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ファスト&スロー:あなたの意思はどのように決まるか?(2014/6/20)/ダニエル・カーネマン【読書ノート】

Thinking, Fast and Slow/Daniel Kahneman
整理整頓好きの青年が図書館司書である確率は高い? 30ドルを確実にもらうか、80%の確率で45ドルの方がよいか? はたしてあなたは合理的に正しい判断を行なっているか、本書の設問はそれを意識するきっかけとなる。人が判断エラーに陥るパターンや理由を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明。心理学者にしてノーベル経済学賞受賞の著者が、幸福の感じ方から投資家・起業家の心理までわかりやすく伝える。
私たちは日々どのように意思決定を行なっているのだろうか?カーネマンによると、直感的で感情に根ざす「速い思考」と合理的で努力を要する「遅い思考」の相互作用だという。二つの思考の特徴を分析し、人がいかに錯覚に陥りやすく不合理な決定を行なうかを浮彫りにする。プライベートやビジネス、政治における、よりよい決断への道筋を示し、あなたの人間観、世界観を一変させる21世紀の新たな古典。
松井彰彦氏(東京大学経済学部教授)
人間は必ずしも合理的でない。では、どう合理的でないのか。本書を片手に、人間のファストな「直感」とスローな「論理」を科学しよう。
森山和道氏(サイエンスライター)
自分の心が思いどおりにならない理由は何だろうか。意思決定のメカニズム、心の成り立ちを知りたい全ての人に。
西内啓氏(統計家/『統計学が最強の学問である』著者)
本書を読めば新たな視座から、人間を、そして自分自身を理解出来るようになるだろう。
柏野雄太氏(バクフー代表取締役)
職業人がより良い意思決定をするための実践的指南書。バイアス研究の世界的権威が噛み砕いて伝授!

システム1とシステム2:脳の2つの働き

システム1とシステム2とは、脳の2つの異なる働きを指します。

  1. システム1:これは直感的な判断を行う脳の部分で、簡単な計算や日常的なタスク(歯磨きや食事など)を自動的にこなします。また、車の運転も初めは考えながら行いますが、熟練すると無意識のうちにできるようになります。システム1は、無意識で瞬時に判断を下す役割を果たします。

  2. システム2:これはシステム1とは対照的で、物事をよく考えて判断する脳の部分です。複雑な計算や重大な決断(志望校の選択、就職、結婚など)に必要です。システム2は、直感的には解決できない問題に対処する役割を果たします。初めは意識的に使いますが、習熟度が上がると無意識のうちに使えるようになります。

システム1とシステム2の使い分け
システム1は、脳に負担をかけずに瞬時の判断を行うために使われます。しかし、重大な決断や複雑な問題にはシステム2が必要です。システム2を使うと、脳の負荷を減らすことができます。つまり、システム1に頼りすぎると、不合理な選択をする可能性が高まるのです。
この本は、脳の2つのシステムがどのように働くかを深く掘り下げて説明しており、人々の意思決定に関する洞察に富んでいます。システム1とシステム2の理解は、日常生活やビジネスにおいて非常に役立つ知識です。


序論

本書のルーツ
本書の目的
本書の構成

■第1部 二つのシステム

第1章:登場するキャラクター

---システム 1(速い思考)とシステム 2 (遅い思考)
二つのシステム
二つのシステムの相互作用
二つのシステムの衝突
錯覚
架空のキャラクター
システム1とシステム2を話題にするときは

第2章:注意と努力

---衝動的で直感的なシステム1
知的努力
注意と努力を話題にするときは

第3章:怠け者のコントローラー

---論理思考能力を備えたシステム2
忙しく、消耗するシステム2
怠け者のシステム2
知能、認知的制御、合理性
コントロールを話題にするときは

第4章:連想マシン

---私たちを誘導するプライム(先行刺激)
プライミング効果のふしぎ
プライムが私たちを誘導する
プライミング効果を話題にするときは

第5章:認知容易性

---慣れ親しんだものが好き
記憶の錯覚
真実性の錯覚
説得力のある文章を書くには
認知負担と努力
認知しやすい快感
認知容易性、気分、直感
認知容易性を話題にするときは

第6章:基準、驚き、因果関係

---システム1のすばらしさと限界
正常な状態の評価
因果関係と意志
基準と因果関係を話題にするときは

第7章:結論に飛びつくマシン

---自分が見たものがすべて
曖昧さの無視と疑念の排除
確証バイアス
ハロー効果
自分の見たものがすべてだ(WYSIATI)
結論に飛びつく傾向を話題にするときは

第8章:判断はこう下される

---サムの頭のよさを身長に換算したら?
日常モニタリング
セットとプロトタイプ
レベル合わせ
メンタル・ショットガン
判断を話題にするときは

第9章:より簡単な質問に答える

---ターゲット質問とヒューリスティック質問
質問の置き換え
3Dヒューリスティック
しあわせに関する気分のヒューリスティック
感情ヒューリスティック
置き換えとヒューリスティクスを話題にするときは
まとめ

