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「相手より優位に立ちたい人」って、結局はとても「弱い人」

「どう思う? この上から目線な感じ」

 土曜日の某喫茶店。女友達がしかめっ面で、LINEの画面を見せてきた。表示されていたのは、ある男性とのやり取り(年下の女の子を言葉巧みに騙して、自分の思い通りに従わせる、けしからん輩だそうです)。

「常に自分が優位でいたい、っていう感じが言葉に滲み出てるんだよね。
わたし、上に立とうとする人、優位に立とうとする人が男女問わず嫌い!」

 私も「そういう人っているなあ、嫌だなあ」と頷きながら聞いていた。
 ……なのだけど、「優位に立ちたい人」全員を「悪い」とは言い切れない部分もあって、「うーん」と考えてしまう。

「優位」とか「支配」って、大きな言葉で語るから、とても悪いことのようだけど、自覚さえあれば、相手や自分を傷つけずにうまく付き合っていく技術になるんじゃないか。すべての人に対等に向き合うのって疲れるし。

 マウンティングじゃない「支配」もどこかにあるはず、と信じたい。相手を「尊重する」ことと「守ること」が含み合っているような関係も、きっと築けるはずなのだ。

 問題なのは、相手より優位に立つために「あなたのために言うけど」「あなたが悪いから」と、相手に責任を被せる人。そして、自分の言葉で語らない(=コミュニケーションを放棄している)人。

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「この人、自分が優位に立ちたいんだな~」って誰かに対して思うとき。
 その相手ってどんな人物だったかな? と考えてみたら、主に3パターンに絞られた。

①「(話も聞かずに)あなたはこういうところがダメ」と全否定する

 自信のない人をコントロールするのは楽チンだと思う。
 全否定しておけば、相手は「この人わたしをわかってる!」と勝手に心酔するか、「そんなことありません!」と食らいついてくる。で、頃合いを見て「ダメなところも魅力だよね」とか「俺はいいと思ってる」とさも唯一の理解者のように振る舞う。
 相手の劣等感を蹂躙した後に、持ち上げると、簡単に優位に立てます。
 私は20歳頃、散々こういう大人に泣かされたんですが、「自分は餌食にされやすい」という自覚を持ったら、淡々と聞き流せるようになりました。

②過剰に傷ついたふりをして(もしくは相手を威圧して)、「お前が悪い」という空気感を出し、従わせる

 これ「振り回す系の女性のこと?」って思われるかもしれないけど、男性にも結構います。本能的にうまい人がいる。
 後から「あのときはごめんなさい」とこちらが謝ると「え?そんなことあった?」ってケロッとしてたりして(単に頭悪いだけの可能性……)。
 心底傷ついている人は、まず相手のせいにはしない。自分で痛みを引き受けるものだと思う。

③知識をひけらかす。もしくは「考えてません、知りません」と開き直る

 文化系の飲み会で、③みたいな人がいると、即帰りたいです(笑)。
(わざと下ネタを言って、相手が嫌がるのを見て喜んでいる人っていますよね。コミュニケーションを取った気でいるのは本人だけで、攻撃と断絶しか生んでない例)
 知識をひけらかす人も、「知らないのが当然」という態度の人も、「自分の考えを明かさない」点では、かなり似ている。自分に自信がないから、知識/無知を利用する。「自分はこう感じた」という話の根拠として、参考文献的に知識を引用するなら、むしろ好印象なんですが。

 対策としては、「知識」や「開き直り」をこちらも身に着けることで、ひとまずは楽になります。一方で「その場限りの付き合いだし、いいや」と流してしまうことも多いです。
(特に誰かを傷つけるわけじゃないので、本人が自覚するか、家族や恋人など身近な人に指摘されたときに初めて反省するんだろうな、と思います。ちょっと気の毒だ)

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 では、①~③の人がすべて「うまくやっている」かというと、そうでもないような気がする。
「優位に立つ」ことの代償は、意外と大きい。

どういうことになるかというと……

①「(話も聞かずに)あなたはこういうところがダメ」と全否定する

⇒表では尊敬されるが、裏で「他人を全否定すれば、自分は否定されないと思ってるよね」「アイツこそどうなのよ?」と徹底的に馬鹿にされる(マジ)。

②過剰に傷ついたふりをして(もしくは相手を威圧して)、「お前が悪い」という空気感を出し、従わせる

⇒従っていた人たちも愛想を尽かし、やがては離れます。味方を失う。

③知識をひけらかす。もしくは「考えてません、知りません」と開き直る

⇒自分の考えを人に表現できない。よって周囲から理解を得られにくい。

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「優位に立ちたい人」って、結局はとても「弱い人」。

「弱いことを悟られたくない人」なんだろうな、と思います。

 次は「感情はお金と同じ」という話を書きます。

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