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海外に来てから感じたこと・考えさせられたこと#42

3月12日に日本を出発してそろそろ3週間が経過します。

スペインに来てからコンディションにも恵まれ毎日練習ができていてウインドサーフィンのためだけの生活ができていることにありがたみを感じています。

食事に関してはスペイン料理も食べていますが、日本からお米やクックパッド等を持ってきていて基本は自炊しているので、日本食ロスになることなく過ごせています。(むしろ日本にいるときより健康的な食事を摂れています)


明日から大会受付が始まり、4/3からレースもいよいよスタートするわけですが、これまで海外選手とも一緒に練習できたり、コーチレガッタといってレース形式の練習にも参加できて日本にいたら絶対に経験できない高いレベルの環境でウインドサーフィンをすることができています。


今日はレース前の3週間で体験してきたことを踏まえて、肌で体感した世界との差や海外と日本との違い、海外の生活を経験して得ることのできたことを書きます。


完全主観の内容になりますが、今日はウインドサーフィンで僕自身が驚愕したことを3つ細かく残したいと思います。


今回から、日記じゃないnoteを有料記事にしてみようというチャレンジをしてみたいと思います。

3つの内容は

  • ウインドサーフィンの技術差

  • 練習の取り組み方

  • 体のデカさ

になるので、かなりウインドサーフィンのマニアックな内容になるかと思います。

興味のある方は是非読み勧めてもらえると嬉しいです。

ウインドサーフィンの技術差

ウインドサーフィンの技術については

  • スピードとアングル

  • パンピング

  • タック

この3つについて詳しくふれたいと思います。



3/17に海外選手約10名ほどと一緒に練習し、3/25~3/27にはコーチレガッタに参加しました。GBR220、セバスチャン・コードル選手(今後はバスティーと書いていきます)の練習に参加させてもらったり、コーチレガッタについては参加するのに事前のエントリーが必要だったのですが、僕の名前がエントリーリストに無いことを知ってわざわざ連絡してくれて、参加できる事になりました。


バスティーは去年のIQ foil世界チャンピオンで、そんな一流選手と一緒に練習できて貴重な経験を積むことができました。


スピード・アングル

まず、スピードとアングルについて。

これはすごい差があると想像していましたが、まさにイメージ通りの差でした。スピードについては全てにおいて5キロ以上の差があると感じました。そしてスピードがあるから上りも下りも自分では出せない角度をとってマークまで最短距離で向かっていく。そんな感覚です。

問題はなぜそんなにスピードが出せるのか。

現状の仮説は以下の3つです。

  • 体格

  • 道具のチューニング

  • 乗り方

体格については後ほど詳しく触れますが、やはりフォイルという競技は体重が必要であると感じます。僕が海外選手の中に混ざると身長体重ともに子供みたいになってしまいます。

身長はどうしようもないので、体重が必須でプラス動ける体というのを求める必要があるでしょう。

道具のチューニングと乗り方というのは密接に関係していると思うのでまとめると

今までフィンとは異なるベストなポジションにセールを固定する。
=アフターレイキさせないで乗れるか。が重要なポイントだと考えています。


この画像は僕とバスティーの乗っている写真をボード基準で合成したものです。

僕のほうが腰が落ちていてセールが自分側に倒れてきてしまっており、更にブームエンド側(持ちての後ろ側)がボードに近づいている=アフターレイキしてしまっています。

他にも差はありますが、まずは腰の位置、セールの傾き具合(自分側に+アフターレイキ側に)の3つの改善するがスピードとアングルに関わってくるはずと考えています。

海外選手の中でも上位勢はリラックスした状態でこの乗り方ができていて、ランクが低い選手になるほどセールのポジションは良いものの意識的に乗り方を矯正しているように思えました。

となると、セールのチューニング、ジョイント位置、フォイルのアングルといった道具の調整がセールを正しいポジションを導いてくれる可能性が高いと予想できます。

ヒントになりそうなポイントを箇条書きにしてスピードとアングルについては終えたいと思います。

  • ブームの高さによるがハーネスの位置が後ろになるセッティングがいい?

