポジション。大雑把に分けたセグメントで定義してしまうと存在が薄まってしまう。市場を決めるとき同様、ポジションも絞りに絞ると個性が際立ち、どんな時に思い出してほしいか、ということを徹底して考えるとかなりコアな存在となり濃い需要のみをすくい上げることができる。

例えば、同じリフォームという需要でも、「できるだけ安く簡単に」という顧客層と「予算をかけてしっかりした工事を」という顧客層とではまったく求めるものが違う。そこでそれぞれの顧客層に思い出してもらうにはどちらかに特化した個性をアピールする必要があるのだ。

「どこよりも安い工事を!低コストに自信があります」という業者に予算をかけたい顧客層は興味を示さない。逆に「熟練の技でしっかり丁寧な工事をお約束します」という業者があればそちらに頼むだろう。

この場合、どちらの業者が正解ということではない。自社の特性を極限まで絞り込み、際立たせた個性は何か、ということを知る必要がある。

単に「町の定食屋」とするより、「家庭の味がご無沙汰な人向けの定食屋」とした方が対象者がはっきりするように、あいまいな表現では記憶に残りにくく、消費者が行動を起こすときはじめに思い出すには特徴や個性を前面に押し出しておく必要があるのだ。

絞り込んでしまうと市場やターゲットこそ狭くなるが、理想の見込み客の濃度は格段に上がる。つまり営業活動において無駄な行動が減るということである。相見積りの当て馬や、冷やかしの顧客の対応をすることがなくなり、本当に落としたい相手に集中して口説くことが可能になる。

そうなるとあらゆるパフォーマンスの質が上がるのは言わずもがな、その繰り返しで徐々に好循環が生まれてくるのである。

弊社の場合も、そんな試行錯誤の繰り返しから見つけた小さな需要に集中しているうちに色々な話が枝分かれして好転した次第だ。

このサイクル中に調子に乗ってせっかく絞ったカテゴリーを広げてしまう会社があるが、時期尚早だろう。早く売上げを伸ばそうと焦る気持ちがそうさせると思うのだが、やはり効果は薄まり、そのうち第一想起からも外されてしまう可能性が高い。

他のカテゴリーに横展開するのなら、今の市場で圧倒的な成果を出し、実った果実をすべて刈り取ってからでいいと思う。

そもそも第一想起で成果を出すのも簡単なことではないため、好転をはじめたならしばらくはそのイメージの定着に集中することが先決だ。

ここでもしっかりと時間をかけて根を張る行動が必要になる。まずはどこでどんな芽を出そうか考える、それが決まればあとは粛々と種に水と肥料を与えてやろう。強みを前面に押し出した個性的な芽が出れば差別化の第一歩となる。

自社の特性を絞り込み、極限まで尖らせる。その先端が理想の顧客の心に突き刺さる




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