二見書房 編集部

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二見書房 編集部

千代田区神田三崎町にある出版社です。 編集部が新刊やイベントのお知らせ、連載やレポートなどをお届けします。フォローしてくださいね🎶 二見書房公式サイト→https://www.futami.co.jp/

マガジン

  • 「旧市町村日誌」仁科勝介(かつお)

    2023年4月から二度目の日本一周、旧町名市町村一周の旅に出られた写真家の仁科勝介(かつお)さん。 週に一度を目安に、その日のできごと日記、旅のこぼれ話やブログ「ふるさとの手帖」(https://katsuo247.jp/)で書ききれなかったことをつづっていきます。 (週に1~2回の頻度で更新予定) 2022年5月から2023年3月までの旅の準備のようすをつづった「もう一度旅に出る前に」はこちら https://note.com/futami_books/m/mce055027f526

  • ミクロコスモスよりー加速器物理学徒の日常ー

    物理はこの世界の基本法則はなにか、我々はどこから来たのかを究極的に問う学問。 東大出身の理学博士(専門は「現代の錬金術」である原子核実験・加速器を用いた基礎物理)が、素朴で答えるのが難しい問いを、物理の言葉でわかりやすく語るエッセイ。 物理の世界を超えて、文学、数学、化学、音楽、哲学……縦横無尽に、天衣無縫に書きつづる! 大学院に進みたい学生や、研究者を志す学生に向けた「大学院エッセイ」も。 毎週金曜夜ごろ更新🌙 ヘッダー画像(写真:小澤直也) 高周波電圧で微粒子をトラップする装置を使って、空気中で花粉を帯電させて浮かせている様子。マガジンタイトルは、ライトに照らされたミクロな粒子たちが小宇宙(ミクロコスモス)を漂流する船団に見えるところから。

  • 『旧町名さがしてみましたin東京』マガジン

    3月13日発売の『旧町名さがしてみましたin東京』(102so)に関する情報を紹介するマガジンです。

  • 『スーツの東海道五十三次 自転車の旅』マガジン

    2022年11/28発売『スーツの東海道五十三次 自転車の旅 東京・日本橋から京都・三条大橋』の情報を更新するマガジンです!!

  • 今月の「はじめに」

    二見書房から刊行した新刊の「はじめに」を公開! 気になる本があったらぜひ書店さんでチェックしてくださいね♬

最近の記事

『旧市町村日誌』44 休日の日記 文・写真 仁科勝介(かつお)

6月28日(金) カプセルホテルに連泊している。大部屋に入ると小さなカーテンが幾つも閉まっていて、蜂の巣へもぐり込むようだった。ネットカフェには数えきれないほど泊まってきたが、カプセルホテルは初めてだ。 知らない誰かの目覚ましで起床する。雨がしとしと降っており、当初の計画通り旅を休んだ。肌寒く、湿度が高い。ホテルの硬い椅子に座って作業を進めた。Wi-Fiと電源、そこに座り続けても怒られない環境さえあれば、構わない。 直近の考えごとは雨と隠岐。隠岐への往復が無

    • 『旧市町村日誌』43 敬愛する作家さんと会う 文・写真 仁科勝介(かつお)

      6月21日(金) 敬愛する作家さんと会った。面識は何度かあったけれど、一対一で会うのは初めて。忙しいなかわざわざ時間をつくってくださっていた。バタバタしているけれど、この日ならあけられそうですと。 午後、待ち合わせの仕事場へ伺う。市街地から離れた閑静な土地に、その仕事場はあった。古い佇まいの玄関に足を踏み入れ、部屋に入ると仄かなお香がかおり、レコードからはバッハが流れていた。シンプルで置かれたモノが少なく、切り火されたような引き締まった空間だった。テーブルを挟

      • 『旧市町村日誌』42 6月の旅 文・写真 仁科勝介(かつお)

        6月15日(土) 旅を再開して4日経つ。東広島市から世羅町、三原市、尾道市、福山市、神石高原町、府中市、三次市、庄原市と進む。ただし、三原市や尾道市、福山市の市街地は訪れていない。瀬戸内海の沿岸は温暖な気候なので、急がず頃合いを見て、訪れることができたら。 ここ数日の最高気温は30度前後。暑いでしょう、と聞かれるし、暑いといえば暑い。昼間はぐっしょり汗が出るし、飲料水も1日にペットボトル一本では脱水症状になってしまう。だが、朝晩はまだひんやりとした空気が漂って

        • 『旧市町村日誌』41 出会い方あれこれ 文・写真 仁科勝介(かつお)

          旅先での初めましての出会い方はいくつかある。 ひとつは完全に偶然といって良いような出会い方で、道端や公園で挨拶をして会話につながったり、お店の人と会話したりするようなケース。お互いに相手のことを知らないし、深いところまで入り込むことはしないままに、お別れすることが多い。 事前に連絡を取り合っているときは、仲良くなりやすい。 いくら旅という偶然性の道を走っているとはいえ、多少の道路標識がなければ不安なように、初めての誰かと会う心づもりは、自分をラクにしてくれる。相手も同