  • ジョイント位置が今までは後ろ過ぎていた可能性がある

  • アウトを緩めずバックハンドを感じるためにはどうする?

  • アフターレイキしないセッティングは「軽いセール」?

  • 軽いセール=ドラッグがない=薄いセール?

  • 全体的にセールのシワが目立つのに2パネル目のシワは目立たない。

  • 速い選手のリーチの開き具合が一緒

  • フォイルの高さが高い位置でキープできる乗り方&セッティング

  • ノーズの向きが下に向くためにはどうする?



こんな感じで乗り方の比較も行っています。


パンピング

次にパンピング

パンピングとは自らセールを動かし、勢いを加えることでスピードやアングルを増すための動作になります。

学生時代にやっていたというテクノという種目は無限にパンピングすることができました。

しかし、IQ foilになってからは正直パンピングについては軽視していてまったく練習もしていなかったし、この1年半増量のことしか考えていなく、体力+軽快な動きというのが明らかに衰えてしまっていたと思います。

海外選手と一緒に練習すると、いつまでパンピングするの?といったくらいパンピングをしています。しかもパンピングによってスピードが上がっているし、あり得ないアングルで走っています。

なのでレース形式の練習では、スタートが決まってもパンピングで自分の走りたいコースを塞がれてしまい何もできない状況に追いやられてしまいます。

何もできなすぎて悔しいという気持ちしかありません。

パンピングに関してはもちろん正しいやり方というのがあるとは思いますが、パンピングに対する意識の無さというのが反省すべき点だったといえます。


タック

そして最後がタック

タックは風上(アップウィンド)に向かう際に行う方向転換です。

方向転換は減速してしまうのでロスになるというのが通常の考え方です。

しかし海外では冗談抜きで浮いたまま行うフォイリングタックというのが日常的に見られます。それも風の弱さ関係なしに体重90~100キロあろうがいとも簡単に。

レース中のタックも海面に1タッチするだけで本当にロスがありません。

ロスの無いタックができなければ世界で成績を残すのは難しいと言ってもおかしくないレベルです。

僕のタックは始めたての子供がやるようなレベル。このままで勝てないと一緒に練習してすぐ思いました。

以前からInstagramで海外選手のフォイリングタックを見ていますが、これもただすげぇと見ているだけではなく、どういう原理で体をどのように使えば成功できるのかを理解して練習しなければ行けないと思わされました。


競技生活を再スタートさせて1年半。どれくらい自分が成長できたか、海外ではどれくらいのレベルなのか、少しワクワクした気持ちでやってきました。

またこの半年ほどは、道具の個体差というところにフォーカスして成績を残すための調整を行ってきたつもりでいましたが、僕の技術力や経済的なことも含めて考えるともてる道具の個数は限りがあるし、そこの次元に行く前にやるべきことがあると海外に来て痛感しました。

海外選手に教えを請うとき、

「一流になるには1000時間費やせ」

と先輩方も言われているみたいですし、僕自信も言われました。

今回感じた海外選手との技術差をどうしたら埋めることができるのか。

日本に帰ってから常に疑問を持ちながら日々の練習でテストを重ねて、用具や原理などの理解をしながら地道にやっていくしかないと思っています。


練習の取り組み方

まず1人で練習している人は当然いません。だいたい2~3人ペアで必ず練習しています。そして大会直前という理由があるかもしれませんが、レース形式の練習か道具のテストしか行っていませんでした。


ペアで練習し、遅い方は何かを変える。またテストし遅いほうが何かを変える。これを互いにやることで互いにレベルアップして速くなるといった感じです。


そもそもペアのレベルが高い上に個人種目だけどペアがチームのような形で練習を行っている。当たり前ですが速くなるに決まっていますよね。


また、コーチが船で練習に同行していて動画チェックやアドバイスをすぐにしている風景も当たり前に見られました。日本にはこのシステムが数人しか導入されていません。この差もあると思います。気候が関係しているため、海にコーチがいてその場で指摘してもらえる環境があるないの差は大きと思います。


