儲かり巨大企業ソニーを深堀り! 倒産危機からV字回復できた「4つの柱」とは?【株価でわかる!】
今週は、「株価でわかる! アノ会社の儲かりの素顔」シリーズ第4弾。
企業の儲かりのヒミツを、「株価」という視点から探ってみようというもの。株価が推移するグラフを観察すると、その会社が本当は何で稼いでいるのか? 特徴やヒミツが見えてくるんです! 株価の動きにひもづけて、業界内での立ち位置や、経営戦略、将来の成長性、会社の社会的な存在意義などを解説。
『がっちりスクール!!』編集部員である、投資を始めて6年&株価チャート見るのが三度の飯より大好き南 祐貴(セカニチ #世界最速で日経新聞を解説する男)が楽しくお届けしていきます!
今回は、SONY(ソニー)です。
『がっちりスクール!!』の編集会議の雑談で、「SONYが好調だよね。スマホ専用のRPGゲーム『FGO(フェイト・グランドオーダー)』は国内売り上げシェアトップだって!」などと盛り上がり、ならば改めて研究してみよう!となりました。
SONYを株価の視点でみると……。
2017年から右肩上がり。2012年11月に801円と下がりに下がっていた株価は、直近で8036円(2020年1月14日)という最高値をつけ、ドラマチックな復活を遂げています。
好調の理由は、「4つの柱と2つの原動力」にありました!
ソニーの歴史も振り返りながら、儲かり企業として歴史的復活を遂げたヒミツを解き明かします!
記事の最後には、いま株式市場で話題の「コロナショック」への考察もあります。ぜひ最後までお読みください。
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◎はじめに
クイズです!
これらの画像の「共通点」は何でしょうか?
みんなが知っていてファンも多い製品や作品、アーティストたちを生み出しているその共通点は……「ソニーグループ」であることです。
「ゲーム」「カメラ」「音」「半導体」「金融」「映画」と、手がける事業は非常に幅幅広い!
2019年の世界におけるブランド価値を計る調査「もっとも価値のある日本ブランドランキング」でSONYは4位(WPPグループ調べ)。日本を代表する企業ですね。
日本ブランドランキング【WPP/カンター調べ】
まずは、そんなSONYが歩んだ歴史から株価と一緒に振り返っていきましょう!
最高値1万6250円から801円の最安値……!SONY復活までの20年史
日本を代表するブランドのSONYですが、実は一度死にかけているのです。
■SONY 20年の株価推移
株価を見るとどうでしょうか?
2000年2月には1万6250円あった株価が、約10年かけて大幅に下落しています。停滞期に株価は1000-2000円を行き来しており、なんと2012年11月30日には最安値801円をつけました。
巨大な時価総額の企業が、「全盛期の-95%の株価」になってしまったのです。
実際、筆者が就職活動をしていた2011年ごろ、SONY内定者だった大学の先輩が「現役社員が”SONYは潰れる”と声をそろえている」と言っていた記憶は今も鮮明に残っています。
■2012年11月に最安値を更新したSONY株価推移
■SONY株価最高値と最安値比較
2000年に最高値をつけた株価ですが、大幅な下落は2001-2003年ごろから始まりました。リーマンショックは2008年9月ごろなので、それだけが要因ではなさそうです。
株価の下落には大きく2つ理由があります。
①内的要因:経営者✕ 商品✕
→当時の新社長は、「ハード軽視」「ものづくりに関心がない」といわれる方でした。社員1万人のリストラ断行は机上の数字(財務)で判断し、「現場の社員を軽視している」と社員のモチベーションは大幅に低下しているといわれていました。ものづくりの会社が技術者を軽視すれば、良いモノをつくることなんてできませんよね。(細かく書くとものすごく長くなるので端的に書きましたが、ここには深~~い歴史があるので、検索して様々な記事を読んでみてほしい!)
