見出し画像

めげないしょげない(仮想生命のキャリア形成について)

先週今週とアキさんというYouTuberの無料3Dステージが開催されていました。ヘッダ画像をお借りしています。

その感想はここには書かないんですが、その理由は書くと見る楽しみを奪ってしまうからです。今から書こうとしているテーマ的にも、あまりにも演出とか仕立て度合い、つまり完成度が凄まじいことを言わずにはいられない内容だった。

アキさんは開催前からハードル爆下げで見て欲しい、と常々言っており、もし仮に「爆上げして見ろや!」と宣言して見たとて、そこまで事前期待値の上げすぎによる離脱は起こらなかったのではないだろうか?という説明をすれば表現としては適切でしょうか。それぐらい凄まじかった。

舞台、演劇的なことを3Dステージ上で再現なり実現するのにどれほどの人間を動員すれば良いのかまず想像がつかない。技術が要る。どのような技術がいるかもわからない。でもアキさんが所属するカバー社はその知見があって、実現できた。再現するだけでも凄まじいことだろうけど、オリジナル的な演出がされており、その演出が当事者であるアキさんによるものだった。

演出が演者ってことにあまり前例がない。演出する人とは、3Dアニメーション制作とかCG製作者の人がもっとスキルを上げてなれるかもしれないけど、「自分が主演の3D舞台の脚本……というか演出全般」をする人(仮想生命体)っていうのはぼくが知る限りない。あるかもしれない。個人で演劇とかを3D上で表現する人は2020のパンデミックを受け爆発的に増えたからです。

そして3D体を会得したYouTuberが節目のイベントとして開催する、今回のような仮想空間でのステージイベントとはバーチャルYouTuberが発現し始めた2016~2018年代には定着するなんて予想できなかったし、3D体を使ったイベント自体が一般的になるとは(当該企業とか利害関係者の頭の中以外では)誰も思わんかったんじゃないでしょうか。

しかしながらそれは例えば上記2020年頃にはめっちゃ一般化した。その下地を持った企業MCNだけしか実現できないんちゃうんけ、と問われればそうかもねとしか言えないけど、

長期的に見れば集客とか目指すべき場所としてのロールモデルを提示したという意味において、決して地力を持った企業だけが得をするわけでもないんじゃないでしょうか。

今後仮想YouTuberのMCNとして名乗りを上げる企業は増えるかもしれないし、何がマイルストーンかが可視化されているなら何に先行投資すればいいのかがわかり、経営者にとって「ひとまず何をすればいいか」がわかっていることほどありがたいことはない。

また仮想生命体における任期……任期という表現は非常に違うんだけど、なんていうんだろう、仮想生命でYouTubeその他プラットフォームで何かし続ける生活がしたくなくなったら、また仮想世界に戻ればいいだけのことだと思う(異世界の戦士とか、森のエルフとか、仮想世界だけど人間の世界そっくりの学校の教師とかなんでもある)し、仮想存在のキャリア形成みたいなことはごくごく個人的なことだし外野が言及するほど野暮なことはないので、ぼくはいちいち考えないようにしてきたしここにも書いたことがない。

だけどアキさんが実現したことは仮想生命のキャリアに新たな可能性を見出していて、今の所ブルーオーシャンな状態にあるように見える。つまり画期的です。仮想生命としての経験が、人間社会でのキャリア形成になんらかのコミットメントをもたらす可能性がめっちゃ高い。

アキ・ローゼンタールというタレントのステージの演出、脚本とか書いた人がたまたまアキ・ローゼンタールという人だった。わかりやすく字にすればセルフ・プロデュースだけど、たまたまタレントと裏方が一緒だったというだけで、アキ・ローゼンタールというハーフエルフは、「アキ・ローゼンタールというタレント」の非常に質が高い3Dステージイベントを一週間に2回も成功させたという実績を得た

裏話として聞いたところではステージング中に背景で流れる映像の一部は自分で編集している(自分に発注すればただだからみたいなことは言ってはいたけど)。メインステージに関する映像編集とかは外部のプロがやっていたり、何よりもスタジオにおける色々な特殊効果なり運営はカバー社のこういったあれこれがなかったらそりゃ無理だけど、

そのような下地を味方につけれた上で実現した。つまりアキ・ローゼンタールというハーフエルフは歌って踊れる演者でありながら、そのようなバックボーンがあればこの品質のステージを再現できるという保障があるわけです。自分で自分のステージをポートフォリオとしてしまった。

車で壁をぶち破る演出とかは数年前に考えていたらしい。上記にリンクしたような巨大なスタジオがない頃から考えていたということですね。また、同期の自分含めた5人の中でこうした周年記念とかをステージで迎える者もそんなにいなかったことから、ゲストとして同期生を招集し、休養中の人とかのことを考えて自分たちのオリジナル歌の歌詞割り振りを再考したり、オープニング映像の音(SE?)を自分で採集してきたり、舞台の高低差を利用して舞台はけ、入りの見え方を演出したり、挙げれば枚挙に暇がないから直後に配信された裏話ライブをご覧になるといいです。

ブランディングができた上で実現する能力を持ってないとこのような世界観を2週に渡って提供するのは難しいように思えます。仮想生命の次代的なロールモデルを今回のイベントで提案したようなステージだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?