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ファーブル昆虫記の「過変態」の章、および、昆虫のセミ・カマキリ・トンボで見られる「前幼虫」の存在。

ファーブル昆虫記で「過変態」の章を見つけて

ファーブル昆虫記の知名度はもの凄く高いが、その中身については、意外に周知されていないのだと、私自身が読んでいなかったことで感じた。恥ずかし限りだが、この老齢になって、ようやく手にすることができたのである。第2巻【下巻】にて、スジハナバチヤドリゲンセイおよびツチハンミョウの過変態の綿密な観察についての記述があった。


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fabre.shueisha.co.jp


私自身は、ドナルド・ウィリアムソン博士の幼生転移仮説に出会ってこの現象の名前を知ったのだが、命名した人物がジャン=アンリ・ファーブル自身とは知らなかった。一齢幼虫は宿主に寄生すべく脚や顎が特殊かした羽のない三爪の幼虫であり、これが寄生して宿主の住処に着くと、その卵に穴を開けて侵入し、卵の中身を食べ尽くし、二齢幼虫になるのだが、ころころとして身動きのとれない、盲目の幼虫である。ただし、この形態は問題なく、巣の中で蜜の上に浮かぶ形になるので、蜜をたっぷり飲んで育ち、蛹になるが、成虫にはならず、似たような形の幼虫になり、これが三齢幼虫である。何も食わずに再び蛹になる。この蛹が羽化して成虫になる、という流れである。


個体発生に驚嘆して非公式の卒業論文を作成していた頃は、恥ずかしながら、この生活環についての知見を得られなかった。過変態自体の論文は、存在はあるのだが、個別の昆虫についての記載に留まり、進化や発生との関連をテーマにしているものはほぼ見当たらなかった。


昆虫のセミ・カマキリ・トンボで見られる「前幼虫」の存在について。

ファーブル昆虫記の第5巻(下)には、セミやカマキリの生活環について、ファーブルによる詳細な観察が記載されている。その中で、私自身が全く知らなかったことが、またもあったのである。これらの昆虫においては、卵から孵化した直後は魚または舟のような細長い形態をした「前幼虫」の時期があり、これが這うように産卵場所から移動し、脱皮の形式で、私達がよく知る幼虫の時期に移行するのだという。ところが、文献や画像では、このことを記述している情報が見当たらない。不思議なまでに見つけることができなかったのである。研究はなされていないのだろうか?私には判断ができないが...


ようやっと見つけられたのは、美しい写真が並ぶ、以下のサイトである。


オオカマキリの一生

satoyama.la.coocan.jp


以下の説明のある場所の写真が該当する。解像度が高く、わかりやすい。私は純粋に衝撃を受けた。


カマキリの卵は卵鞘(らんしょう)と呼ばれます。赤ちゃんはこの卵鞘から 薄い皮をかぶった前幼虫(ぜんようちゅう)という形態で生まれてきます。この薄い皮の内側に脚や触角も包まれています。前幼虫は宙づりになったまま全身を包んでいた薄皮から脱皮します。


前幼虫はlarvaなのかpre-larvaなのかpara-larvaなのか...それすら、わからずにいる。前述した昆虫の幼虫はいずれもnymphと呼ぶが、pre-nymphか...言葉の検索で何らかの情報が見つかるといえば見つかるが、具体的なまとまった情報に、行き着けないままである。

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