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【発酵について学ぶ】梨とリンゴの酵素シロップを作ってみた
「梨とリンゴの酵素シロップ」を12日間かけて作ってみました。
趣味でお酒の作り方について調べていて、その中で出てきた「発酵」の工程を実践してみたかったというのと、実家に寄った時に貰った大量の梨が消化しきれずに冷蔵庫に鎮座していたというのが主なきっかけです。
今回のシロップは梨を使っているということで、宮沢賢治の「やまなし」に準えて「クラムボン1号」と名付けてみました。
以下からは、僕のTwitterで投稿していた経過観察に加えて、補足を交えながらまとめたものになります。
使用したアイテム
シロップ作りに使用したアイテムは果実以外に以下の3つです。
①果実酒瓶
・タケヤ化学工業さんの果実酒瓶をネットで購入。
・蓋に弁が付いているので発酵した時にガスが抜けやすい。
・4リットル&口が広いので素材を入れやすい。
・値段が¥1,000程度とお手頃!
②炊事用ビニール手袋
・かき回す時に付けると手が汚れないで済む。
・使用後に裏返しにして捨てれば周りも汚さない。
※腐食やカビ防止のため、容器内部に菌や水分を入れない方が良いので、なるべく付けた方がいいと思う。
※20枚(10日×朝晩2回/片手)程度は使うので、スーパーとかでお得用をゲットするのが吉。
③砂糖
・1キロ100円程度で売ってる普通の上白糖。
※いきなり高い買って失敗するのもあれなので手頃なものに。
※今回は、砂糖の1キロに合わせて梨2個半分を使用。
1〜3日:成長期
果実と砂糖の量は1:1に。
※今回参考にしたサイトとは別のサイトでは、砂糖は1.1にした方が良いとの記述もあり。次回あれば試してみようと思う。
容器の底に少し砂糖を敷いて、その上に1口サイズに切った梨をバラバラと入れる。さらに残りの砂糖を上にかける。
外果皮に糖分が混ざることにより、発酵が進む。後から知ったが、芯と種は入れなかったが、入れた方が発酵が進むらしい。
そんな感じで初日スタートです。
・1日目
梨の発酵シロップを仕込んでみた。果実と砂糖は1:1の同量にして、毎日朝晩の2回かき回す。上手くいけば7〜10日で発酵がはじまり完成するらしい。とりあえず「クラムボン1号」と名付けた pic.twitter.com/aFKm8BSxXc
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 18, 2020
そして、毎日朝晩の2回。かき回して空気を入れる。
最初は丁寧に泡立てずにやっていたが、もう少しちゃんと空気を意識してかき回しても良いと思う。
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 18, 2020
【初日・夜】
仕込んで3時間ほど経過。すでに底に薄っすら果汁と砂糖が混じった蜜ができていた。果実全体に砂糖を塗すように1度かき回す。クラムボンはまだわらっていない。 pic.twitter.com/WR0R8rIr6t
・2日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 19, 2020
【2日・朝】
昨日と比べて果汁が結構出だしていて、砂糖と分離していた。蓋を開けるとちょっと甘い香り。これをかき混ぜて均等にする。クラムボンはまだわらっていない。 pic.twitter.com/BbB0Zi01ao
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 19, 2020
【2日・夜】
容器の内側に付着していた砂糖の粒が水滴になっている。少しずつ発酵がはじまっていることで気体が発生しているのかも。果汁と砂糖が分離していたが、果汁の色味が少し濃くなっている気がする。また混ぜた。 pic.twitter.com/78L6JHDAOE
・3日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 20, 2020
【3日・朝】
1センチほど砂糖が下に層になっていたけど減ってきている(シロップ状になってきている)気がする。果汁の色味も濃くなってきて、その分浮かんでいる果実はシワシワに。ちゃんと腐らないでちゃんと発酵するのだろうか。クラムボンに死んでほしくない。 pic.twitter.com/Vxgj1MNsEd
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 20, 2020
【3日・夜】
ほとんど底に砂糖のザラつきは残っておらずシロップ状になってきた。果実の皮の端はほとんど茶色がかっている。混ぜる作業もほぼ液体なので楽に。
1枚目:混ぜる前
2枚目:混ぜた後 pic.twitter.com/EWKDPFNWje
4〜8日:成熟期
外果皮が茶色くなり、香りも熟成されてきますが、シロップはあまり変わり映えのしない日々が続きます。
ちなみに、季節によって発酵の速度は変わるらしい。夏は早くて冬だと遅いとか。
また、柑橘系果物は発酵に向いていて、例えばレモンだと1週間待たずに発酵するとのこと。
・4日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 20, 2020
【4日・朝】
蓋を開けるとホワっと梨の甘い香りがした。上部に浮いている果実がひと回り小さくなった気がする。かき回してみると実が崩れ易くなってきているのが分かった。 pic.twitter.com/WqiyNZOEOu
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 21, 2020
【4日・夜】
攪拌するとやはり実が崩れ易くなっている。見た目は朝とそれほど変わっていない。若干液体としての透過率と濃度が上がったかなぁと思う程度。それも陽の光と照明という違う環境での判断なので正確ではない。凪の状態。もしくはサナギから蝶になる段階か。 pic.twitter.com/YyDTrYN4RH
・5日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 22, 2020
【5日・朝】
腐食が進んで皮が茶色くなってきているのが分かる。実の繊維もより崩れやすくなってきている。香りもただフレッシュな甘い感じではなく熟れた感じが混ざってきた気がする。でも前日とあまり変わらず凪と言えば凪。凪がお暇している。 pic.twitter.com/8mOsbq9NBy
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 22, 2020
