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情熱が導く風景2/2▶️Start-upログ⑦

アラフォー、バツイチ、頼りないドイツ語のままベルリン在住11年目。
服飾/舞台衣装デザイナー。コロナの都市封鎖により全劇場閉鎖=全仕事が吹っ飛んだことを機に、立ち止まり改めて仕事と向き合うことに。そこでの気付きを元に方向性をまるっと変え、一念発起で新事業を立ち上げる!と、いう。このブログは、そんな彼女の新たなる挑戦ドキュメンタリーである。


今日は、前回の続き。
起業から少し横道に逸れた、最近起きた心が動いた出来事の話。
まだの方は、是非前回の投稿を先に読んでみてくださいね。

さて、
話は、兄がモンブランを走り始めてから迎えた2回目の夜のことから。
前夜にスタートを確認してから寝たので、若干寝不足。
今夜は早く寝ようと思いつつも、再度兄の走行チェック。通過時間制限がある地点は、全部で14関門。登って降りる山々は、全部で9座。順調に進み続けていた兄は、第9関門に着いたところで、ピクリとも動かなくなった。この時点で、走行距離およそ100km、時間にしてスタートからまるっと24時間が経過していた。流石に休憩所で少し眠るのかな。そりゃ、そうだよね〜。なんて思っていたら、、、
なんとわたしが寝る準備を終えた頃(20分後くらい)に、動き出した!!!これには、本当に驚いた。気力も体力も限界に近いだろうに。。。
しばらく眺めていたが、止まる気配はない。ただ前へ、前へ。
彼の情熱が、ビンタのようにわたしの胸を打つ。この人かっこいい。
『あなたなら出来る。』そう唱えながら、熱くなった胸と共に眠りに着いた。

翌朝、制限時間をひとつひとつクリアーしながら、彼はまだ走っていた。
小さな🏃‍♀️が、スクリーンの中のモンブラン曲線の上を滑るように動いている。一歩、一歩。また一歩と。ただ前だけを見据えて。まだ見ぬゴールを目指して。それからも鬼チェックを繰り返し、頑張れコールを送り続けること数時間。最後の2000m級の山を登り、下った。残すところ緩やかな7.8km。
ここへ来てスピードが上がっている。兄の鼓動が聞こえるようだった。
あなた、もはやスーパーサイヤ人!!!!!

そして、、、
兄は完走した。
!!!!!!!!やったのだ!!!!!!!!

ゴールは、バッチリビデオで撮影されていて、タイムリー公開されていた。割れんばかりの歓声とララララー(兄の名前)フロム ジャパァーーン!!というタイトルコールと共に、兄は、ゴールテープを切った。
倒れてもおかしくない状態の中、彼は再度コースへ向き直り、『ありがとうございました。』と、お辞儀をした。そして、カメラに向かって、胸を張ってグッ!ってサインをした。疲れなど感じさせない清々しいとても素敵な笑顔で。

トータル走行距離153.6km
総標高距離9316m
トータル走行時間39時間25分01秒
休憩時間1時間30分10秒
見事に兄は、TDS 2023 Finisher (完走者)と、なったのだ。

せっかくの機会なので、兄に独占インタビューをお願いしてみた。
快諾してくれたので、是非皆さんに彼の声をお届けしたい。

”夢の舞台(TDS)のスタート地点に立った時の気持ちは?”
兄『スタート前は、悪天候(雪)の予報が出ていたけれど、何が起きても冷静に進んでいこう。そう思っていた。』
(結果、雨、積雪、氷点下の気温/上着を6枚着用。地面はドロドロのコンディションの中走っていたらしい。)

”154kmもの距離を寝ずに走り続けている間、どんな気持ちだった?”
兄『絶景の連続で、この先はどうなっているんだろうと、ずっとワクワクしながら走っていた。』

"ゴールした時の気持ちは?”
兄『街中(シャモニー)に入ってからの声援がすごくて感動した。悪天候や泥んこトレイルに苦戦したので、よく帰ってきたなー!と喜びの気持ちでいっぱいだった!』

”最後に、トレイルランは、あなたにとってどんな存在ですか?”
兄『自分の足だけでとても遠い所まで行き、普段見れない景色を見る。それに感動することは、人間に備わった本能のように感じる。原始時代からのロマンを感じてます!』

”インタビューへの協力ありがとうございました。
改めて、完走おめでとう!!!”

頭でっかちになり、怖くて身動きが取れなくなりがちなわたしだが、背中を頭突きされた程押してもらった。
彼の勇姿を目の当たりにすることで、全身全霊で取り組む姿勢に人の心は動き、内なる情熱が私たちをまだ見ぬ風景に導くのだ、と。
そして、波動は伝染する。

たくさんの元気と勇気、そして、ワクワクを受け取りました。
ありがとう、兄上!! :) 

ー 勇者の目に映ったモンブランの風景 ー






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