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文月悠光 Yumi Fuzuki
2020年9月30日 21:30
【朗読】光の子ども
文月悠光
空の赤い心臓を目指して 幼いわたしが駆けてゆく。 *空をぐるりと見渡して幼い指で光をなぞった。光は歓び、たちまち雲間を泳ぎだす。わたしは光の子ども。月から生まれて 太陽へ還る。この世の宝の地図に刻まれている。洗いたてのシーツを風に ぱんと張ってみるとき、そこに日は昇り 日は沈む。発光する白い地平線に包まれ、わたしたちは眠る。殴るような嵐のあと 一筋ひとすじの光となっ