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小松菜奈が最高 /『恋は雨上がりのように』感想

超絶美少女JKがバイト先のファミレス店長45歳にゾッコンになる文字面だけならAV。もしくは中年オヤジのキモい妄想として片付けられる、ある意味で夢のような物語が『恋は雨上がりのように』である。

実写映画の主演は小松菜奈と大泉洋だった。

<あらすじ>

女子高校生のあきら(小松菜奈)は、アキレス腱のケガによって打ち込んでいた陸上の夢を絶たれてしまう。たまたま入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の近藤正己(大泉洋)だった。それをきっかけにあきらは、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の近藤に密かな恋心を抱いて…

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本作のミソは女子高生のほうが店長に惚れるという点であり、これが逆なら立派な犯罪ドキュメンタリーである。

劇中、あきらが近藤店長のワイシャツの匂いを嗅いだり、あきらのほうからアパートに突撃したり、そのアパートの中で想いが溢れて店長に抱き付いたりなどするのだが、これ45歳男性がすべて仕掛けた側であれば完全にアウトじゃんというのが面白い。

実写化するにあたってキャスティングは命だったと思う。その点、ヒロインに小松菜奈、45歳のおじさん店長に大泉洋というのはリアリティを持たせるにぎりぎり絶妙だったといえる。

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小松菜奈は何を差し置いても美しい。華がある。黙っているとクールでちょっと取っ付きにくい、でも笑えば一気に少女のような可愛さがこぼれる。この印象は劇中でも言及されていた。もはや本作は小松菜奈のプロモーションビデオといってもいい。それほど出し惜しみなく小松菜奈のイメージに対するすべての期待に応えている。

夏の制服、ファミレス店員、美脚が眩しいショートパンツの部屋着に陸上ウェア姿と、コスプレ七変化を堪能するだけでも一見の価値がある。線が細くて肌は透き通るように白い。かといって病的ではなく、むしろ健やかさがあり、上品。色気もちゃんとある。

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彼女の最大の魅力であるクールで大人びた雰囲気。そして独特の感性を持っていそうな感じ。それらがありえないほど歳の離れたオジサンに惚れるのも「この子ならありえるのかもしれない」という説得力を持たせている。

そして受け手となる大泉洋。彼であれば色んな意味で成立する100点満点のキャスティング。そう、大泉洋ならいいんだ、許せる。ありえる。あの美少女に迫られても一線を越えようとしない、下心を持たない説得力を、大泉洋は役にちゃんと持たせている。中年の哀愁も素晴らしい。

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これが椎名桔平や西島秀俊とかなら生々しすぎるし、マキタスポーツやカンニング竹山なら嘘だろってなるし。ほんとうに主演の2人が絶妙である。

単純な色恋沙汰ではなく、それぞれに夢と傷を持ち、2人の出会いを通して再生に向かうストーリーも清々しい。原作を読んでいないのでそれと比較しての違和感や不満も覚えなかったし、終始爽やかなまとまりを見せる。

キャストでいえば他にも見どころがある。大泉洋の友人役には同じチームNACSの戸次重幸が出演しており、またいい味を出しているのだ。実際の関係性がベースにあるからここもまたリアリティに繋がっている。大泉洋との2人のシーンだけでもうひとつ別の映画が出来そうだった。

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小松菜奈の母親役は吉田羊。2人はCMでも何度も共演している仲であり、セットでいることに違和感がない。ちなみに主人公の女子高生は離婚により母子家庭となっているが、ここもリアリティがあるポイントだなと思った。家庭環境がシングルだった女の子、特に母子家庭で育った女性はファザコン傾向が強いからだ。

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当時22歳の若さで44歳の高城剛と結婚した沢尻エリカは母子家庭。25歳の年齢差で市村正親と結婚した篠原涼子は父子家庭で、父親から強い愛情を注がれて育ったという。僕のかつての職場の同僚に、オヤジ好きの20代前半の女性がいたが、彼女もまた母子家庭だった。父性を人一倍求めているというのはあると思う。さりげないリアリティを持たせるための設定やキャスティングにセンスを感じる。

小松菜奈以外にも女優陣には今をときめく若手女優が出演。
陸上部の仲間には清野菜名。彼女は作品で見るたびに年齢不詳なところがある。この作品の中では高校生役にしてはちょっと老けて見えた。

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ファミレスの同僚には松本穂香
今やすっかりヒロインクラスの女優だけど、ここでは相当地味な役柄。黒髪のイメージが強い彼女の明るい髪色は新鮮だが、それを持ってしても印象にはあまり残らないほどの出番に終わっている。かわいいけど。

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陸上のライバル役には山本舞香
彼女の専売特許ともいえる鼻っ柱の強い女子を好演しており、出番のわりにはインパクトがある。ミニスカの制服姿も眼福。

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こんな具合に小松菜奈以外の若手女優3人も現在では主演・ヒロインクラスにまでなっているので、今見るとお得な幕内弁当感がある。

その中でも主演とはいえ、小松菜奈の存在感は抜きん出ている。ファンなら確実に観たほうがいい。気負いなく最後まで楽しめるバランスの良い映画だった。

サポートが溜まったらあたらしいテレビ買います