②外的要因:リーマンショックと東日本大震災
→日本企業すべてに大きなダメージがあったのでもはや説明不要でしょう。
そんな歴史を経て、SONYの直近の年度決算はどうなっているかというと……。
売り上げは年間で8兆6000億円! これは日本にある400万社のうちの11位に入る超巨大な規模です。純利益9000億円は、日本で4位! (参照:Ullet)
SONY史上初、税引前利益は1兆円を突破しました。
収益の柱は「ゲーム」「カメラ」「音楽」「半導体」「金融」「映画」です。
日本を代表する総合電機メーカー&総合エンタメ企業といえます。
※ちなみに、SONYグループの金融事業というのは、「ソニー生命」「ソニー損保」「ソニー銀行」。なかでも生命保険は大手生命保険会社と肩を並べる業績で、SONYに安定した収益をもたらしています。
では、いかにしてSONYは株価をここまで回復させたのか。「4つの柱と2つの原動力」を見ていきましょう。
ライバル電機メーカーに圧勝! SONYと電機メーカー株価比較
「高度経済成長期の日本のモノづくりを支えた」といわれる、電機メーカーたちと株価を比べてみましょう。
■主要電機メーカーとSONYの株価比較
2016年以降ほぼ横ばいの株価である家電メーカーと比べて、1社だけものすごい伸び率であることがわかります。
SONYだけ伸びている理由は、家電製品の売り上げが低迷するなか、SONYには音楽・映画・ゲームというエンタメ(ハードもコンテンツも)があり、半導体製品という強みがあるからです。
SONYのキーワードは、「カメラ」「ゲーム」「半導体」「音楽」です。
【柱その1】ミラーレスの技術で他社を圧倒するSONYの「カメラ」
では視点を変えて、「カメラ」でライバル企業の株価と比較するとどうでしょうか?
実はSONYは、映像機材として業界シェア1位なのです。テレビ番組もSONYの機材で撮られているケースが非常に多いのです。(写真引用:公式HP)
日本のカメラメーカーはもともと、CanonとNikonの一眼レフが市場を牽引し、大きなシェアを占めていました。
そこにSONYは先行投資をし、価格もお手頃・高品質・コンパクトで軽い「ミラーレス」の技術で他社を圧倒し始めます。プロのカメラマンだけではなく、一般の方々にも使いやすい「軽いのにスマホでは出せない高品質!」のミラーレスカメラの開発にどこよりも早く力を入れたのです。
■主要カメラメーカーとSONYの株価比較
2016年1月時点では、ライバル企業より低かった株価は右肩上がりに伸び、2018年以降はSONYの圧勝です。ミラーレスが市場の中心になる、というソニーの未来を見通す力はすごい!
新参ソニーがカメラ最高級市場で初のシェア1位、悩むキヤノンとニコン(DIAMOND online)
α6400シリーズや、α7Ⅲを店頭で触ってみてください、ボディも美しく最高にオススメです!(筆者も2015年からα7シリーズを愛用中)
◎スマホのカメラもSONY
スマホの中身のカメラも、実はSONY製が使われています。このnoteをiPhoneで読んでいる方も多いと思いますが、実はそのiPhoneのカメラ、SONY製かもしれませんよ。
※具体的にiPhoneのどの機種にSONYのカメラがどのくらい使われているか、正式には発表されておりません。とはいえ、筆者も使ってますが、直近のiPhoneのカメラの性能、非常に驚くほど高画質になっていますよね。
また、SONYは、多くのスマホに搭載されている部品「CMOSイメージセンサー」で群を抜く市場シェアを獲得しています。正式には公表されていませんが、アップルのiPhone 11シリーズも採用しているといわれています。
そして、ソニーの「カメラ」事業にとって追い風なのが、スマホカメラの「多眼化」と「大判化」です。iPhone 11 Proでは背面の3つのカメラを搭載し、画角を切り替えて使えます。ソニーがつくるスマホXperiaでも、2019年発売のXperia 1から、3眼のカメラを搭載しています。CMOSセンサーはカメラ1つごとに搭載されるため、3眼カメラなら3つ必要になるというわけ。
スマホカメラの複眼化でソニーのセンサーが絶好調。生産工場建て増しへ(engadget)
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ここから先は、有料コンテンツになります。このnote単品は550円です。有料版を購入していただくと、以下のコンテンツを楽しむことができます。
【目次】
・【柱その2】ハード&ソフト&スマホで強いSONYの「ゲーム]
・【柱その3】スマホやTOYOTAの自動車、ICカードにSONYの「半導体」
・【柱その4】自社レーベルあり、コンテンツサプライヤーとしてのSONYの「音楽」
・【原動力その1】2012年から新社長「平井改革」による徹底した現場主義
・【原動力その2】オリジナル電気自動車、スマホ新機種! 技術への先回り投資
・SONYのこれからの懸念点
・緊急事態「コロナショック」を投資家はどう見るか?
▽note購入者から寄せられた感想です。(ありがとうございます!)
※すべての内容を何十時間もかけてリサーチして、一生懸命書いています。本気でみなさまに「有益な情報」を届けたいという信念を持っています。購入して絶対に後悔させない内容にしています。ご購入いただき最後まで読んでいただけたらうれしいです!!!(セカニチより愛を込めて)
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