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ビジュアル・シンカーの脳「絵」で考える人々の世界/テンプル・グランディン【読書ノート】


視覚でひらめく驚きの思考力『自閉症の脳を読み解く』著者の集大成
アインシュタイン、イーロン・マスク、スピルバーグ……視覚思考タイプの成功例に見る才能の活かし方。写真のように精緻な記憶、細部まで正確に再現するシミュレーション、視覚イメージを駆使した推測――
特異な能力をもつ視覚思考者の脳はどのようにはたらくのか。一般的な言語思考者とどのように違うのか。多様な思考タイプが協力しあうことの大切さとは?自身も視覚思考者の著者が多くの実例や最新研究をもとに、ものづくり、ビジネス、教育に革新をもたらす新たな才能の世界を示す。
〈目次より〉
はじめに 「視覚思考」とは何か
第1章 視覚思考者の世界――頭の中の「絵」で考える人びと
第2章 ふるい落とされる子どもたち――テストではわからない才能
第3章 優れた技術者はどこに?――視覚思考を社会に活かす
第4章 補い合う脳――コラボレーションから生まれる独創性
第5章 天才と脳の多様性――視覚思考と特異な才能が結びつくとき
第6章 視覚思考で災害を防ぐ――インフラ管理から飛行機事故の防止まで
第7章 動物も思考する――視覚思考との共通点
おわりに 視覚思考者の能力を伸ばすために


ビジュアルシンカーの脳:視覚で考える人と言語で考える人

著者テンプル・グランディン

著者はテンプル・グランディンです。彼女を初めて知ったのは20年以上前のことです。オリバー・サックスの著書『火星の人類学者』に、彼女の自閉症の世界観が興味深く描かれていました。それを読んで、私は脳の世界に魅了されました。

言語思考者と視覚思考者

グランディンは、言葉で考える言語思考者と視覚で考える視覚思考者の二つのタイプが存在すると主張しています。彼女自身は完全なビジュアルシンカーで、この本もビジュアルシンカーの視点から書かれています。

視覚思考者の具体例

例えば、ある食肉加工工場で牛が通路の途中で立ち止まる問題がありました。言語思考者は牛を動かすために怒鳴ったり電気で刺激を与えましたが、効果はありませんでした。一方、グランディンは通路に降りて牛と一緒に歩くことで、問題の原因が斜めに差し込む光やぶら下がっている鎖の影であることを発見し、取り除くことで解決しました。

言語思考者の特徴

言語思考者は、言葉で考え、理屈に基づいた解決策を求めます。例えば、牛が動かないなら電気で刺激を与えて動かすという発想です。彼らは概念や理論を重視し、現実世界の背後にある意味を考えます。

視覚思考者の特徴

視覚思考者は、現実世界を直接感じることに重きを置きます。彼らは目に見えるものが全てであり、抽象的な概念よりも実際に見えるものに基づいて行動します。例えば、グランディンは動物の行動を理解する際に、視覚的な情報を基に問題を解決します。

視覚思考者の創造性

視覚思考者はクリエイティブで、頭の中に映像が浮かぶことが多いです。例えば、高校生を視覚思考者と言語思考者に分けて未知の惑星の絵を描かせたところ、視覚思考者は色鮮やかでファンタスティックな惑星を描きました。一方、言語思考者は丸い惑星を描き、言葉での理解に基づいていました。

動物と視覚思考

動物も視覚思考者であり、視覚情報を基に行動します。例えば、犬は嗅覚や視覚情報を基に世界を感じています。グランディンも動物と同じように視覚情報を重視し、現実世界を直接感じることができます。

言語思考者と視覚思考者の共存

未来の社会では、超AIが視覚思考者としての特性を持つ可能性があります。その場合、言語思考者にとっては生きづらい社会になるかもしれません。私たちは今のうちから映像で考える訓練をしておくべきです。

絵で物事を考える「視覚思考者」にはどんな世界が見えるのか?

視覚思考者とその特徴

視覚思考者とは、絵や図を使って物事を考える人々のことです。ビジュアルシンカーの脳の特性についての本を読み、その中で視覚思考者と言語思考者の違いが明確にされていることに触れています。

視覚思考者の分類

視覚思考者はさらに2つのタイプに分かれます。絵のようなもので考える人と、パターンや概念で考える空間思考者です。これに対して言語思考者は、言葉で物事を考える傾向があります。

視覚思考者の脳の特性

日本の研究では、視覚的な情報を処理する際の脳の活動が、視覚思考者とそうでない人で異なることが示されています。視覚思考者は、言葉ではなくイメージを用いて考えるため、その脳の領域が活性化されるのです。

言語化の困難さとその誤解

視覚思考者は、自分の思考内容を言語で伝えることが難しいと感じることが多いです。このため、他者とのコミュニケーションが難しくなることがあります。しかし、これは単なる能力の不足ではなく、思考のプロセスが根本的に異なるためです。

教育と社会構造の影響

現在の教育システムは、言語思考者に有利な構造になっています。そのため、視覚思考者はテストなどで不利になりがちです。これは、視覚思考者が本来持っている能力を発揮できない原因となっています。

視覚思考者の可能性

歴史的に成功した多くのチームやペアには、視覚思考者と言語思考者の組み合わせが見られます。例えば、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックのペアなどです。視覚思考者が含まれることで、チームのエラーが減り、より創造的な解決策が生まれる可能性があります。

視覚思考者と言語思考者の違いを理解することで、私たちは多様な視点から物事を考えることができるようになります。このポッドキャストを通じて、自分自身の思考プロセスを見直し、他者とのコミュニケーションをより深く理解するきっかけになるでしょう。

