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【物語】二人称の愛(下) :カウンセリング【Prologue06】

二人称の愛 -下-(表紙)

《あらすじ》 
 主人公で心理カウンセラーの倉田学と解離性同一性障害(二重人格)の病を持つ木下彩を中心に、銀座ホステスのママやお店の子(ホステス)、そして新宿歌舞伎町ホストクラブのホストなど、それぞれ自分の過去を引きずり生きている。またそれは主人公で心理カウンセラーでもある倉田学も同じだ。
 この話は心理カウンセラーの倉田学を中心に、解離性同一性障害(二重人格)の病を持つ木下彩とのカウンセリングを中心に話が展開していく。そして彼女の中のもうひとりの人格は彩とはまるで違い、学も最初は彼女の豹変に驚き戸惑った。なぜなら彩に対する学の最初の印象が、『明朗でおしとやか』な女性だったからだ。
 一方のもうひとりの人格はと言うと、『計算高くかつ大胆』と言った頭のキレる女性だった。昼間はOLをしている彩だが、夜になると幼なじみであり新宿歌舞伎町ホストクラブ ACEの経営者&No1ホストの樋尻透からあるトリックにより、もうひとりの人格の綾瀬ひとみに人格が入れ替わり、夜のおとなの街 銀座クラブでホステスとして働くこととなるのだ。
 しかし学は次第に、最初に彼女に会った時の『明朗でおしとやか』と言う彩に惹かれて行く。そして、もうひとりの人格のひとみに対して、自分の手で木下彩の人格と綾瀬ひとみの人格をカウンセリングにより統合させて行くことに対し、こころ苦しい気持ちが沸き起こっていった。
 さて、ここから倉田学と木下彩、綾瀬ひとみは今後どのような展開を見せるのであろう。《第三部》
▼Prologue
・Prologue06
▼Cast add&Index
Cast add
Index

※前回の話はこちら

【Prologue06】

 倉田学が新宿に開設していた『カウンセリングルーム フィリア』に、木下彩と云う女性がカウンセリングに訪れた。彼女は解離性同一性障害(二重人格)の病を持つ女性であった。それが学と彩のカウンセリングの始まりだ。

 彩の中には、もうひとりの人格である綾瀬ひとみが存在した。しかし学は、もうひとりの人格であるひとみが、彩とは全く違う別の性格で、その人格を認めたくないと言う思いが湧き起っていった。
 何故なら木下彩の人格は、「明朗でおしとやか」であったが、綾瀬ひとみの人格は、「計算高くかつ大胆」と言うものだったからだ。学は彩に次第に惹かれ、自分でも知らず知らずに恋心を抱き始めた。だから学は、彩ともうひとりの人格のひとみをカウンセリングすることで、ふたりの人格を学自身の手で統合させ、ひとつの人格にすることに対し、こころ苦しい部分があった。

 そして学の中に、彩に対する恋心が芽生えていった。一方の彩も、学に対し好きだと言う感情が芽生え初めたのだ。それに気づかせてくれたのが美山みずきである。みずきは学に恋心を持っていたが、みずきから「他に好きな子いるんでしょ!」と告げられたのだ。そこで学は初めて、自分の大切なひとは誰なのかを確認することが出来たからである。

 学はみずきから再び、お盆に「東北被災地の旅」に着いて来て欲しいと頼まれた。それは半年前の冬に行った時より、希望に満ちた旅立であったように思う。石巻の大川小学校での出逢いや中島みゆきのコンサートを通して、町が少しずつ復興の道に進んでいることがわかったからだ。
 しかしそれと同時に、福島第一原発事故で今尚、地元に帰れず苦しんでいるみさき一家を目の当たりにすると、いたたまれない感情がこみ上げてくる。

 この話は、倉田学と木下彩のカウンセリングを中心として進んで行くのであるが、他にも新たな登場人物が登場し、今後の展開も目が離せないことになるであろう。そして学と彩の関係は今後どのようになり、彩はどの様な変容を遂げて行くのか、是非ご覧頂ければと思います。

~ Prologue END ~


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