【辰】龍尽くしカレンダー6月・雨龍(前編)
6月、梅雨入り間近。
今年は沖縄・奄美を見ると少し遅めのスタートのようです。
龍カレンダーも折り返しを迎えました。
毎月初、毎月初、龍について読んでくださる皆様に深々と御礼申し上げます。
そして梅雨、当初より予定していた雨龍特集です!
今月もはりきって参ります!
これまでの龍はこちら ↓↓
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結論から申し上げますと、はりきりすぎました。
事前のお知らせ通り6000字。
長文ゆえ、今月は前編後編の2本立てです。
6月のテーマ「雨龍」
さて、気を取り直しまして6月のカレンダーカラーは紫。
そこにグレーや黄緑・水色をあわせ…
なんだかサイケデリックな雰囲気になりましたね。
今回は5種類6匹の龍がおります。
①雨龍図鐔/志水甚五 作、東京国立博物館所蔵、17世紀
②竜文 ★
③竜文 ★
④雨龍盤 所載蒙古襲来絵巻 ★
⑤古墨螭竜紋 ★
いつもでしたら「いつのどこの龍」というのを明記するところなんですが
★マークをつけた②~⑤の龍たち、
どこのなにでいつのなんなのか、
むしろ雨龍なのか。
詳細は後ほど…有り体に申せば題材集めに苦労しました。
雨龍についても苦労しました。
思い出すのは昨年、noteでChappyさんが江ノ島の記事を書かれた時のこと。
その際に正体のわからない龍についてお尋ねがあり、
私、このように答えています。
この時から今に至るまで、私の中では
雨龍=「このニョロ」。
そんな致命的な状態から、それでも
「梅雨だ、雨だ、雨龍だ!」と走り出しました。
雨龍について
まず読み方は、アメリュウ・アマリョウ・ウリュウといったところ。
調べていくうちに、なんとなく私はアマリョウに落ち着いています。
そんな雨龍。
ズバリ、見分けポイントはなんなのか。
1と2はよく言われているところ。
3と4は、コレも加えられるんではと思ったものです。
雨龍は紋として用いられることが多く、
社寺装飾でも板面に描かれたり、石に掘られたり。
なかなか彫刻のような立体でお目にかかることは少ないものです。
だいたい上の画像のような感じですね。
まずこの顔にピンときて、なおかつニョロで、
水玉や波頭のようなものが周りにあれば宣言します。
これは雨龍。
ここでカレンダーに話は戻り、
②~⑤の龍の出どころですが、『内外文様類集』という本から題材をとっています。
その本の「リュウ」の項目に彼らは載っており
②と③、「雨龍」とは一言も記されていません。
正確さを求めるならば②と③は「リュウ」止まり。
ただ③は雨龍条件にしっかり当てはまり
②はいささかマッチョですが、雨龍のニオイがするのでヨシとしました。
④はこれ、見たことないくらい毛むくじゃら。
ためらいつつも「雨龍盤 所載蒙古襲来絵巻」と明記してあるものだから…
ただ、『蒙古襲来絵詞』のどこに載っているか記載がなく、探してみたものの力及ばずでした。
とっても良い類例集ですが、出典がわからんのです。
螭竜と璃龍と雨龍と
さて、ここからだいぶややこしい話に入ります。
雨龍を調べていると必ず出てくる「螭竜」。
もしくは「璃龍」。
そして「蛟」。
これらと雨龍は同じものだという話が出てくるんですね。
これが厄介。
そもそもこれ、龍を細かく分類した際に出てくる名前です。
曰く、
「応龍は翼がある龍だ」
「ツノのあるものは虬龍だ」
「ウロコがあるものは蛟龍で、
ツノがないものが螭龍」。
たまったもんじゃありません。
そもそも龍って
「角は鹿、頭は駱駝に、目は…」の九似三亭説で強引に定義づけたのではないのか、
だのにツノやウロコがないのを龍に加えて良いのか、
翼があるのは応龍というなら飛龍・翼龍=応龍で良いのか。
さらに赤いやら黄色いやら色設定があり
ランク付けがあり、年齢があり
ポケットなモンスターのごとき進化形態があり
そのどれもが重々しく語られる割に
名前がダブる・設定が矛盾する。
途端に色々ブレ出します。
今回のカレンダーの⑤も「古墨螭竜紋」とはっきり書かれていながら、
ツノもそれに負けじとはっきりと描かれている。
ツノなしではなかったのか。
嫌なドキドキが止まりません。
と、だいぶ龍調べの鬱憤がたまっていたようです。
要は
・色々な龍の名前と設定がある
・雨龍は、螭竜や璃龍や蛟と同じものという話がある
・調べてみるとそもそも螭竜や璃龍や蛟の設定がかなり流動的
我々の雨龍がなんなのかはっきりしない。
あのニョロは結局なんなんだという、マゼコゼワカメ状態です。
しかし大丈夫、
螭竜やミズチにはハナから諦めムードを身に着けているので。
こういうのは相手にしないに限ります。
暗雲たちこめるなか気を取り直し、明日の後編では
「日本の雨龍」に焦点をあてて沼に落ちていこうと思います。
月初からお疲れ様でした。
どうぞ明日も乞うご期待のほどを!
おまけのモゴモゴ
だいたいの元凶は『三才図会』と『和漢三才図会』。
そして霊獣についていくら考えても答えはないという(;’∀')
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