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42. ヒトの脳

男女には、体つきやホルモンの違いがありますが「脳の男女差はほぼないといってよい。以前は、右脳と左脳をつなぐ神経繊維の束である脳梁の一部に違いがあるといわれていたが、近年、差がないことが明らかになった」ことが脳科学で示されています。


脳の構造に違いがあるのではなく、脳内で情報を処理する様子に男女の違いがあるという実験結果があります。

女性の脳は、左右の脳でやり取りする処理が多く

男性の脳は、左脳内、右脳内で行う処理が多い

949人の若者 (8~22歳、男性428人、女性521人) のサンプルで構造的接続をモデル化し、発達の過程で脳の接続性に独特の性差を発見した。

ただし、この効果は小脳接続で逆転があった。これらの変化を発達的に分析すると、主に思春期と成人期における男女の軌道の違いが示された。

(※小脳は運動機能を調節する)

Sex differences in the structural connectome of the human brain   September 9, 2013


しかし、これは22歳までの実験結果です。

統計による男女差があるにせよ、個人個人、考え方は違い、年齢とともに、また環境に応じて、物の見方や捉え方は変化します。

思考や行動を司る脳のネットワークは、神経細胞の繋がり(=シナプス)によってでき、実際、

シナプスは、経験や知識という刺激によって繋がり、あるいは途切れ、変化していくことが解っています。

出典・引用
ミクログリアがシナプスの検診や除去を行う様子を観察

『最近になって、グリア細胞が脳機能の保持や制御に
重要な役割を果たしている
ことがわかってきた』



脳の各分野の働きに違いがあり、ある一部の機能に損傷ができた時に他の部分が補うように機能することもあります。


個人個人、脳の大きさや形は違い、個人差のあるヒトの脳の仕組みは複雑で、全てが解明されているわけではありません。




脳のネットワークに男女差があるのは、男性ホルモンと女性ホルモンが関わっている、とされていますが、

男性ホルモン(アンドロゲン)と女性ホルモン(エストロゲン)は、性差の決定に関わるホルモンです。

これらは、男性だけ、あるいは女性だけが持つのではなく、両方の性ホルモンは適切な時期に、適量で、それぞれの性において、産生されています。

男性ホルモンを女性ホルモンに変換する酵素「アロマターゼ」は、脳でも発現しており、アロマターゼ遺伝子を欠失させた"マウス"の実験から、アロマターゼが、攻撃行動や抑うつ様行動に関わっていることが示されています。

理化学研究所 2019年1月15日



しかしながら、ヒトでは実験できず、解明されていないことが数多くあるのです。


解明されていないということは、決めつけることができない可能性を秘めている、ことでもあり、全てのことは解明されず謎のままであってほしいと個人的に思います。


いずれにせよ、病気治療のためには解明された方が良いことはありますが、"個人差のない"、"明確な"、「倫理」の基準が、科学実験において必要であることは言うまでもありません。

曖昧な「倫理」の意味

・社会生活で人の守るべき道理。
・人が行動する際、規範となるもの。
・行動の規範としての道徳観や善悪の基準。
・人としての正しい行動。

各種国語辞典より





【余談】解明されない「大自然」のしくみと解明されるべき「自然」のしくみ




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