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釧路・・・幣舞橋から副港界隈/海辺の水彩画

絵・文/ 岡本幸雄

釧路市は北海道東部の太平洋側に位置する港町である。寒流である親潮の影響を受け、独特の気候パターンを形成している。真夏日はなんと10年に1回ほどとのことであり、冬場は晴れ間が続いて空気が乾燥する。

釧路の霧は有名だが、中でも釧路川に架かる幣舞橋ぬさまいばし一帯で不意に出くわす深い霧はとても幻想的である。
沖から川面をどんどん入り込んでくる朝霧や昼間の霧に遭遇すると、実に神秘的でファンタスティックな光景が展開する。橋の街灯に照らし出された幣舞橋が、やわらかい霧にそっと包まれるその眺めは映画のワンシーンを観ているようだ。

その幣舞橋のたもとに、ウォーターフロントのシンボルとして誕生した複合商業施設「釧路フィッシャーマンズワーフMOOムー」がある。MOOは「Marine Our Oasis」の頭文字で「海は私達の憩いの場」を表現しているという。


釧路川のたもとにある釧路フィッシャーマンズワーフMOO

施設内には新鮮な魚介類を扱う釧路市場や屋台、北海道のお土産品ショップが並ぶ。釧路ならではの新鮮な魚介類はもちろん、各種特産品が展示販売されている。JR釧路駅から歩いて行ける距離にあり、観光客にも人気のスポットである。

幣舞橋界隈

釧路の漁業は江戸末期あたりにコンブ採取から始まった。その後、サケ・マスやスケトウダラ、カレイ、そしてイワシ漁などの漁業基地として栄えてきた。昭和40年半ば頃から北洋漁業が盛んになり長期に渡って水揚げ日本一を記録したが、200カイリ問題などで北洋漁業は徐々に厳しさを増した。
北洋ものの水揚げが減ったあとは、釧路沖でのイワシ漁が活況を呈した。毎夏、全国各地から大型まき網漁船が釧路副港に集結し、連日釧路沖での昼間操業が展開された。

当時は釧路中がイワシに明けイワシに暮れ、漁港から町の隅々までイワシ臭が充満していた。筆者も夏になると、大型まき網漁船関係者への漁労研修会開催のため、よく釧路を訪れたものだ。
近年においては沿岸漁業が見直されるようになり、シシャモやハタハタ、ウニなどの増殖や養殖漁業が育まれ成果を上げている。

大型漁船が係留されている釧路副港

おかもと・ゆきお profile
1944年、姫路市生まれ。1967年古野電気入社。フルノ在籍時からマリンギアライターとしても活躍し、「須磨はじめ」のペンネームでフィッシング雑誌などに寄稿。著書に「魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意」、「魚探大研究」、「魚探・GPS 100%使いこなしブック」など多数。著書の挿絵から水彩画の世界へ。

本記事は2016年〜2022年までBoat Fishing誌にて連載されていた「海辺の水彩画(絵・文 岡本 幸雄)」を再編集したものです。
「釧路・・・幣舞橋から副港界隈」は2021年5月号に掲載された内容です。
当時の面影とともに水彩画の世界観をお楽しみください。

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