        『旧市町村日誌』44 休日の日記 文・写真 仁科勝介(かつお)

        マガジン

        • 「旧市町村日誌」仁科勝介(かつお)
          43本
        • ミクロコスモスよりー加速器物理学徒の日常ー
          32本
        • 『旧町名さがしてみましたin東京』マガジン
          10本
        • 『スーツの東海道五十三次 自転車の旅』マガジン
          8本
        • 今月の「はじめに」
          9本
        • 『自分でできるファミリーヒストリーを調べよう!』マガジン
          7本

        記事

          「悪魔の証明」は数学的にはどうなるの?(悪魔の証明を数学的に証明することはできるの?)<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉜

          法律用語がもとの、論証することが不可能か極めて難しいことを表わす「悪魔の証明」を数学的に考えると? 今回は後編です🖋 前編はこちら↓ 「ドラえもん」はイデアではなく、個別の事象 「証明」についての理解を深めるために、別の例として「ドラえもんがこの世に存在しない」ことの証明を考えてみましょう。 物質還元主義の立場から言えば、これまでドラえもんがこの世に存在したことはありません。しかし、漫画やアニメという形で、ドラえもんは確かにこの世に存在します。そして、10人に「ドラえも

          「悪魔の証明」は数学的にはどうなるの?(悪魔の証明を数学的に証明することはできるの?)<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉜

          『旧市町村日誌』40 旅の中断中に 文・写真 仁科勝介(かつお)

          5月も終わり。旅の中断中に蛍を見ました。知り合いの方々が蛍を見る会をひらくそうで、その下見についてこないかと。ただ、5月下旬はまだ蛍が飛ぶには早いのではないか、という気持ちがなくはなかったし、それは全員が思っていたことかもしれません。 ですが、薄暮の里山に到着し、徐々に目が慣れてくると、細い清流の茂みからほの明るい点滅が見えました。 「いた!」 ぼくもその黄色い点滅を確かめたとき、その明かりが自分の心に灯されたように嬉しく、時間を忘れて蛍を探しました。蛍は自分が

          『旧市町村日誌』40 旅の中断中に 文・写真 仁科勝介(かつお)

          「悪魔の証明」は数学的にはどうなるの?(悪魔の証明を数学的に証明することはできるの?)<前編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉛

          悪魔の証明 「悪魔の証明」という法学用語があります。土地や物品の所有権をめぐる訴訟において、過去の記録をさかのぼって所有権の存在を証明することがあまりにも難しいことに由来するようです。現在ではより解釈が拡大し、論証することが不可能か極めて難しいことについて言うようになりました。実際に、冤罪や相続問題といった問題が起こることからも、事実の立証はしばしば悪魔の証明に陥ることが見て取れます。 悪魔の証明を応用(悪用)した論法が、いわゆる「立証責任の転嫁」です。これは立証すべき仮

          「悪魔の証明」は数学的にはどうなるの?(悪魔の証明を数学的に証明することはできるの?)<前編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉛

          量子計算ってなに?(量子計算機・量子コンピュータってなに?)ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉚

          「量子コンピュータ※1」という単語が一般に知れ渡ったのはここ10年程度のこと。IT各社がこぞって量子コンピュータ開発に乗り出し、様々な手法での量子計算の実装が研究されています。大学院で物理を研究しようと志す学生も、人工知能や量子計算といったワードに注目する傾向が多いようです。 しかし、実際のところ量子コンピュータが何なのかを知っている人は限られるのではないでしょうか※2。それを知るために、現在一般家庭に普及しているデジタルコンピューターのことを復習しておきましょう。 コンピ

          量子計算ってなに?(量子計算機・量子コンピュータってなに?)ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉚

          『旧市町村日誌』39 実家の時間。  文・写真 仁科勝介(かつお)

          旅をしているはずなのに、東京にいた頃よりも、倉敷の実家に立ち寄る頻度が増えました。今、あらゆる荷物は実家に置いているし、ネットで買ったものや、仕事の書類も実家に届けてもらうことが多いので、立ち寄る頻度が増えたわけです。GW後半の数日間を実家で過ごしたけれど、家に帰るとどっさりと荷物が届いていて、その中には捺印して返送する書類もあったりするので、これ、国内旅だから成り立っているけれど、日本にいなかったらどうなるんだろう、とかも思います。 ほかに実家でやることのひとつは、買い

          『旧市町村日誌』39 実家の時間。  文・写真 仁科勝介(かつお)

          理系院生のための体力づくりハックーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉙

          今回は研究エッセイです✒ 理系大学院生として生きていくためには、体力が必要になる場面が多くあります。地味な作業を飲まず食わずで長時間続けなければならないときには、身体的な疲労との戦いです。また、何かしらの結果を出さなくてはならないというプレッシャーが付きまとい、徐々に精神的な疲労が溜まっていきます。「体力」には、身体的な体力と精神的な体力の両方があり、それらは切っても切り離せない関係にあります。身体的不調は精神的不調の引き金になり、また精神的不調の危険信号として身体的不調が

