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「探究について」~対談part2~

おもちゃクリエーター 高橋晋平 さんと対談をさせていただきました。

前回の記事「探究について」~対談part1~からの続きです。
よろしければ、前回からの通してお目通しいただけますと幸いです。

part2では、子育ての悩みごと・困りごとも語られています。
どのご家庭でもそれぞれにあるお悩みですが、子どもたちの成長過程において避けては通られないところでもあります。

親としての子育ての悩みの先にあるものを考えたときに、子ども達自身の興味関心をどのように育んでいくのか……そういうことも併せて考えていきたいところです。
これらを一緒に考えていただけましたら幸いです。
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晋平:子育てをしている40代の友人たちと集まると、よく出るあるあるの話しがありまして。俺達が子どもの頃はゲームの攻略本とかも買えない中で、めっちゃ時間をかけてドラクエをやった。あれは自分の成長にとってすごくよかった。でも、今の自分の子ども達は自分でゲームをプレイせず、実況動画を見ていて、将来が心配だ、みたいな。

我々おじさん達は、「俺たちはそれこそゲームを通して探究をしていたのに、今は実況者たちがやっているのを見て気持ちよくなってて、これってどうなのかね。」とか話しがちなんですが、僕はもう時代が違うから、それは全く問題ないと思っているんですね。

川端:それはもうおっしゃる通りだと思います。もう世の中ってそれこそ生成AIとかがあって、質問したことが1秒以内に全て答えとして出てくるし、ゲームの攻略とかももうみんな知ってることなんですよね。それをわざわざ探究してやるっていうことは、もはやもう過去の産物を探るみたいな感覚なんでしょうね。

晋平:遊びがすさまじい速さで変わってしまっているんですよね。情報や新しい遊びをたくさん得られる時代になったんだから、その先が多分問題なんですね。

僕たちの時代は効率が悪かったんですよ。

その環境の中で育ったというだけ。今の世代の人達は、凄いクオリティの面白いものに触れられる。じゃあ、その中でどう成長する?どういう仕事をする?ということになっていきますよね。。

AIも使えるし、zoomでもCanvaでも。などで何でもできるという環境です。
そこで僕が興味があるのが、「どうしたら生み出す人になれるのか?」ということですね。なれる子はなれる。勝手になれるんですよね。やっちゃうんですよ。で、ここでご意見を伺いたいのですが、子ども達はみんな、生み出せる人になれた方が良いと思いますかね?

川端:自分の興味関心って人それぞれじゃないですか。
だから興味関心を持てる何かを見つけるようになれるように、みんながみんなとはならないとは思うんですけどね。そういう風になれたら、探究をしているというよりも、何か人生そのものを楽しんでいるっていうような世界になっていけるんじゃないかなって思うんですよね。

晋平:そうですよね。

川端:残念なことに、今の子ども達に、なかなかそういう余裕がないですよね。それこそ今、高校生たちが悩んでいるのは、自分が何をしたいのか分からないとか、何に興味を持っているのかすらも分からない。
そんな中で「探究活動って何をしたらいいだろう?」ということに悩んでいるんですよね。

なぜそういうふうになるのかということを深掘っていくと、そういう考えをさせて もらえることを担保されてないというか、何かずっと言っていますけど、親たちの作り上げたその子の人生みたいなものが、あまりにもあり過ぎちゃって、何を考えていいのかもわからない。

ずっとスマホを見ていると、画面に流れてくるものを見て、それをまるで余暇のようにして過ごしているじゃないですか。
TikTokを見てアハハ…オホホと笑っているのがそのまま余暇になって。それでそこから何かを生み出せるかって考えたときに、そこで自分も何か作ってみようとなる人はいるかも知れないですけれど、大体の人たちは、それを見てただ笑っているというか、あぁ楽しかったな、さぁ~寝よう!みたいな、そんな時間が流れるだけ。子ども達の余暇と言えばそんな感じなんじゃないでしょうか。

晋平:そうですねぇ。

川端:自分で作り出す何かというものに、没頭できる時間を与えられてなかったんじゃないかなって。それを思うと、やっぱり小さい頃にこそ、そういった没頭する時間を与えてあげたいと思うんですよ。

晋平:まあ、確かにそうですよね。で、そんなメッセージはもうこの世の中にたくさん出ているんですよね。

川端:そうですね。出ていますよね。

晋平:出ているけど、現実には受験の方が心配なんですよね。
だから、巨大なインパクトがないと、結局は周りが受験する、などの情報に引っ張られるんですよね。

川端:そうですよね。それこそ半径5メートルの近くの誰かの言っている、何かに引っ張られてしまう。

住んでいるそのエリアの出来事が、そこで生きて生活している人々の全てじゃないですか。だからその中でしか考えられないと思うんですよね。一方で、これだけインターネットを通して知る機会が大幅に広がって、色んな世界が見られるわけですよね。日本のみならず各国のことも知ることができます。大人は自ら知ることができるし、考えることもできるはずなのに、なぜそこに凝り固まってしまうことが多いのかなって思うんですよね。

