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須磨の海を守るんだ「すまうら水産」/海辺の水彩画
絵・文 岡本幸雄
2014年、神戸のウエストコースト須磨海岸。そこに須磨海苔生産の危機を救うために立ち上がった男たちがいます。
「オレたちがこの須磨の海を守るんだ!」
須磨で生まれ育った若手漁師らは悩み、考えぬき、燃える気持ちを胸に「すまうら水産」を立ち上げました。事業は順調に進み、今では生産設備の整った海苔工場で、年間3千万枚の須磨海苔を製造するまでに成長しました。
『60年前、「魚が獲れへん冬場に何かできることあらへんか?」。須磨海苔の歴史はここから始まった。失敗の連続だったが、先人たちの不屈の努力で須磨の地に合った海苔養殖方法が確立され、多くの漁業者が従事した。しかし、2008年にはわずか8名となり須磨海苔生産は危機に陥った。
残された男たちは奮起し、今日のすまうら水産を立ち上げたのだ。』
須磨沖での海苔作りは、10月に育苗し12月から収穫が始まります。1月頃に最盛期を迎え、収穫は4月まで続きます。
すまうら水産では、海苔網の下を潜って海苔を刈り取るもぐり船を4隻所有。寒くて厳しい冬の海が仕事場です。岸壁には洒落た薄紅色の海苔工場があり、繁忙時には大型の全自動海苔乾燥機がフル稼働し、一日に最大36万枚もの須磨海苔を作り出します。
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対岸には洒落た薄紅壁の海苔工場があります。
新しいカタチの漁業形態を構築したすまうら水産。様々な事業を立ち上げており、春から秋にかけての漁船操業はいつも多忙を極めます。
漁場は前浜である須磨沖から神戸ポートアイランド沖にかけてキス、タコ、カレイ、ハマチ、タチウオなどを独自のタテ網で獲ります。
また、須磨駅前に須磨海苔や産直品を扱う直売所をオープンし、ハンバーガーショップも誘致。このほか須磨海岸での潮干狩り場作りにも力を注いでいます。今は貝を放流しているがいつかこの浜にアサリが生息する日を夢見て、豊かな海を取り戻す試みを展開しています。
「ここにいる皆が漁師になりたいという熱いハートをもった若者達なんです。漁業を発展させ、継続させ、次の世代へと繋ぎ、須磨という地域と共に発展することを願っています」と熱く語るのは森本代表(現 会長)。
「協業化で若い世代が働きやすい環境が構築できました。これからは彼らを一人前に育て後世に残していくのも私たちの大事な仕事です」
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須磨駅がそばにあり、市民の憩いの場として人気。
おかもと・ゆきお profile
1944年、姫路市生まれ。1967年古野電気入社。フルノ在籍時からマリンギアライターとしても活躍し、「須磨はじめ」のペンネームでフィッシング雑誌などに寄稿。著書に「魚探とソナーとGPSとレーダーと舶用電子機器の極意」、「魚探大研究」、「魚探・GPS 100%使いこなしブック」など多数。著書の挿絵から水彩画の世界へ。
本記事は2016年〜2022年までBoat Fishing誌にて連載されていた「海辺の水彩画(絵・文 岡本 幸雄)」を再編集したものです。
「須磨の海を守るんだ「すまうら水産」」は2020年9月号に掲載された内容です。
当時の面影とともに水彩画の世界観をお楽しみください。