【5日・夜】
写真では伝わりにくいけどシロップの色がコーラルピンクっぽくなってきた。よく見ると全体に小さな泡のように細かい果肉の繊維が。ふとシーモンキーを思い出す。シーモンキーブームってなんだったんだろうか。 pic.twitter.com/T9slJAU1Dj
・6日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 23, 2020
【6日・朝】
見た目は特に変わらないが、かき回す度に果肉の繊維が舞い、シロップが濁っていくので、何か申し訳ない気持ちになってくる。しかしこれもクラムボン、お前を進化させるためなんじゃ。分かってくれ。 pic.twitter.com/Htydkn5Zum
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 23, 2020
【6日・夜】
色が濃くなっている。昨晩のコーラルピンクから山吹色か黄土色に近いかも。ちなみに「色濃い」で思い出したけどジャミロクワイの名前の由来はジャムセッションの「ジャム」とインディアンの「イロコイ族」を組み合わせたもの。 pic.twitter.com/u5El10A3nQ
・7日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 24, 2020
【7日・朝】
ここからは、いつ発酵してもおかしくない。発酵するとシュワーっとなるらしい。少し前までは砂糖が沈殿していたが、今では崩れた果肉が沈殿している。
シュワーで思い出したが、アーノルド・シュワルツェネッガーはいつまでシュワちゃんと呼ばれるのだろうか。 pic.twitter.com/uW0C1SpLZO
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 24, 2020
【7日・夜】
香りに芳醇さが増しているような気がする。上手く説明できないけどちょっとワインぽい感じが混じってきた様な。皮は縮んで丸まり、果肉の端が白から透明に。全ての養分がシロップに吸い取られ、新たな命が産まれようとしている。私は今この世界の理を見ているのだ。 pic.twitter.com/ANzQbLr1cw
・8日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 24, 2020
【8日・朝】
まだクラムボンはわらっていない。シロップ内に果肉の粒子が舞っていて一寸先が見えない。映画『ミスト』みたいだ。 pic.twitter.com/MOzwRiAHrP
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 25, 2020
【8日・夜】
シロップが琥珀色になってきた。果肉の端が3分の1や半分ほど透明になっているものも出てきた。蓋を開けた時のフワッと香りが鼻に届く感じ。蓋のガス抜き弁が湿っていることから目に見えなくても発酵が少しずつはじまっているのかもしれない。気泡は出ていない。 pic.twitter.com/3AmuKOI4DY
9〜11日:そして発酵へ
当初予定の10日に差し掛かり、若干焦り始めます。
・9日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 25, 2020
【9日・朝】
数えられる程度だが、小さな気泡が内側から上がっていくのが見えた。元々溜まっていたものなのか発生したものなのかはまだ分からないが。まさか。 pic.twitter.com/9Hvp07riCN
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 26, 2020
【9日・夜】
気泡がやはり数える程度確認できる。しかし、ここ数日気温が低かったのでそれほど発酵が進んでないのかも。もう少し様子をみたい。香りは本当に熟成されてきた感じがある。透明になった果肉のかけらが崩れて底に沈んでいく。
※写真は朝とそれほど変わらずなので割愛
・10日目
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 27, 2020
【10日・朝】
気泡が少し増えている。これで良いのだろうか。発酵としての決定打が欲しいところ。他はそれほど変わりない。 pic.twitter.com/cz4HfXk4EV
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 27, 2020
【10日・夜】
発酵するとされる10日経ったが、朝とそれほど変わらず。冬だと14日かかるらしいので明日以降も様子をみて、14日目をリミットにしてみようかと思う。シロップとしては現状でも完成はしているのであとは発酵するかどうか。香りは悪くない。
※写真は割愛
・11日目
ここから少し手を加え始めます。
ドライイーストを入れるというやり方です。
ドライイーストは30〜40℃で発酵が活発になるのですが、60℃以上だとイースト菌が死滅するらしいです。
クラムボン1号🍐
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 28, 2020
【11日・朝】
調べてたら果物のジュースにドライイーストを入れて発酵ジュースを作るというやり方を見つけた。以前パン作りで余ってたものがあったので、小さじ一杯程度入れてみる。ドーピング感あるがこれで発酵が促せれば良し。
ということで、パネルヒーターを「弱」にしてその中に容器を入れてみました。また、リンゴを1個。芯と種をつけたまま同じ1口大で切って入れてみました。
発酵しない場合に「リンゴを1個種ごと切って入れると良い」「ドライイーストを入れたら暖かいところに置く」というのを見つけ、2つの案を合体させたら上手くいった。
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 28, 2020
ドライイーストは60℃以上で死滅してしまうのでパネルヒーターは「弱」に。空気は上の方が暖かいので踏み台の上に置いた。 pic.twitter.com/HvBFHO4qkZ
そして、攪拌のさせ方にも変化をつける。
あとは攪拌のさせ方も丁寧にやっていたが、シロップがより空気と混ざるように(ある程度泡が立つように)意識してやってみた。果たしてどうなるのか。
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 28, 2020
すると、
発酵してる!クラムボン笑ってる!
