個々の非力な存在が組織化によって強力なパワーを発揮するための鍵は、「オルグ活動」にある。この活動は、ひとがひとに働きかけ、その働きかけた相手を組織化するプロセスだ。しかし、単に勘や経験だけに頼るのではなく、社会心理学の知見を活用することが重要。これにより、オルグ活動を客観的に捉え、普遍妥当な学問としてのオルグ技術の開発が可能となる。
オルグ活動は、大衆が支配者に対抗するための必須学問だ。この実践的指導書では、組織化に必要な方法や技術を分かりやすく解説する。具体的には、以下のような内容が含まれる。
1. オルグ活動の基礎知識
オルグ活動の歴史や基本概念を紹介し、社会心理学の知見を踏まえた理論的背景を説明する。
2. 効果的なコミュニケーション技術
相手の心に響くメッセージの作り方や、説得力のある話し方、聴き方の技術を学ぶ。これには、信頼関係の構築や共感の引き出し方なども含まれる。
3. モチベーションの引き出し方
人々が行動を起こす動機を理解し、そのモチベーションを高める方法を探る。具体例を交えながら、実践的なアプローチを紹介する。
4. 組織運営のノウハウ
効率的な組織の構築と運営のための戦略を提供する。役割分担やリーダーシップの発揮方法、メンバー間のコミュニケーションの取り方などを詳述する。
5. 実践例とケーススタディ
成功したオルグ活動の実例を紹介し、その背後にある戦略や技術を解説する。また、失敗例から学ぶ教訓も取り上げ、実践的な知識を深める。
このような知識と技術を身につけることで、個々の非力な存在でも、組織化によって強力なパワーを発揮できるようになるのだ。オルグ活動は、大衆の力を結集し、社会を変革するための強力なツールとなる。
本書より一部抜粋
オルグの影響力を理解し、それに対する意識を高めることは、現代社会においてますます重要となっている。情報の洪水の中で、自らの意思を持ち続けるために、オルグの手法を見抜く目を養うことが必要だ。
本書は初版1982年(昭和57年)2011年に復刊された。
修辞学者:香西秀信氏や評論家:呉智英氏によってネガティブなニュアンスで紹介されたことで一躍脚光を浴びた。さらに、2018年東海道新幹線車内殺傷事件の犯人が所持していたことでも注目された。
ネット上では「共産主義系勧誘・洗脳マニュアル」として紹介されることがあるが、著者である村田宏雄は、民社党系の人物である。
青木慧の著書『政労使秘団』(1983年)によると、村田宏雄は民社中央党学校で「オルグ学入門」という科目を講義し、また民社党誌『KAKUSHIN』で「仲間づくりの心理学」を連載していた。これらの活動からもわかるように、村田は労働運動や政治活動における組織化や人間関係の構築に関心を持っていたことがうかがえる。民社党という中道左派の政党での活動は、村田の思想や著作に大きな影響を与えていると考えられる。
質問攻撃
論争において、相手に質問を投げかけることは、実に戦略的な手段だ。
質問をする側に立つことで、攻撃的な立場を取ることができ、受動的に答えるよりも有利な立場に立つことができる。
したがって、どちらの側も絶えず機会を狙い、攻撃に転じようとするわけだ。これが理論闘争の現実である。だからこそ、質問を受ける立場になった時の準備を怠ってはいけない。
論点操作
さらに、質問の意味を自分に都合の良いようにすり替える「争点操作」という技術もある。質問の意味を勝手に解釈し直し、回答しやすい内容に変えてしまうのだ。
例えば、「今の質問は、このような意味かと考える」と言って、自分に有利な方向に話を進める。相手が再度質問を促しても、同じような的外れな回答を続けることが重要だ。これにより、相手を疲労させ、再度質問する意欲を失わせることができる。
反論を引き伸ばす
そして、即座に反論が見つからない場合には、「反論を引き延ばす」ことが一つの戦術だ。意味を解明するためや、情報を提供するために、相手に質問を投げかける。その質問に対して、関連性が薄いことから答え始めることで時間を稼ぐ。そうしているうちに、適切な反論が思い浮かぶことがある。その時はすぐに反論に移るのがコツだ。
これらのテクニックは、理論闘争において重要な役割を果たす。オルグとしての準備や巧妙な話術は、相手を疲弊させ、議論を優位に進めるための鍵となる。
関連参考note
⇒ 論点を変えるより引用
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