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雑記やエッセイ

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日々暮らしの中で感じたことを書いています。完全に個人的な日記だったりメモだったり。個人の感想に近いです。
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#読書の秋2020

どうしようもなく好きな一冊 ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」

どうしようもなく好きな一冊 ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引書」

「自分にとって生涯手放せないであろう大事な1冊は?」と問われたら、
今の私は、ルシア・ベルリン「掃除婦のための手引き書」(岸本佐知子訳 講談社)と答えると思う。

この本に初めて出会ったときの衝撃は、今でも忘れられない。

物語の中の登場人物が、言葉が、風景が、なにもかもが鮮明で、生き生きと、まるで目の前で息づいているかのような描写の数々。
その中に、癒しようのない、人々の孤独や絶望を垣間見る。

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村上春樹と水曜日の午後のピクニックとの三度目の出会い

村上春樹と水曜日の午後のピクニックとの三度目の出会い

村上春樹の小説を10数年ぶりに読み返している。10代の時には共感してやまなかったのに今読見返すと、自意識が過剰すぎて自分の青春時代を垣間見ているようで、なんだか恥ずかしくなる描写もあるのだが、そんな気持ちになる文章は他の小説を思い返しても見当たらないし、一定層から「嫌い」とまで言われる作家なのだから、やっぱりつくづく唯一無二の作家なのだと感じている。

私は彼の短編にしても長編にしても、「これが彼

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