そして1番は他国の選手と情報交換を頻繁にしているということです。バスティー曰く


「海外選手はオープンだから何でも聞くべき。日本人は日本人で固まっていて聞きに来ない。日本人らしいけど(笑)」


情報はどの競技においても重要です。コロナの影響もあって海外遠征ができなかった時期が長かったため、日本人のトップ選手ですら上位に食い込めない状況から、日本人が知らない技術やセッティングがあるに違いないと感じています。


海外選手は練習時も海の上で混ざってレース形式の練習を事前に予定したり突発的にやったりしてますし、陸でもよく会話をしています。


この後話しますが、英語の習得は競技力向上ののためにも身につけなければと思わされたくらいです。僕は聞きたいけど英語が話せないから聞けないという1番ダサいパターンでこのままじゃダメだと思いました。


なにか気づきがあったら共有して、他選手に助言を求める。そしてトライして結果どうなるか。終わったらまた気づきを共有…


このサイクルなくして向上はないと断言できます。なぜこれを日本にいるときからもっと積極的に行わなかったのだろうと後悔しているくらいです。


日本はそもそもチームで動いている感じがあまりありませんし、このやり取りが全員でされていないです。僕自身もトップ選手に遠慮してしまうことがあるので、その姿勢が本当にだめだなと思わされました。


自分がうまくなるためにはどういう行動をしたら良いのか。それだけを考えたら海外選手のような行動を取るに決まってます。


技術面もそうですが、今までの練習の仕方のもったいなさ・効率の悪さというのにも気付かされました。


体のデカさ

技術面の部分で少し触れましたが、海外選手の体はまじででかいです。


現在の僕は178センチ、85キロありますが、海外選手は180センチオーバー、体重も目視で90~100キロの選手がほとんどといった形です。


もちろん僕と同じくらいの体型の選手でも全然速い選手はたくさんいますが、トップレベルになると体格が大きい選手しかいないです。


種目がIQ foilになってからボードが海から浮き上がり、下からの揚力が発生するためそれを抑えてスピードを出す=体重が必要といった理由なんだと感じています。


海外でもジムに数回行きましたが、一般の人ですら体がめちゃくちゃお起きですし、扱っている重量も日本でジムに通っている一般の人では考えられないものを扱っています。


おそらく選手レベルになると、ウインドサーフィンに対する熱量と同じくらいトレーニングにも時間と労力を割いて体作りを行っているはずです。


でも良く考えたら他のスポーツでもその競技に適した体作りをするのって当たり前ですよね。大谷翔平だって、メジャーリーグに行ってからあれだけの成績を残すために体が見違えるように大きくなっている。自分が体づくりに対して熱を注ぎきれていないだけだと感じています。


ウインドサーフィンの技術だけでなく、大きくしつつパンピングのような俊敏な動きもできて体力も兼ね備えた体作りというのも日本に帰ったら取り組まなければ、世界で通用する選手にはなれません。


今回の海外遠征で、95キロまで体重を増やそうと決意することができました。あと10キロを大変かもしれませんが各パーツ毎に+1キロを目指して年内には達成できるように取り組みたいと思います。


ウインドサーフィンで驚愕したことも3つ書きましたが、

  • 生活スタイル

  • コミュニケーション

といった生活の部分についても次の投稿で触れようと思います。

ここまでマニアックな内容でウインドサーフィンを知らない人にとってははてなマークばかりの内容だったかもしれません。

ただここまで読んでくれた方がいらしたら嬉しいですし、初めての有料記事なので良かった点や悪い点などを是非聞かせてほしいなと思っています。

ウインドサーフィン同様、noteの質も今後高めていきたいので貴重な意見を是非お待ちしております!

それではまた次の記事で。


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