うっかり大臣　～選挙の秘密～

カメラの前にひとりの女性。

「千島八千代の～
　ちいチャンネル～！
 
　パチパチパチパチ！
 
　はい、みなさんお久しぶりです。
　○○党衆議院議員、千島八千代で～す。
 
　つい最近までは地方議員選挙で、
　全国各地に応援演説に行ってました。
 
　移動移動で疲れました～。
　今日はのんびり行きましょう～。
 
　今日は年に一度のスペシャルデー！
 
　そこで…
　今日の企画はこちら！
　
　【賢者の秘密】
 
　これをテーマに、
　お話してしていこうかな♪
 
　何から話しましょうかね～。
　
　そうだ！
　ちょうどこの前終わった、
　議員選挙について話そう。
 
　よく選挙期間中に見かける街宣車がいせんしゃ。
　あれ皆さん、どう思います？
 
　手を振って下さる方もいますけど…、
　正直、あの活動って迷惑ですよね？
 
　だってあんなことやってるの、
　先進国で日本ぐらいでしょ？
 
　名前の連呼に何の意味があるの？
　って思いません？
 
　通りを練ねり歩いて…
　野山を駆かけ回って…
　セキュリティーお構かまいなしで…。
 
　でもね、
　あれにはちゃ～んと意味があるの…。
 
　ここからが本題！
 
　あれは実は…
 
　国民に、
　嫌われるためにやってる
　活動の一環いっかんなの。
 
　気付いてた？
 
　選挙なんて投票前に、
　大体決まってるのよ。
 
　あれをやったところで、
　そんなに票は大きく動かない。
 
　なぜなら地元企業や団体の集団票で、
　ほぼ誰が当選するかなんて、
　おおよそ決まってるから。
 
　政治を動かしているのは、
　一部の有権者なんですよ…実はね。
 
　だからそれ以外の人が、
　政治に興味を持たれては困るの。
 
　わかるぅ？
 
　大穴なんて政治家は、
　誰も望んでないってこと。
 
　それは与野党一致いっち…
　政治家の総意そういってことね。
 
　だから政治に関心を
　持たれないようにああやって、
　朝から晩まで迷惑行為をしてるの。
 
　大事な睡眠時間を削り…、
　優雅ゆうがなお休みをぶち壊こわす。
 
　それが目的。
 
　他にもあるのよ。
 
　国会中継では必ず、
　居眠り議員をアップで抜くとか。
 
　あとは牛歩戦術ね。
 
　あれは国民みんなしらけるでしょ？
　それこそが狙いなの。
 
　どんどん国民から、
　政治への不信感を募つのらせる。
 
　政治に何言っても変わらない…
　政治家なんてなるものじゃない。
　
　そう思わせる。
 
　日本人は自分の生活さえ
　守られていれば文句は言わないでしょ？
 
　そのバランスを学校教育から、
　植え付けてきたから。
 
　学生運動をする人は恥ずかしい人。
　それで一生を台無しにするのは愚か者おろかもの。
 
　そう思い込むと、
　たとえ他国の民衆デモで、
　権利を勝ち取る姿を見せられても、
　自分たちも…とはならないわよね？
 
　日本国民は、
　牙を抜かれた犬だって、
　ある大先生が言ってたの覚えてるわ。
 
　これは国の政策として、
　ずっと行われてきたことなの。
 
　でも最低限度に生活に、
　困ったことはないでしょ？
 
　それでいいの。
 
　支持率だってそうよ。
 
　固定の推しがいるから、
　０％なんてありえない。
 
　野党という道化どうけもいるから。
　あの人よりはましってなるでしょ？
 
　どんなことをしても、
　指示する人が2割はいるし。
 
　それより下がった人は、
　余程のことをやらかした人ね。
 
　ただ最近やり過ぎちゃったねって、
　議員の中で反省課題になってるの。
 
　みんなが無関心になりすぎて、
　政治家のなり手がいなくなって…。
 
　これはほんと大誤算だいごさん～。
 
　まさか有権者どころか、
　後継者まで失うとは…。
 
　あとね……」
 
ガチャッ！
 
バァーーーン！
 
「ちょっと！！先生！！
　何やってるんですか？！」
「あら秘書の小吉くん。
　どうしたの？
　血相けっそう変えて…。
　何って、いつものLive配信よ」
 
「いや！
　そうじゃなくて！
　何て内容を放送してるんですか！」
「え？
　だって今日はスペシャルデーよ。
　だから特別なお話してるの」
 
「特別ってそれ、
　言っちゃ駄目なやつですよね！」
「だって今日は、
　エイプリルフールでしょ？
　最後に嘘ぴょん！で、
　終わる予定なんだから、
　もうちょっと待ってて」
 
「先生…
　エイプリルフールは先月です」
「え？！」
 
「5月1日じゃなくて、
　4月1日です、エイプリルフールは！」
「あれま～。
　これ…私…やっちゃった？」
 
「私のところに大先生方から、
　苦情の電話が鳴り続けてます、今も。
　早く、配信止めて下さい！」
「うわ～視聴者数350万人だって～。
　みなさん、ありがとうね～♪」
 
「手を振ってないで早く止めて下さい！
　これは大問題なんですよ！
　放送事故じゃなく、
　死亡事故レベルのことあなたは、
　してしまったんですよ！」
「あはははは～。
　コメントでうける～とか、
　その例えつまねぇ～って流れてる～」
 
「先生っーー！！」
「はいはい。
　しょうがないなあ～
　ガッテン小吉！」
 
（イラッ）
 
「ではみなさん、ちいチャンネル。
　ご視聴ありがとうございました～。
　チャンネル登録もお願いしますね。
　では、また来週～♪」
 
「先生…
　来週は問責決議責任追及で無理ですよ…
　きっと…」
 
 

このお話は妄想でありフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。