          理系院生のための体力づくりハックーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉙

          『旧市町村日誌』38 まっすぐ、旅のレポート 文・写真 仁科勝介(かつお)

          3月末に旅を再開して、更新があいてしまいました。感覚的には、鹿児島県からほぼ休まずに進んで、宮崎県を越えて、大分県までやってきて、今は親戚の結婚式があったので、旅先から一度離れて、また再開するところです。GWと5月末にも旅を休むタイミングがあるので、どこか目まぐるしい感覚がします。 なので、やっぱり自分のペースを保てるようにしなきゃいけないなあと思います。旅が2年目に入ってペース配分そのものは明確で、ここで踏ん張ることができたら強くなれると思うので、その境界線みたいなとこ

          『旧市町村日誌』38 まっすぐ、旅のレポート 文・写真 仁科勝介(かつお)

          ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか-物理的に考えると?<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉘

          「ピアノの上手さ」の要素を以下の3分解し、物理的に考察するテーマ。 今回は<後編>です。 ・空間的な正確性 ・時間的な正確性 ・強度的な正確性 <前編>はこちらから 【時間的な正確性】 これは「正確なリズムを刻む」ということではあるのですが、これには「短期的なリズム」と「長期的なリズム」の2つに分類できます。「短期的なリズム」は、例えばスケールやアルペジオの練習のように、すべての音が時間的に均質になっている(俗にいう「粒がそろっている」)状態です。これは「空間的な正確性

          ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか-物理的に考えると?<後編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉘

          ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか。物理的に考えると?<前編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉗

          「子供に習わせたい習い事」としていつも上位に挙げられるのがピアノです。そのためか、世間には数多のピアノ教室があり、ただ楽しく弾くことを目的とした教室から、最初からプロを目指してスパルタ教育をする教室まで様々です。誰しも最初は練習によってピアノが上手になると信じてレッスンに通い始めるわけですが、そもそもピアノが上手いというのはどういうことを意味するのでしょうか? 「ピアノが上手い」と言われる人たちはたくさんいますが、「どのように上手いか」は千差万別です。例として、20世紀を代

          ピアノが上手な人は、なぜ上手なのか。物理的に考えると?<前編>ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉗

          理論物理学と実験物理学、あなたはどちらが向いている?ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉖

          今回は研究&大学院エッセイです🖋 あらゆる科学は、観測事実をもとに仮説を立てて、それを実証ないしは反証することで進歩してきました。リンゴを含め、あらゆるものは手から離すと地面に落ちることから、質量を持つ物体同士は引力を持つという仮説を立て、それが極微な中性子でも巨大な天体でも成り立つことを観測しました。黒体放射のエネルギー分布の長波長側の振る舞いを説明するためには、原子や分子の取り得るエネルギーが飛び飛びである必要がある、という仮説から、光電効果がミリカンにより実証され、量

          理論物理学と実験物理学、あなたはどちらが向いている?ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉖

          千年遡ると源平藤橘(げんぺいとうきつ)に当たるというが、それならすべての人が天皇家に近い血筋?ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉕

          スタンリー・キューブリック監督の名作「2001年宇宙の旅」では、人類の祖先が知性に目覚めるシーンから始まります※1。私たちの祖先がモノリスの恩恵にあずかっているかどうかはさておき、そのような人類発生から連綿と続いた末裔が私たちであることは間違いありません。面識のある無しに関わらず※2、人はみな、2人の父母から生まれているため、ある時代において自分の「祖先」に当たる人の数は計算できます。1世代前は2人、2世代前は4人、と続いていくので、一般にN世代前には2N人いることになります

          千年遡ると源平藤橘(げんぺいとうきつ)に当たるというが、それならすべての人が天皇家に近い血筋?ーー東大出身の理学博士が素朴で難しい問いを物理の言葉で語るエッセイ「ミクロコスモスより」㉕

          『旧市町村日誌』37 なりたい大人、ありたい自分 文・写真 仁科勝介(かつお)

          3月22日に東京で開かれた「18歳の成人式」のあと、すぐに鹿児島へ戻って旅を再開する予定だったけれど、東京で必須の予定が一週間後にできて、あと一週間をどうやって過ごすか、考えることになった。 そして、東京ではなくて、辞めてから4年間一度も挨拶に行けていなかった、地元の写真館を訪れた。地元に帰った理由もそれぐらいしかなかった。4年間、一度も挨拶に行けなかったのはかくかくしかじかだが、要するに、後味の悪い辞め方だった。これまで地元に帰ったときも、写真館の近くには足が進まなかっ

          『旧市町村日誌』37 なりたい大人、ありたい自分 文・写真 仁科勝介(かつお)