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 28, 2020
ドーピングというか、手を加えたのが功を奏し、発酵が急激に始まりました。この方法をもう少し早い段階から始めても良かったかも。
後に調べると、自然発酵だと余計な菌が繁殖しやすいため、酒母を点火するのが今では主流らしいです。
シードル(リンゴのお酒)とペリー(梨のお酒)は、今回の作り方とほぼ似ていて、外果皮と果汁に含まれている糖を合わせることで発酵がはじまる。伝統的な自然発酵だと余計な菌が繁殖しやすいので培養した酵母を使用した酒母を添加するのが今では主流らしい✏️
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 29, 2020
クラムボン1号 Type-E🍐🍎
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 28, 2020
【11日・夜】
発酵を促進させるために、りんご1個、砂糖小さじ3、ドライイースト小さじ1を追加。イースト菌発酵に最適な30〜40℃を保たせるためにパネルヒーター(弱)に毛布をかぶせた状態で数時間放置。荒療治が効いたのか容器を振ると炭酸飲料の様に気泡が出た! pic.twitter.com/pEKbxhDipf
梨オンリーで進めていましたが、リンゴを加えたりしたので「クラムボン1号」から改名し「クラムボン1号 Type-E」へと進化しました!
クラムボン1号 Type-E pic.twitter.com/c2DSAcDH2J
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 28, 2020
※Type-Eの「E」はEvolutionとEdenの意。作者はかっこいいと思っている。
ここで、発酵を終了させても良いのですが、リンゴを入れたばかりというのもあり、常温で放置して一晩だけ寝かせることにしました。
ちなみに発酵させ続けるとお酒になってしまい、免許が無いと酒税法違反になってしまうので注意が必要です。
12日:酵素シロップ完成
一晩経ち、リンゴの風味も混ざり良い感じで発酵していました。
クラムボン1号 Type-E🍐🍎
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 29, 2020
【12日・朝】
あれから常温で放置していたので発酵は進みすぎず、香りにリンゴのフレッシュさが混ざって良い感じに。天然のサイダーだ。今日どこかで濾します。 pic.twitter.com/9rU9nTpUJr
こちらは音ありで聞いてみてください↓
混ぜるとシュワーっと音がした(※音声あり) pic.twitter.com/Cbbj7B1Hh7
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 29, 2020
・シロップを濾す
以下の工程でシロップを漉していきました。
①ボウルにザルを入れ、重曹と共に熱湯をかける
②乾かしてから除菌ペーパーで拭く
③ボウルの上にザル、キッチンペーパーを敷き、シロップを濾す
④なるべく菌が入らないようにラップをかけて重しを乗せる
(今回は発泡酒の缶を何個か乗せています)
⑤ある程度たまったら手袋をしてさらに握りこぶしでグーッと押し出す👊
⑥今まで使っていた果実酒瓶の容器を洗って乾燥、除菌
⑦ボウルのシロップを⑥に移し替える
クラムボン1号 Type-E🍐🍎
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 29, 2020
【12日・夜】
ボウルにザルを入れ重曹と共に熱湯をかける→乾かしてから除菌ペーパーで拭く→ボウルの上にザル、キッチンペーパーを敷きシロップを濾す→なるべく菌が入らないようにラップをかけて重しを乗せる→ある程度たまったら手袋をしてさらにパンチして押し出す👊→ pic.twitter.com/VChJuRsGKn
今まで使っていた容器を洗って乾燥、除菌し。ボウルのシロップを移し替えたら酵素シロップ「クラムボン1号 Type-E」の完成です!
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 29, 2020
冷蔵庫に保存しておけば1〜2ヶ月程度は持つらしい。 pic.twitter.com/326qzgl4Ct
という感じで、無事完成!
そして早速飲んでみました。希釈は通常10倍(シロップ1:水9)らしいのですが、美味しく飲むなら少し濃い目の5〜6倍をソーダ水で割ると良い感じです。少しだけレモン果汁を入れると味が引き立ってさらに美味しくなりました。
— ガジェットスター (@gadgetstar) September 29, 2020
12日間お付き合いくださりありがとうございました(完) pic.twitter.com/EgK4ffkN7M
容器の中は果実が熟成された甘い香りがします。これだけで味見しても美味しいのですが、ソーダ水とレモン果汁を少し足して飲んでみたら、かなり爽やかでイケてる味に✨
冷蔵庫に入れれば1〜2ヶ月ほど保つらしいので、紅茶に入れてみたりと、これから色々活用してみようと思います。
発酵って面白い。
よろしければサポートをお願いいたします。いただいたサポートは自作ピザ窯で休日に焼くピザの材料費として大事に使わせていただきます🍕