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#2 英語下手でも外資系企業で評価され続ける方法 - Vol.1(面接編ー外国人面接を突破するには)

私は外資系企業に通算15年(しかもうち11年は管理職で)勤務していますが、流暢な英語が操れるわけでは全くありません。話せないわけではないですが、私の英語はネイティブのビジネスエリート達が話す洗練されたものとは程遠い、体当たりの田吾作(タゴサク)英語(=洗練さや流暢さとは程遠いが失礼にならない程度に言いたいことが伝われば良しとした英語)だと随分前から開き直っています。

私にはもともと語学の才能もなく語学に対する興味もありません。社会人になってから外国語をマスターするのは本当に気の遠くなるようなプロセスで、忙しい仕事の合間に毎日地道にリスニングしたりそれなりに難しい記事を読んだり、単語を覚え続けるなど相当のエネルギーと時間を投じなければなりません。私には昔も今もそれができませんでした。そして私の英語レベルは15年前から現在までたいして進化していません。(英単語や文法や長文読解力は大学受験の資産を食い潰したまま時が止まっています。)

下手な英語でも外国人相手の採用面接で落とされたことがない。

私は今までに10回の転職を経て通算11社に勤務してきましたが、そのうち8社は外資系企業です。1回の転職活動あたり大体平均3社の面接を受け、内定に至るまでの面接回数は1社あたり平均4回、そのうち平均2回は外国人が面接官だったとすると、私は今までに50回近くの外国人による英語面接を受けてきたことになります。
外国人の面接官は、日本法人の現場のhiring manager(採用担当)である場合と、海外本社の事業部ラインヘッドまたは役員の両方のケースがあります。この他に日本人のTalent Acquisition(HRの採用担当)が最初に日本語で面接した後、英語力チェックのために途中から英語面接に切り替えるケースがあります。
私が記憶している限り、外国人による面接で落とされたことは1回もありません、流暢とは程遠いレベルの下手な英語でしゃべってきたにも関わらずです。少なくとも語学力に関しては高いレベルの流暢さまで求められることはなく、自分が伝えたいことをとりあえず伝えられるレベルの英語力があれば、外資系の外国人による英語面接は突破できると思っています。

外国人が面接で求めることは、高いレベルの語学力ではない。

今まで50回近い外国人による外資系企業の採用面接を受けてきて思ったのですが、外資系の外国人の面接では「志望動機は何ですか?」などの日本企業の面接でありがちな紋切り型の質問はほぼされることはありません。基本的には面接官からの一方的な質疑応答ではなく、双方の対話形式で進められることが多いように思います。
私が経験した外国人マネジャーによる面接は、自分(面接官)の担当する事業や業務が今直面している課題に対して、応募者がどのように分析し対処していくかを見るためのもので、面接官が状況を簡単に説明しながら適宜質問し、対話しながら応募者がどのようなアプローチで問題解決をしていくかを知ることに主眼が置かれていました。ディレクター(部長)レベルの面接では、会社のウェブサイトに公開されている今後5年の事業計画を読んで、担当事業の課題と成長戦略/戦術についてのプレゼンを応募者に行わせるケーススタディを面接の中に組み込む会社もありました。若いマネジャーの面接官の中には、会社が用意した採用面接用の質問マニュアルからの質問をする人もいますが(外資系の大手グローバル企業には、面接官向けに、会社の求める人材を見極めるための採用面接質問マニュアルがあります。)、それらの質問も、応募者に具体的な過去の事例からどのように問題解決をしてきたかについてのプロセスを尋ねてリーダーシップやチームワーク、アントレプレナーシップといった応募者の資質を見るためのものです。

外国人マネジャーは、自分の担当する事業の業績を上げることがミッションであり、そのミッションを強力にサポートし共に実現してくれる人材を採用したいと思っています。外国人マネジャーは、海外の本社や拠点から日本のオフィスに異動してきた人や、海外オフィス勤務のままリモートで日本にいる部下をマネジメントする立場の人、海外の別会社から転職してきた人が多く、大抵は日本語が分からず日本のマーケットの事情もよく分かっていません。(たまに長年日本在住で日本語を話し、日本人のパートナーがいる人もいますが。)海外本社からの異動で今までの自分の専門分野外の部門のヘッドとして日本オフィスに着任するケースも多くあります。その場合は、日本のマーケットに加え、自分の部門の実務自体もよく分からないという状態ですので、日本のマーケットとビジネスの実務に詳しく自分をサポートして成果を出してくれる(また、自分に日本のマーケット事情と関連するビジネスの実務について教えてくれる)人を求めています。
そのため、人材採用のプライオリティは、実務知識と経験&能力+仕事に向き合う姿勢>流暢な英語力となり、採用基準は流暢な英語力よりも、関係する業務の実務経験と能力、そしてリーダーシップやオーナーシップ、チームワークなどの資質、仕事に対する姿勢(マインドセット)の方が優先されます。面接では、募集ポジションに関連した業務の経験と実績、また過去にどのように課題を解決してきたかのプロセス、自分の仕事への資質を証明する事例、応募先の会社への業務改善の提案などを、流暢な英語でなくても、ゆっくりでもたどたどしくても、論理的に誠実に相手に伝え、説得することができれば、その面接は突破できます。(もちろん面接官は、自分と最低限必要なレベルのコミュニケーションが取れる程度の英語力があるかは面接でチェックしていますのである程度の英語力は必要です。)

次回の記事では、下手な英語であっても、入社後も外国人上司に仕事で高く評価され続ける方法を私の経験をもとに共有します。

*この記事では、下手な英語でも外資系企業の採用面接を突破し、入社後も外国人上司に評価され続ける方法を共有するのが主な目的ですので、外資系企業への転職、応募書類選考、採用面接の突破方法についてはまた後日、別の記事にて詳しくお話しすることにしますね。


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