■第2部:ヒューリスティクスとバイアス

第10章:少数の法則

---統計に関する直感を疑え
少数の法則
疑うより信じたい
原因と偶然一
少数の法則を話題にするときは

第11章:アンカー

---数字による暗示
調整プロセスとしてのアンカリング
ブライミング効果としてのアンカリング
アンカリング率
アンカーの利用と濫用
アンカリングと二つのシステム
アンカーを話題にするときは

第12章:利用可能性ヒューリスティック

---手近な例には要注意
利用可能性の心理学
利用可能性を話題にするときは

第13章:利用可能性、感情、リスク

---専門家と一般市民の意見が対立したとき
利用可能性と感情
市民と専門家
利用可能性カスケードを話題にするときは

第14章:トム・Wの専攻

---「代表性」と「基準率」
代表性ヒューリスティック
代表性の罪
どうやって直感を制御するか
代表性を話題にするときは

第15章:リンダ

---「もっともらしさ」による錯誤
過ぎたるは及ばざるがごとし
「過ぎたるは及ばざるがごとし」を話題にするときは

第16章:原因と統計

---驚くべき事実と驚くべき事例
因果関係のステレオタイプ
因果的基準率
心理学は教えられるか?
原因と統計を話題にするときは

第17章:平均への回帰

---誉めても叱っても結果は同じ
才能と幸運
回帰とは何か
平均への回帰を話題にするときは

第18章:直感的予測の修正

---バイアスを取り除くには
回帰を無視する直感
直感的予測の修正
極端な予測も悪くない?
二つのシステムから見た回帰
直感的予測を話題にするときは

■第3部:自信過剰

第19章:わかったつもり

---後知恵とハロー効果
後知恵の社会コスト
成功の処方箋
後知恵を話題にするときは

第20章:妥当性の錯覚

---自信は当てにならない
妥当性の錯覚
スキルの錯覚
なぜスキルの錯覚と妥当性の錯覚が成り立つのか
評論家連中の錯覚
世界は予測不能である
スキルの錯覚を話題にするときは

第21章:直感 対 アルゴリズム

---専門家の判断は統計より劣る
アルゴリズムに対する敵意
ミールから学ぶ
実際に応用するときには
直感と計算式を話題にするときは

★下巻★

第22章:エキスパートの直感は信用できるか

---直感とスキル
驚異と欠陥
認識としての直感
スキルの獲得
スキル習得の環境
フィードバックと実践
予測妥当性の評価
エキスパートの直感を話題にするときは

第23章:外部情報に基づくアプローチ

なぜ予想ははずれるのか
内部情報に基づくアプローチ
計画の錯誤
計画の錯誤を減らすには
決定とエラー
私はテストに落第した
外部情報に基づくアプローチを話題にするときは

第24章:資本主義の原動力

---楽観的な起業家
楽観主義
起業家の妄想
競争の無視
自信過剰
死亡前死因分析
楽観主義を話題にするときは

■第4部:選択

第25章:ベルヌーイの誤り

---効用 は「参照点」からの変化に左右される
ベルヌーイの誤り
ベルヌーイの誤りを話題にするときは

第26章:プロスペクト理論

---「参照点」と「損失回避」という二つのツール
損失回避
プロスペクト理論の弱点
プロスペクト理論を話題にするときは

第27章:保有効果

---使用目的の財と交換目的の財
保有効果
トレーダーのように考える
保有効果を話題にするときは

第28章:悪い出来事

---「利益を得るより損失を避けたい
目標と参照点
現状維持願望
法律に見られる損失回避
損失を話題にするときは

第29章:四分割パターン

---私たちがリスクを追うとき
確実性の効果と可能性の効果
アレのパラドックス|
決定加重
四分割パターン
訴訟のギャンブル|
四分割パターンを話題にするときは

第30章:めったにない出来事

---「分母の無視」による過大な評価
過大評価と過大な重みづけ
結果の鮮明性
鮮明な確率
総合的な印象に基づく決定
稀な出来事を話題にするときは

第31章:リスクポリシー

---リスクを伴う決定を総合的に扱う
広いフレーミング、狭いフレーミング
サミュエルソンの問題
リスクポリシー
リスクポリシーを話題にするときは

第32章:メンタル・アカウンティング

---日々の生活を切り盛りする「心理会計」
メンタル・アカウンティング
後悔
責任
メンタル・アカウンティングを話題にするときは

第33章:選好の逆転

---単独評価と並列評価の不一致
経済学と心理学の対話
カテゴリー
不当な選好逆転
選好の逆転を話題にするときは

第34章:フレームと客観的事実

---エコンのように合理的にはなれない
感情フレーミング
本質とは無関係の直感
よいフレーミング
フレーミング効果と客観的事実を話題にするときは

■第5部:二つの自己

第35章:二つの自己

---「経験する自己」と「記憶する自己」
経験効用
経験と記憶
どちらの自己?
生物学対合理性
二つの自己を話題にするときは

第36章:人生は物語

---エンディングがすべてを決める
記憶の消失
物語としての人生を話題にするときは

第37章「経験する自己」の幸福感

しあわせはお金で買えますか?
経験する自己の幸福感
経験する自己の幸福感を話題にするときは

第38章:人生について考える

---幸福の感じ方
焦点錯覚
時間の役割
生活評価を話題にするときは

結論

二つの自己
エコンとヒューマン
二つのシステム



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