言語化に興奮するタイプの人間は、文章で惚れちゃう【ビジュアルシンカー2】

このエピソードでは、ビジュアルシンカーの考え方を掘り下げ、言語化の重要性とその社会的な位置づけについて議論する。言語思考者とビジュアル思考者の違いを通じて、人間の思考の多様性に迫る。

ビジュアルシンカーとは

ビジュアルシンカーとは、視覚的に考える人を指す。この考え方は、脳の視覚領域が活性化していることに根拠があり、絵のように情報を浮かべて思考する。実際に、脳の神経基盤にもその証拠が見られる。

言語思考者の社会的優位性

言語化がうまい人が成功しやすい社会では、言語化できない人が能力不足とみなされることが多い。しかし、これは一面的な見方であり、言語思考者によって作られた社会の価値観にすぎない。

言語化の社会的影響

言語化がうまい社会では、会議やコミュニケーションで言語を駆使することが求められる。しかし、ビジュアルシンカーにはそれが難しい場合もある。例えば、会議で発言しないと価値がないとされる風潮は、言語思考者に有利なだけでなく、ビジュアルシンカーにとっては過酷なものとなる。

言語思考とビジュアル思考の共存

ビジュアルシンカーの価値を認識し、彼らの強みを生かすことが重要である。例えば、視覚的に情報を伝える方法を採用することで、ビジュアルシンカーも積極的に参加できる環境を整えることができる。

個人の特性と社会的成功

ビジュアルシンカーと対話する際には、言語思考者と異なるコミュニケーションスタイルを理解することが求められる。例えば、絵を見て直感的に理解するビジュアルシンカーに対して、言語的な説明が通じにくいことがある。

言語思考者とビジュアルシンカーの違いを理解し、相互に補完する方法を探ることが重要である。言語化に優れた人だけでなく、視覚的に考える人の価値も認めることで、多様な思考スタイルが共存できる社会を目指すべきである。

0:00 「言葉は不思議」と感じるのはなぜ?
10:01 言語化ハラスメントが横行している
16:27 人に心はあるのか
32:01 認識は辻褄合わせのポンコツ?
47:20 言語化は不幸な営み?
53:21 IKEAに見るビジュアルシンカー
1:01:03 人には人の情報取得法
1:04:41 人文書は取りこぼした価値観を知れる

最近読んで非常に感銘を受けた本がある。それが「心はこうして作られる 即興する脳の心理学」だ。著者はニック・チェイター。この本がなぜ良いのか、話したいことがたくさんあるが、簡単に言うと「心なんて存在しない」というドラスティックな主張だ。
この本を読むと、心なんて存在しないと理解する。心なんて物であり、何かを考えているように見えるが、実際には瞬間的な即興で、その組み合わせを後から解釈しているだけ。心があるように見えるが、実際には存在しない。

この本のすごいところは、アンナ・カレーニナのクライマックスを取り上げて、アンナが自殺した理由に答えがあるのかと問いかける。そして、私たちの心には暗く伺い知れない隠された深みがあるという観点は根本的に間違っていると主張する。

実験心理学の知見を紐解くと、そんなものはなく、我々はそうだと思いたいということで社会が回っているのだ。我々の心のみんなから伺い知れない部分なんて実は存在しない。トルストイが自分の小説の登場人物を辻褄が合うように書くように、我々も自分の行動をそう解釈しているだけ。

この本を読むと、自由意思の存在自体が疑わしいと感じる。テッド・チャンのSF短編集も同じテーマを扱っており、自由意思なんて人間にないが、あることにしないと人間社会も人生も成立しないというメッセージが強く響く。ニック・チェイターの主張も同様に、人間の心は存在しないが、それを受け入れると社会が成立しなくなるため、信じる必要があるというものだ。この本は非常に刺激的で、読んでみる価値がある。読者に深い洞察を与える一冊だ。

また、ビジュアルシンカーの話に戻ると、言語化が得意な社会の中で、言語化が苦手な人々がどのように勝ち抜いているのかを理解することができる。彼らの思考様式が我々と異なるだけで、決して劣っているわけではないということがわかる。

  1. 言語化とその弊害
    話し手は言語化が得意な人間として育ち、言語化を重視する社会で成功してきた。しかし、ビジュアル進化脳の本を読んで、言語化できることが必ずしも良いことではないと気づいた。言語化することで、元々持っていた思考が言葉に囚われてしまうことがある。

  2. 言語化できない人への理解
    言語化が得意な人間は、そうでない人を努力不足と見なすことがある。しかし、実際にはそれぞれの人に合った思考形式がある。例えば、IKEAの説明書が図だけで構成されているのは、創業者がディスレクシアであり、ビジュアル的に理解しやすい形式を重視したからである。

  3. 異なる思考形式の重要性
    言語化できない人や、ビジュアルシンカーの存在を理解することが大切である。言語化を強要することは、絵を描けと言われるのと同じくらい負担になることもある。

  4. 読書の多様性と価値観の相対化
    読書を通じて、自分とは異なる価値観や思考様式に触れることができる。例えば、IKEAの説明書が分かりやすいかどうかは、人によって異なる。ビジュアルシンカーにとっては、図だけの説明書の方が理解しやすい。

  5. 言語化の限界と人間の多様性
    言語化が得意な人間は、自分の世界観に囚われやすい。しかし、他の思考形式を理解し、尊重することが重要である。言語化に囚われすぎないようにすることで、より広い視野を持つことができる。

  6. 本から学んだこと
    話し手は、ビジュアル進化脳や心はこうして作られるという本を読んで、自分の考え方や価値観が揺さぶられたと感じた。これらの本を通じて、異なる思考形式や価値観を理解し、自分自身の価値観を見直すきっかけとなった。

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