ドボクマンJr.

脱サラして土木の世界へ。職長。一級土木施工管理技士。奥深き建設現場での見聞を発信してい…

ドボクマンJr.

脱サラして土木の世界へ。職長。一級土木施工管理技士。奥深き建設現場での見聞を発信していきます。

最近の記事

蕎麦屋で酒を飲む

南部美人をちびりとやりながらタラの芽の天ぷらを齧る。 酒が強いわけでもない自分が、不思議と日本酒だけは飲める。そう気づいたのは、ここ数年のことだ。 アルコールは友人と会ったときだけの楽しみで、晩酌はしない。最寄り駅での食事は牛丼屋が一度だけ。そんな自分が蕎麦屋の暖簾をくぐった。 心のどこかで孤独を感じていたのかもしれない。誰かと話したい夜だった。だが、日本酒とせいろが替わりに飲み込まれていった。 山本周五郎、池波正太郎。彼らの作品には、蕎麦と酒がよく登場する。そこに現

      • スティーブ・ジョブレス、タイに行く

        無職が過半数を占める、ねじれ現象 最高気温38度。首筋にまとわりつく湿気に南国を知る。 2月から無職になった私は、友人と3人でプーケット国際空港に降り立った。1人はフリーで仕事をしている、もう1人は転職が決まった無職、そして自分は王道を行くニート。「この陣容なら、いつだって海外に行ける」ということで、4月半ばに4泊の旅へ出た。 男3人でのタイ旅行。察しのいい諸兄なら、蒸し暑い夜の繁華街を想像するかもしれない。残念だが、そういった情報を探しているなら他をあたってもらおう。

        • 杉山城 続日本100名城の旅

          城跡に、教室の椅子が並んでいた。ここまで感傷的な気持ちにさせられた城跡が、かつてあっただろうか。隣が学校なので野外学習でもあったのか。 パンフレットには、「築城の教科書」という評価が。誰が言ったのかは知らない。が、大規模でない尾根に詰め込まれた城のノウハウが、とてもよく残っていた。 愛知県新庄市にある古宮城跡(これも続日本100名城)と似た印象を受けた。見学にはもってこいのたたずまいだ。 エモいって、こういう時に言うのでしょうか。 自分のなかの感情と出会う、かつてない

        蕎麦屋で酒を飲む

          菅谷館 続日本100名城の旅

          元は、畠山重忠の居館であり、戦国時代に再整備されて現在に至る。畠山重忠は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で中川大志さんが演じていた人物。 重忠ロボットの語りで始まる衝撃的な展示は、菅谷館だけでなく周辺の比企城館跡群を伝える内容となっていた。今ならクリアファイルも手に入る。 館跡巡りって、すこぶる渋い趣味です。 菅谷館跡と埼玉県立嵐山史跡の博物館を訪れれば、武士の興りから戦国時代が理解できるはず。重忠というヒーローの物語が、歴史学習をロマンあるものにしてくれた。

          菅谷館 続日本100名城の旅

          鉢形城 100名城の旅

          忍城から車で40分ほど移動すると、鉢形城に着く。 道中、既視感を覚えた。近くにはゴルフ場が多く、この辺はゴルフで何度か来ているからだろう。 とにかく、広い。そして、見ごたえがあった。荒川と深沢川を利用した段丘崖をこれでもかと工事している。手掘りの苦労を知る身としては、作業者への同情が先に立つ。 土を掘ったら、その土はどうするんですか。 土木作業のイメージは、スコップで穴を掘る。一輪車を押す。そんなステレオタイプな光景の先に、「発生した土をどこに持っていくのか」という判断

          鉢形城 100名城の旅

          忍城 続日本100名城の旅

          無職だからできる、旅がある。 埼玉県にある日本100名城および続日本100名城を制覇する。 桜も散りゆく4月上旬。4つの城を巡った。 埼玉県下には、100名城が2か所と続100名城が3つある。関東では、群馬県と並ぶ城大国だ。 川越城だけは、他の4つより都心に近く、アクセスも良さそう。よって、今回は川越城以外を訪れることにした。 忍城は浮き城では、ありません。 川と川に挟まれた土地に、水を引き込み堀をたくさんめぐらした城。そういう先入観で向かうと、期待はずれとなってしま

          忍城 続日本100名城の旅

          江戸城 100名城の旅

          御朱印帳を集めている娘さんたちをもう馬鹿にすることはできない。なぜなら、日本100名城スタンプを蒐集するようになったからだ。 「江戸城」と聞くと、皇居、丸の内、ランナーと連想する。知らないわけではないが、目的地として向かったことはなかった。 転職活動を開始せず、無職でいる苦しさ。無為に生きることの虚しさよ。今回は、そんな思考迷路からの逃避として竹橋をめざした。 スタンプだけが目当てなら「北の丸公園第3駐車場」です。 スタンプは各所で捺せるはずが、北の丸公園第3駐車場(