晋平:難しいですよね。僕自身が、自分のリアルな話しで難しいなと思っている話題が2つあって。1つは、自分は秋田で育ってきたから、子どもなんか放っておけばいいんだ、遊んでいればいいんだ、とか言うと、妻に「あなたは現実を見ていない」と言われるんです(笑)

今は小学校のうちに英語ができないと、中学に行ったらもうダメなんだって妻は言うんですよ。
「そんなわけあるか!」って言うんだけど、「いや、知らないだろう!」みたいに言われるんですよね。

そういうやり取りをしていて、結局のところ、まずは妻の考えに寄り添う必要がある、となるんですよね。結局、子どもと多くの時間接しているのは妻の方で、そんな中自分が子育てに関連する本を読んで、この本良かったから読んでみて、って言っても、そういうのを全部受け入れてもらうのには無理があるっていう「リアル」があるんですよね。

もう1つ。娘の一番好きな遊びが「メイク」なんですよね。それを妻は、肌に悪いからやめて欲しいと言う。ここがもう折り合いがつかなくて。

どっちの気持ちも分かるんですね。妻は娘の肌や健康が心配なわけです。妻は買ってくるのはいいって言ってるんですよ。別に買うことや、欲しくなる気持ちは、女の子って結構抑えられないものなんだということを、わかっているんです。で、買うのはいいんだけれども、塗らないことがルールだと娘に言うと、娘としては、何で塗っちゃダメなんだ?となるですよ。本当に答えが出なくて……。だって僕は昔、ミニ四駆、ゲームボーイ、マンガのコロコロコミックなど、大好きなものを全部やって育って、嬉しかった思い出があるわけなので、それと同じことを取り上げているように思えてしまって。

川端:う~ん。確かにそうですよね。

晋平:リアルってままならないなって思います。

川端:でもその流れで喧嘩していたら、感情のぶつけ合いになってしまいますから、お互い辛いですよね。

晋平:娘としては、とにかく1時間ぐらいでもいいからメイクの研究とかしたいんですよ。メイクの研究妄想とかを紙に書いてて。そういうのを見ていると、一度娘に思い切ってやらせてあげたいとも思うんですけど、一回思いっきりやらせたら、もう完全にスイッチ入る可能性もあるわけなんですよね。そうなってしまったら、まずいなと、正直思ってしまうんですよね。

川端:たとえば、マネキンみたいなのでやってみるとかはどうですか?娘さんには、今の年齢だと肌が成長している最中だから、大事にしなくちゃいけないと思うの…ということを分かるように説明をして、その代わりにこれを貸してあげるから、こっちで練習してみようか……とか。そういうメイクに興味があって、将来そういう仕事をしたいと思うんだったら、人にメイクをしてあげるということの勉強になると思うよ、みたいな感じで話してあげるとか。視点をちょっと変えてあげて、自分の顔じゃなくこっちにしたらどうか、という投げかけをしながら代償行為を与えてあげる。ひたすらダメダメと言われてしまうと、どこか気持ちが歪んできちゃうと思うんですよね。

晋平:そうですよね~。

川端:なぜダメなのかという理由を言わないと、子どもって、どこまでも納得できないように思うんですよね。「何でダメっていうの?」という疑問だけが残ってしまうんじゃないかなと。私は、子ども達を育てている時には、できるだけ「それダメ!」っていう言葉とか、あるいは否定的な言葉を使わないように心がけていました。

危ない事とか、命に関わるような事とかはすぐに止めましたけど、「それやったらダメって言ったでしょう!」とかいうようなことを、頭ごなしに言わなかったと思うんです。

そういうふうに言う前に、「ここがこうなっててね、こういうことになっちゃうから危ないんだって!」っていう感じです。

お母さんが言っていることじゃなくて、「危ないんだってよ!」という言い方をして、誰かに聞いた体で言うんです。「お母さんも、そのことを今知ったの。怖いよね!」っていう感じで、子どもの今この瞬間と同時に共感するみたいに持っていくと、共有と共感が同時に起きて、子どもも理解しやすかったかな……と思います。

結果的には伝えたいこと自体、全く同じ内容なんですけれど、大人も子どもも、伝わる言い方ってあると思うんですよね。

晋平:そうですね。たとえば、子どもが急に学校に行きたくないって言いだすことも、明確な原因がわからなかったりするし。子どもも違う人間だから、親としてもどうしていいのか分からなくなる。やっぱり現実って、なかなか一筋縄では行かない、ままならないところがあるなぁ~と思うばかりですよね。

対談part3につづく~




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