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          銀河鉄道999という哲学

          アニメの最終回が観たくて、16歳の私はバイトを辞めた。 あれは、高校1年生のときだった。当時、父の事業がうまくいかず我が家の家計は苦しかった。運動系の部活動をしていた私は、試合の交通費や用具代をマックのアルバイトで賄おうとしていた。 立川駅から少し離れた盛り場にあるマクドナルド。隣に場外馬券場があり、夢破れた男たちがフィレオフィッシュバーガーを頼んでいった。部活帰りの中高生はポテト単品、ホストやホステスはビッグマックセットが多かった。 シフトに入っていない日は帰宅時間が

          銀河鉄道999という哲学

          施工管理は新たな一歩を

          施工管理という仕事 建設業界における施工管理という仕事は、本来は職人の棟梁が務めていた役割だろう。工事が大規模化するにつれ各種工事が細分化していく。現在ではゼネコンとサブコン、その下請け業者と何重もの階層で成り立っている。 各業者の作業と全体の工程。これらの管理こそ、施工管理という仕事だ。 施工管理に求められるもの 各業者の管理者は、業務と進捗や安全をコントロールする。資材調達から施工方法、資料の作成など多岐にわたる。ゼネコンの管理者は、それらの調整と全体的な品質と安全

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          失くした鍵の値段

          これは、ある土木作業員さんのお話。 SDGsがだいぶ浸透してきた今日この頃。無駄なもの、環境への負荷を考えた取組みが求められている。建設現場とて、例外ではない。ゴミの細かな分別、歩留まりを考慮した資材発注などが挙げられる。 我らがリサイクル隊長・Oは、50代。環境の「か」の字も気にしていなかった当時から持続可能な生活を目指している。社員寮に帰っても、拾った廃品やネットオークションで落札したジャンク品で何かを生み出してきた。 そんな彼は愛車をも組み上げた。部品だけ取り、海

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          "それ"自体が目的になったら…

          ランニングシューズ、持っていますか。走るために作られた運動靴こそ、ランニングシューズ。これで走ったら、走ることが好きになった。 私は中学、高校、そして大学と運動部に所属していた。ランニングは持久力、瞬発力を向上するためのトレーニングであり、減量のための手段だった。 社会人になっても、仕事が現場仕事であること、登山には体力が必要なこと等の理由で走っている。ランニングは自己鍛錬の一環であった。 ところが、テキトーな運動靴からランニングシューズへ履き替えて、意識が変わった。走

          "それ"自体が目的になったら…

          土木作業員が資格試験受けてみた。

          土木作業員とは言うものの、現場管理を担当しているので施工管理の試験を受けてみた。 日頃、野外で働いていると机と向き合う機会が減りがち。読書はするけれど、参考書は久しぶりで苦戦した。が、発見も多かった。 逃避行為が洗練される試験は1次試験と2次試験の間が3ヶ月あり、勉強期間を含めると4ヶ月に及ぶ。そのため、「この試験が終わったら○○するぞ!」というエネルギーの蓄積が膨大になる。ネットサーフィンも野望(願望)のための準備となり、無駄が無くなる。 時間に対する意識が高まる韓国

          土木作業員が資格試験受けてみた。

          スマホを出さずに、ビッグマックセットを完食できるのか。

          マルチタスクが当たり前の昨今、あなたはスマホをポケットから取り出さずにビッグマックセットを完食できるだろうか。 先日、マクドナルドのフライドポテトが無性に食べたくなった。何年かぶりに訪れた店内では、誰もがスマホ片手に食べ物を摘まんでいる。 あれほど油まみれなポテトを誰も気にしていない。ビッグマックは、さすがに両手で持って食べていたけれど。情報を処理し続けることに慣れすぎた姿だった。そこで閃いた。 山に登る理由がここにある、と。 別にスマホを否定するつもりはない。むしろ

          スマホを出さずに、ビッグマックセットを完食できるのか。

          一瞬のひらめきは、一瞬じゃない

          仕事をしていると、打開策を見つけないといけない局面があります。それはどんな仕事にもあると思います。そんな時、「これだ!」というアイデアをどう掴んでいますか。 一晩寝る、シャワーを浴びる、散歩またはランニング。さまざまな方法を耳にします。私の場合、お風呂で頭を洗っている時にハッとすることが多いです。ふとした瞬間、降ってくる発想はどこから来るのでしょうか。 どのような場合でも、共通するのは事前準備を徹底していることです。資料を集めたり、過去の経験を思い返したり一日中、思考をし

          一瞬のひらめきは、一瞬じゃない

          ウォシュレットと感覚の鈍麻について

          これは、ある土木作業員さんのお話。 高齢化が叫ばれて久しい日本社会において、建設業界は突出して年齢層が高い。ガラケー、競馬新聞、仕出し弁当のプラスチック容器が休憩所には良く似合う。令和という年号が本当にあるのか疑わしいくらい、古き良き昭和の香りがする。 そんな建設現場において、最先端を感じる設備がある。「温水ウォシュレット付き便座」だ。この普及率は、そのまま日本がウォシュレット社会であることを教えてくれている。とても衛生的で文化的な臭いのする機械だ。 さて、この道20年

          ウォシュレットと感覚の鈍麻について